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2010年6月29日 (火)

「経済成長」幻想から真の経済学へ

 G8に出席した管さんは、欧米先進資本主義国の首脳を前に、国家財政の立て直しと社会保障を両方ともうまく行くように、バランスのとれた税政と経済成長政策を取ると延べ、他の首脳たちから一定の評価を得たと報道されている。

 要するに、選挙で過半数以上の支持を得るためには、社会保障政策の充実が急務であり、その財源に国債を使って「前仮り」するのも限界に近づいたいま、一方で何とか個人からの税収を上げるとともに、他方で、企業が景気浮揚して雇用を増やすことで、その税収を安定化させようというのだ。相変わらずのワンパターンであり、欧米の資本主義諸国もほとんど基本的にはこの線に沿った考え方しかできていないと見て過言ではないであろう。

 しかし、この20世紀末以来お定まりの経済政策の基本パターンは、すでに絶対的な壁にぶつかっている。それは、「経済成長」がたとえ「ゆるやか」になっても永遠に続くという幻想が基調になっており、それがなければ、世界中に失業者があふれてしまうという危機感が潜在していながら、その危機を回避する手立てが何もないということである。

 数十年にわたって莫大な量の労働者階級による剰余労働を吸い取ってきた結果としての膨大な流動過剰資本を、つねに新たな消費を生み出すことの中に吸収しつつ、資本が増大してゆくという図式はいまや不可能になっている。なぜなら、これまでそのような経済政策を続けてきた結果として、地球全体の埋蔵資源や食料源が急激に不足しつつあり、しかも人工はどんどん増え続けている。経済の土台である自然環境はもう無駄な消費を絶対に許さないところまできているのである。それが自然界からのさまざまな警告となって現れているにも拘わらず、依然として経済成長を前提とした政策が取られているのである。

 資本主義的生産様式は、市場での競争に勝ち抜くため、つねに相対的剰余価値の増大を図り、労働生産性を上げながら、労働者数を減らそうとする(いわゆる合理化として)一方で、その結果、可変資本に対する不変資本の割合が増大し利潤率の低下が広がる傾向を防ぐため、できるだけ生産規模を拡大し、そこに新たに生きた労働力を吸収しようとする。しかし、これは生産される商品の価値量が、つねに労働者階級の労働力を再生産するのに必要な価値量を遙かに超えて、資本家に私有化される剰余価値量を増大させていくにしたがって、労働者階級は、「消費者」として位置づけられ、資本のターゲットは奢侈品や娯楽用品などという分野に重心を移し、労働力商品市場もそうした分野での雇用に移行してゆく。労働者階級を豊かにさせるというポーズのもとで、生活資料の消費のみならず奢侈品や娯楽に莫大な支出をさせることで、資本は危機に陥ることなく成長を続けることができたのである。こうして限りなく退廃的で無駄な消費に基づく文明が資本の増大にとって不可欠となる。その一方で限られた地球上の資源は急速に失われ、自然環境の悪化をもたらす、とともに豊かになるはずの労働者たちは両極化し、貧困と差別が増大するというまさに致命的な悪循環が生じているのである。

 エコ商品やグリーン産業も、一見「地球にやさしく」見えるが、全体として見れば、消費を拡大し、生産物の量を確実に増やしていくのである。言い換えれば、エコも消費拡大路線の一つの戦略に過ぎないのである。

 いま経済学にとって必要なことは、地球全体での無駄な生産をやめ、できるだけ少ない総生産量でいかに合理的な生活を営めるかを真剣に考えることであり、その中で世界人口の増加を食い止め、そしてなによりも重要なことは、無駄な国際的市場競争を一刻も早く、国際間の協定によりやめる方向に導くことである。「国際競争力をつけるため」といううたい文句が決してわれわれの生活を豊かにはしなかったことが、いまや明確になっているではないか。

 元来、経済学とは、いかに少ない資源を有効に使って人類の生活を豊かにしてゆくのかを考える学問であったはずだ。それがなぜ、消費の拡大と資本の増大による雇用の確保、などという根本的に間違った方向に向かっているのかを考えるべきではないのか。

 いま、もっとも必要な経済政策は、このような視点に立って、まず、世界中に不当に私有化され極端に偏在化している富を、もう一度それらの富を生み出した人々の手に取り戻すこと、つまり富の合理的で公正な再配分であり、そこから世界経済の仕組みを根本的に再構築していかねばならないときなのだと思う。

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