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2010年11月11日 (木)

労働状態悪化が話題にならない不況対策

 今朝の朝日新聞の「私の視点」に投稿されていた元機長の意見は、きわめて重要だと思う。最近の不況の中で航空業界では、安売り競争が激化し、それに伴い航空会社での「合理化」が進んでいる。パイロットはその数を減らされ、残されたパイロットに過重な負担がかかってくる。ただでさえ、パイロットの労働内容は、極度の緊張と不規則な生活時間により、同じ労働時間で働く他の職場の労働者に比べて、厳しい労働内容を強いられている。事故を起こして責任を問われた場合、過重労働による過労が原因と訴えても、労働基準法で決められた労働時間を大幅に超えていないとして却下されてしまうこともあるようだ。

 経営者側からの「合理化」で解雇させられたり半強制的に退社させられたりした労働者は、再就職のために悪戦苦闘せざるを得ないのだが、残った労働者は、人数の減らされた労働現場で、過重な労働を強いられることになる。労働者にとっては、進むも地獄、退くも地獄である。まして航空業界のような労働現場では、それが多くの人命の安全につながる問題である。

 われわれは、街のスーパーやコンビニで毎日当たり前のように生活資料を買い求めるが、その背後では、食料品などの供給、輸送での莫大な労働が費やされているのである。食料品は海外の劣悪な労働条件で働く多くの労働者の手で生産され、大手商社によって大量に輸入される。国内の配送センターでは時給800円たらずで働く非正規雇用の労働者が10時間以上、ときには12時間もの労働時間働かされ、契約時間を超えた労働に関しては時には労賃が支払われずうやむやにごまかされることがあっても、文句も言えない状態で黙々と働く。店に物資を運ぶトラック・ドライバーたちは、夜も昼も、決められた時間内に物資を運び込むために必死にトラックを運転している。そして時には過労で事故を起こしてクビになることもある。こうして食料品や日常生活資料がスーパーやコンビニの店頭に並ぶのである。スーパーやコンビニではほとんどが低賃金のアルバイトの店員で実際の販売業務が行われ、店長は「名ばかり管理職」でその内実も大変である。例えば、社会全体で労働時間がなし崩し的に延長されて夜中に帰宅する労働者が増加しているので、それを目当てに、他店との競争もあって24時間営業を余儀なくされ、過重な労働を強いられているのだ。

 医療の世界でも病院経営の「合理化」で医者の過重労働が問題となっている。中国など海外の富裕層を日本の医療機関に招き入れ、金儲けをしようとしている病院も出てきているようであるが、こうした病院では一台何億円もする「先端的医療機器」を看板にして医療セールスをする陰で、医者もなく、ろくな医療も受けられずにみすみす直る病気が手遅れになって死んでいく地方の過疎地帯や都市の貧困層の人たちが増えているのである。

 同様に、教育現場での教師の過重労働も大問題である。何かコトがあれば教師の責任が指弾されるが、そのかげで日々過重な労働に潰されそうになっている先生たちがいる。教職員組合が教師の立場を護ろうとすれば、教組が教師をダメにする、と指弾される。

 これらの例を挙げればきりがない。景気を回復させるため、ということが金科玉条とされ、そのために直接的・間接的に犠牲になるのは結局、現場で働く人々なのだ。何のための景気回復、成長戦略か!! 日本の労働者階級が我慢をするにもほどがある。民主党や自民党のような資本側の立場を代表する政権にこの社会を任せておけば、働く人たちは、マルクスが対峙した19世紀のイギリスよりもさらに悪い状態に置かれることになるだろう。

 国際市場での競争に勝ち抜くことよりも、足下のわれわれの社会生活を支えるために一生懸命働く人たちが、しっかりと自信を持って働けるようにすることこそ必要なのだ。会社あっての社会ではなく、労働者あっての社会ではないのか!!

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