« 2009年11月8日 - 2009年11月14日 | トップページ | 2009年11月29日 - 2009年12月5日 »

2009年11月15日 - 2009年11月21日

2009年11月21日 (土)

資本主義社会の大きな曲がり角

 オバマ政権、鳩山政権誕生で、資本主義社会も少しずつ変わり始めたことが窺える、かつて1930年代の世界恐慌時代に一方で非資本主義圏としてのソ連が台頭し成長していた時代には、資本主義体制側は、失業と不況にあえぐ労働者階級がコミンフォルムの扇動に傾き、資本主義社会が崩壊する可能性があり、危機感を強めていた。だからこそケインズ型の修正資本主義に舵を取りなおし、雇用促進と労働者の生活を充実させる政策が重要だったのだ。幸い?戦争があって、不生産的消費が著しく増加したため、過剰資本の処理が促進される戦時経済体制を経て、資本主義体制が立ち直り、戦後は、東西冷戦構造の中で軍需産業とそれを推進されるために飛躍的に進展した科学技術に後押しされた労働者向けの耐久消費財の大量生産をテコにして、資本主義社会は再生した。その中で、労働者階級は、不生産的消費を促進する「消費者」として位置づけられ、資本側はそれによって過剰資本の抑圧から脱することができた。

 ここで、労働者の賃金を高めに維持するためのインフレ政策に見られるような貨幣価値の国家によるコントロールなど国家による資本主義経済体制のサポートがなければやっていけなくなり、スミス以来のいわゆる市場放任主義の資本主義経済は破綻したことが明らかになったのだが、ソ連圏のスターリン主義的官僚化が進み経済が行き詰まり資本主義体制側が優勢になると、いわゆるシカゴ派など新古典派らに主導された「市場主義」がふたたび台頭することになったのである。たしかに日本でも一時期、「一億総中流化」といわれる時代があった。そしてソ連圏崩壊後は、「社会主義」のくびきから解放されたアメリカを中心とした「市場主義」の流れが加速されたのである。バブルがはじけ、不況の時期がやってきても、それを第3次産業の育成や無駄な消費の拡大という一時しのぎでくぐり抜けてきた日本の小泉政権は、その流れの最後に位置した政権であろう。しかし、そのため、基幹産業である農業は疲弊し、社会にもっとも必要な医療や社会保障、そして教育の環境を著しく悪化させ、若い世代の働き手を使い捨てにする社会が生み出されてしまったのだ。若い世代はゲームやファッションなど目先の楽しみに埋没することで将来への絶望感を忘れようとし、その中で社会にもっとも必要な働き手が失われていくという事態が起きている。

 「自由主義」という衣をまとった、不自由社会は極限に近いまでに矛盾を増幅しつつある。自由に労働力を使い捨てられる資本側にとっては、市場で競争に打ち勝つことこそすべてなのであるが、下層労働者にとっては、それによって人間としての基本的権利までをも奪われて、やがてはホームレスになるか自殺するか、のたれ死にするしかなくなる運命なのである。「雇用なき景気回復」の内実はこのようにおそろしいものである。

 鳩山政権は少なくとも、これまでの自民党政権のやり方ではもう決して世の中が良くならないことは心得ているはずだ。しかし、資本主義社会メカニズムそのものが大きな矛盾と壁にぶつかっている現状を乗り越えるにはおそらくケインズ以来の修正資本主義に再びもどすのではだめで、無用な市場競争を排除し、本来労働者が生み出した価値の蓄積である国際的過剰流動資本を、ふたたび労働者階級に再配分するための世界的な協調政策を取ることが必要になるだろう。もはや一国だけで経済政策は成り立たなくなっているのだから。世界的なレベルでの食料生産と流通・消費体制の管理、地球資源と環境の国際管理、無用な競争と消費の抑制、労働者への正当な価値の配分などがおこなわれない限り、世界的な経済と社会の混乱は避けられないだろう。

 鳩山さん、菅さん、その覚悟はできていますか?

 マルクスが150年前にしっかりとした論理に基づいて予測した資本主義社会の行く末について、いまもう一度真剣に捉え直すことが必要になっているのだと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年11月8日 - 2009年11月14日 | トップページ | 2009年11月29日 - 2009年12月5日 »