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2009年12月 4日 (金)

近未来社会のデザインに必要な条件

 アメリカのオバマ政権、日本の鳩山政権は世界中に資本主義経済体制の矛盾が噴出する現在の状況の中で生まれるべくして生まれた政治体制であろう。しかし、10〜30年年後の世界を見据えて行われなければならない近未来社会のデザインに必要な条件が何なのかは必ずしも明確にされていない。

 政府が「雇用促進」をいくら叫んでも、肝心の企業はそれどころではなく人員削減で倒産を防ぐことに必至である。資本主義社会では、不景気の時には、資本を所有する個人なり法人なりが、その企業が一定程度の利益をあげて市場で生き残るために労働者のクビを切り、企業の存続を図り、景気の良いときには、雇用を増やしながら労働者からの剰余価値の搾取量を増やし、そのかわりそのいくばくかを労働者に賃金やボーナスという形で「前貸し」し、それを消費させることで、再びその前貸し分を自らの利益として回収するという仕組みになっている。労働者は「消費者」として祭り上げれれながら、好景気のときには、賃金のほとんどを消費に回させられて、資本側がこれを再吸収することになる。さらにその中で労働者が何年もかかって苦労して貯蓄した個人財産も、老後の生活や住宅資金として、やがて資本に吸収されることになるのである。そして一旦不況になるやいなや、たちまち彼らは首切りの対象になり、失業保険も使い果たした後は、路頭に迷うことになる。

 マルクスの労働価値説によれば、資本主義社会のすべての富を形づくっている価値の源泉は、労働者の「生きた労働」である。現代の資本主義社会では、その富を直接生み出している労働者が、人間であるにも拘わらず、資本の維持拡大に必要な設備や材料と同じ「モノ」として扱われ、それらを所有する資本家あるいは企業が、「人格」として位置づけられている。ブッシュ前大統領は「資本主義社会は、自由に自分の職業が選べるし、自由に自分の財産を築くことができる、すばらしい社会だ」と述べているが、この「自由」のはき違えこそ社会に致命的な破壊をもたらすことになる。クビを切られた労働者のだれが自由に職にありつけるというのか!失業保険も使い果たし、路頭に迷うホームレスのだれが、自由に財産を築くことができるなどど思うのか!

 普通の労働者は働いても働いても、金を残すことが出来ない、それは才能とやる気の問題だというなら、才能ややる気を持てばすべての人々が資本家になってハッピーに生活できるのか?そんなことはあり得ない。そして現在は一握りの「才能」と「やる気」のある連中が世界の富を手中におさめ、それを右から左に動かして世界経済を左右しているのである。彼らにとって、それらの富を生み出した何十億という数の労働者の生活状態などどうでもよく、もっぱら株式市場の動きだけが関心事なのである。株式市場は決して富を生み出しているのではなく、ただ世界中の労働者達が額に汗して生み出した富をそこに集積し、「才能」と「やる気」のある連中が、その不当なぶんどり合戦をやっている場なのである。

 要は、このような現在の資本主義社会の仕組みを前提として、国家予算の再配分を行おうとしても、それは必ず失敗する、ということである。いくら雇用促進や社会保障のための予算を増やしても、それらの財源はふたたび労働者の肩にのしかかってくることは火を見るよりも明らかである。一握りの金融資本家たちの手中にある世界の90%以上の富を正当な受益者に再配分するために、金融システムそのものを根本的に解体し、ひとまず国際的な過剰流動資本の流れを止め、これを国際的な機関によって管理する体制を築き上げなければ、世界経済はふたたび破綻するだろう。その後、それらの富をどう再配分するかをこれも国際的な運営体制で議論を重ねながら行う必要があるだろう。それがなければ、いくらアフガンにアメリカ兵を増派してもアフガンの民は貧困に置かれたままになり、富の象徴であるアメリカ資本主義社会へのテロリズムもなくならないであろう。ただアメリカの若者とアフガンの民の死体の山を築くだけである。

 現在の金融資本システムの仕組みを解体すれば、一時的に倒産する企業が続出するかもしれないが、その間も社会に必要なモノは常に作り続けられなければならない。そこでは資本家を含めた「民」ではなく、生産的労働に直接従事する労働者自身の「民力」が威力を発揮するだろう。生産や流通システムに必要な設備や場を資本家が個人的な所有を理由に使わせなくなることがあるかもしれないが、社会的分業をそれぞれの場で担っている各分野の労働者間での直接的な生産ネットワーク構築と生産物分配体制維持はいまのコンピュータ社会でそれほど困難な問題ではなくなっているのだから。資本家なしでも立派に社会の生産ー消費システムは稼働するはずである。しかもインターナショナルなスケールで!!そこから本当の意味での近未来社会のデザインが始まるのである。

 資本主義社会はこれまでも崩壊の危機に直面すると戦争という、究極の過剰資本処理体制を担ぎ出し、軍需産業の活性化を通じて経済体制を立て直してきた。そして労働者達は「国民」という名のもとに民族意識に洗脳され、戦地に送り出されてきた。よもやふたたびこのようなことにならないように、普天間基地の確保に固執するオバマさんや鳩山さんには肝に銘じてほしい。

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