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2009年9月 4日 (金)

「秋(とき)は来たれり」なのか?

 少々弱気の言を吐いたら、mizzさんから励ましと思われるコメントを頂いた。気が滅入ってるときにこのような励ましを頂くと、本当にうれしい。そして少し、現状について分析をしてみようという気が起きてきた。

 衆議院議員選挙で政権与党である自民党と公明党が大敗し、民主党が圧勝して安定多数の票を獲得したわけであるが、これが何を意味するのかはこのところマスコミを賑わす話題となった。おおかたは、自公政権への失望が主な原因であって必ずしも民主党のマニフェストに積極的に賛成したわけではない票もかなり含まれているという見方である。それは確かにそのように思える。これだけ多くの票が民主党に流れたのは民主党の考え方に賛成するひとびとが急増したとは思えないからだ。だから民主党が何かに躓けば、やがてこの揺れ返しが来るだろうと思う。野に下った自民党はそれを待っているのだろう。

 しかし、この大逆転をきっかけに何かがこれまでと大きく変わりつつあることも事実であろう。それは「親方日の丸」という形での、愚民化政治はもう復活しなくなるだろうということである。役人と政権与党が一体となって、政治的エリート集団を形成し、「俺たちにまかせておけば間違いない」とおろかな大衆に思い込ませ、それによって政権を維持していくという政治がこれまでの日本ではずっと続いてきた。戦後も基本的にはそれは持続し、戦後復興と東西冷戦をバネとしたアメリカのドル基軸経済体制の一翼を担って、経済の「高度成長」を演出した時代には、この方式はうまく行っていたが、冷戦が終わり、頼みのアメリカも怪しくなってきて、代わりに中国やアジア諸国が経済的に大きな役割を果たすようになってくると、この方式は危なくなってきた。アルカイダやフセイン、そして北朝鮮などを悪役に仕立てた「世界の保安官アメリカ」というストーリーや、小泉「市場主義」劇場などというパフォーマンスでなんとか切り抜けてはきたものの。ここに来て世界的金融恐慌をきっかっけにしてすべて破綻し、もうわれわれ「愚民」たちも欺されなくなったのだ。この変化は大きいと思う。

 そう、われわれの将来は我々自身が徹底的に議論して決めていかねばならないのだ。いままでは一部支配階級に任せすぎていた。その結果、失われたものはあまりにも大きい。テロリストとの闘いと称する戦争で犠牲になった多数の人々。そして一握りの大金持ちの勝手気ままなゲームのために貧困に追いやられた多くの人々、そしてなによりも、経済の成長と国際競争力の強化という名の下に破壊され続ける自然環境や天然資源。いくら「愚かな」われわれでも、これは危ないということが分かり始めたのである。もう彼らには任せておけない!

 しかし、世の中そう簡単に、変わるはずはない。支配層の生み出したこれまでの社会の仕組みの一端を担っている人々は、自分たちの実存を否定するようなことは簡単には出来ないだろうから。それは例えば、自衛隊の幹部、経済成長期に地位を獲得した大企業の経営陣、巨額の軍需品や薬品を生産してる企業の経営者たち、最近の金融バブル時代に地位を獲得した経営学者、政権与党と利権を分け合ってきた土木建設業者、消費拡大消費拡大と叫ばれ続けてきた中で、消費を拡大するために必至になってきた販売関係の経営者や幹部、金持ちの高齢者達からお金を搾り取ろうとして大型レジャーや高級マンション、別荘地などを開発してきた企業の経営者たち、労働力の高度化を要求する資本に対して、高等教育や専門教育を受けさせてそれに応えようとする教育産業(ほとんどの大学が含まれる)の経営者たち、などなど数え切れない。

 そうした人達が、自分たちがやってきたことが何だったのか、その歴史的真実を理解するにはまだあまりにも時間が短すぎる。これからもさまざまなイナーシャがおおきな摩擦力となって時代の歴史的変革にブレーキをかけるだろう。

 いま起きていることは、変革のほんの一歩に過ぎない。しかしこの小さな一歩を大事にしたい。それはわれわれの生活と生命の膨大な犠牲を払い、長い長い時間を掛けて獲得されたものなのだから。

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