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2010年7月30日 (金)

がんばれ!中国の労働者

 最近のニュースによると、中国で生産をしている日系大企業の70%近くが、中国人労働者のストライキに遭遇しているらしい。

 日本の大企業にとっては、生産計画が狂ってしまい、売り上げに響くので「迷惑至極なこと」であろうが、私はそうは考えない。

 中国では、いま「世界の工場」と言われるほどに、ありとあらゆる工業製品が生産されている、そのうち多くは中国に投資し生産拠点を置いている外国企業を経由して国際市場に出される輸出商品であるが、最近国内需要が伸びてきた中国国内向けの商品もかなりあるだろう。

 一方で、最近、日本国内でのデパートや有名店街では、高級品を買うのは、中国人が多いそうである。しかも日本製の高価な商品を買いあさっているらしい。日本人は不況のせいもあってか、安くて比較的品質の良さそうなもの(その多くは中国製である)を買う人が多いらしい。皮肉なものだ。

 そこで、ちょっと考えてみよう。日本企業が生産拠点を設けて生産をするのは、まず第1に、労働賃金が日本より遙かに安く、しかも質の高い労働力が得られるからだろう。第2には中国の国内市場の伸びを計算に入れているだろう。しかし、中国人労働者が中国で生活するために必要な生活費が相対的に安くて済む分、労働時間の長い生産的労働から吸い上げられる剰余価値部分の比率は非常に大きいので、日本の資本家が吸い上げることのできる利益の何割かを日本企業から投資を受けている中国の資本家が分け前として受け取ることで、中国の資本家たちは巨額の利益を手にすることが出来るのだろう。そのため、中国では、金持ちはどんどんお金が貯まるが、中国の資本家にとって彼らの雇用する労働者はその低賃金を売り物に世界中からの投資を呼び込んでいる手前、簡単に給料を上げるわけにも行かない。それでも労働力の供給より需要が上回り少しづつ労働賃金が高騰してくれば、労働者もその生活の中で、家電製品やクルマを購入したくなる。そこで賃上げのストライキが頻発するようになるのだろう。

 日本にやって来て高級品を買いあさるのは、お金持ちの中国人であるが、中国国内でストを打っているのは、厳しい労務管理の下で毎日長時間働いて膨大な価値を生み出しているにも拘わらず、中国と日本の資本家にそのほとんどの部分を剰余価値として吸い取られている労働者たちである。

 一方、世界に誇る「メードイン・ジャパン」製品を売り物にしている日本の企業では、安い労働賃金で働かされている中国やアジアの労働者の生み出す生産物が、世界市場で安い商品として流通しているのに対抗するためには、いかに国内の生産ラインを合理化し、人手を減らすか、あるいは不況を逆手にとって雇用を確保しながらもいかに低賃金労働を可能にするか知恵を絞っているのである。

 だから、中国の労働者たちの賃金が高騰することは、日本の労働者にとっても、救いになるのではないか。中国の労働者ががんばって資本家からどんどん高い賃金を勝ち取ることができるようになれば、中国製品は安く国際市場に出回ることはなくなる。そして日本の労働者も低賃金にとどめられることが少なくなり、雇用も増えるかもしれないのだ。

 だが、これには最後に大きな「落ち」がつく。それは、中国の労働者の賃金水準がアメリカや日本並みになれば、中国製品は国際市場で安さを売り物にできなくなり、中国に生産拠点を設ける企業が減り、中国に投資する外国資本が減り、中国経済は厳しい状態に置かれる。もっとも中国は国内市場が大きいから、かなりの間持ちこたえるだろうが、それも消費拡大には資源枯渇と自然環境の破壊という大きな「壁」があり、ある程度以上の拡大は不可能になるため、やがて崩壊するだろう。その結果、「世界経済の牽引役」としての中国の地位が低下し、それを頼りにしていた日本、アメリカ、ヨーロッパの大資本は総崩れになる。さてどうするか!

(続く)

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