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2010年5月9日 - 2010年5月15日

2010年5月13日 (木)

アメリカ社会における労働者の構成と実情

 mizzさんからのコメントで早速、アメリカの労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)のサイトからいろいろなデータをダウンロードしてみた。あまりにデータが多くてそこから何が見えてくるかは短期間には分からないが、一つ面白いことが分かった。2009年の雇用データで職種別の雇用者数が、性別、人種別に分類されているデータ(Employed persons by detailed occupation, sex, race, and Hispanic or Latino ethnicity)である。

 前回のブログで、「アメリカ国内では、人種による労働者階級の階層化が厳然として存在し、自動車産業などでは国内で稼働する工場の労働者はアフリカ系の人々やヒスパニック系の人々などが多く、白人系は金融企業や利幅の多いサービス産業などに多く雇用されているようである」と書いたが、このデータを見る限り、Production occupation(製造業)という中分類では7654000人の労働者が雇用されており、そのうち女性が28.1%, アフリカ系アメリカ人が11.5%,アジア系が4.9%,ヒスパニック・ラテン系が21.9%で残り33.6%は白人男性である。その後、このブログを見たmizzさんから頂いた別のデータによると、白人男 49.9%、白人女 18.1、白人計 68.0、アフリカ系アメリカ人男 6.4、アフリカ系アメリカ人女 3.2、アフリカ系アメリカ人計 9.6、アジア系男 2.3 、アジア系女 1.9 アジア系計 4.1、ヒスバ系男 12.6、ヒスバ系女 5.7、ヒスバ系計 18.3、男性計 71.1 女性計 28.9、総計 100.0となっているので白人系はもっと比率が高そうである。結果、意外なことに白人男性がもっとも多く、次が女性(これはもしすべての人種の女性が入っているとすれば、上記合計が100%を超えることになるのでおそらく白人の女性を指すものと思われる)そして3番目がヒスパニック・ラテン系なのである。

 しかし、英国エコノミスト誌(Dec.2009)から翻訳された資料(http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/2336)によると、やはりアフリカ系アメリカ人の失業率(約18%)は白人のそれ(約10%)と比較すると遙かに高いことが分かる。おそらくヒスパニック系の失業率も白人のそれより遙かに高いと思われる。これらを見ても、アメリカのアフリカ系およびヒスパニック系の労働者は白人労働者に比較して遙かに苦しい立場に立たされているようだ。

 そこで他の職種について見渡してみると、意外とアフリカ系アメリカ人はさまざまな職種に分散している。それに比べて顕著な偏りを見せているのはヒスパニック・ラテン系である。例えば、パンや、肉や、などの食品関係、印刷や洗濯や洗車業、手作業による包装の仕事などの30-40%がヒスパニック・ラテン系である。一方アジア系はコンピュータソフトやハードの生産関係が多い。

 雇用されている労働者の人種別合計では、アフリカ系アメリカ人が10.7%でヒスパニック・ラテン系が14%であり、なんとアフリカ系よりかなり多いのである。

 なおこの統計では「自動車製造業」「電機産業」といった産業別分類ではなく、溶接工、機械工、塗装工などという具合に分類されている。

 この分類ではおよそ500種近い職種がリストアップされており、これでおおよそアメリカでの社会的労働の種類(社会的分業種)の全体像が分かる。ちなみに、Designerという分類を見ると、雇用者数は764000人であり、分業種の中では雇用者数が多い方ではない。また人種別では女性が50%であとのアフリカ系、アジア系、ヒスパニック系はそれぞれ一桁台の%である。したがって白人男性が28%位の割合ということになる。この中には服飾デザイナーや装飾品デザイナーなども含まれていると考えられるので、女性がトップなのはそのせいと思われる。

 アメリカで、なぜこのような人種ごとの統計データが取られているのか分からないが、おそらく、人種別データが必要なのであろう。例えば選挙対策や社会福祉の面でこれらの数値を抑えておく必要があるのだろう。

 上記の事実から見て取れることは、現在のアメリカでは、少なくともヒスパニック・ラテン系の人達が、いわば「下層階級の仕事」と見なされる職種に多く雇用されていることが分かる。結局アメリカという国が内部に複雑な人種構成の壁を保ったまま、「世界一民主的で平等な社会」という表看板を上げていることが窺われる。「最後の階級社会」と言われる資本主義社会の一つの典型なのかもしれない。

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