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2011年3月31日 (木)

今後の日本社会を考える(その3 目標 )

 第四に、私的利害のための競争の禁止。これは先に挙げた私的所有の問題と密接な関係にある。資本主義社会では、労働の「疎外態」である資本が、生産や流通を支配しており、その根源に、本来社会全体の共有財であるべき生産手段やインフラなどが私的利害を追求する資本家的企業による運営のもとに置かれ、社会的に必要な労働力をも商品の市場で売買されるという逆転的構造となっているために生じるのがいわゆる「競争原理」だからである。現代の「グローバル化」された資本主義社会がいかに全世界の市場で無駄な競争を繰り返し、労働者のみならず資本家までもが「競争原理」に脅かされている事実を見てもこれは明らかである。

 NHK TVのクローズアップ現代では、東北地方の部品メーカーが災害で操業不能に陥ったため、その影響が親会社におよび、輸出主力商品の減産という自体を招いているということ。そしてそこでは、親会社が、結局は東北地方の下請け会社を切り捨て、外国の部品メーカーから部品を調達することを決めつつあるという事実、また諸外国の生産企業でも日本からの部品調達をやめ、「日本回避」の部品調達システムを模索しつつあるという事実を報道じていた。

 一方で、日本への支援の手を差し伸べようとする国際的支援があり、他方では、冷酷にも、「市場の競争原理」のもと、東北の基幹産業的企業の再興を不可能にさせるような動きにでている資本家たちの世界的な動向があるという矛盾に満ちた現実をしっかりと見るべきであろう!

 なお、私的利害のための競争の禁止は、決して競争そのものの禁止ではなく、私的利害のためではなく社会全体の共有財としてそのままに還元されるような競争は決して禁止されるべきではない。そこにこそ生産的労働の活力が宿るのだから。

 第五に、社会的に必要な労働時間に応じた、社会的財(価値)の分配である。労働の種類に関係なく、すべての社会的に必要な労働に要した労働時間は、生み出された「価値量」という形でその労働部門の形に応じた社会的な財の生産への貢献度を示す指標である。これに相当する、社会的財の分配は、私的生活に必要な分の公平な分配を行った残りが先に挙げたような社会的共有ファンドとして保持、蓄積されることになる。それは社会インフラとして全社会構成員に役立つ形で供給されることになる。もちろん介護や医療も含めてである。こうした視点からみれば、いまのブルジョア社会での賃労働者への「所得税」「健康保険税」「消費税」などなどのような税制がいかに矛盾しているかをしっかり見据えておこう!

 第六に、社会的財の分配や流通には、商品経済社会の形式だけが残存し、それが資本を生み出すことのことのないように社会的な監督機構が必要になるだろう。商品経済社会のメカニズムはその歴史的必然として資本主義社会を生みだし、その法則性がすべての労働や生産手段を「商品」として支配する世界を生み出してしまったが、その矛盾が明らかになったいま、生活資料の分配においてその形式だけが残存すればよいことになるだろう。言い換えれば生活に必要な資料が供給され分配されるためには限定的な意味での需要と供給のバランスをもたらすための擬制的商品市場が必要になるであろう。そこでは「貨幣」は単なる支払い手段となり社会的に必要な労働への貢献度を表す労働時間(価値量)を表示する証票となるだろう。

 さてこうした項目は、最初に述べたように、われわれが目指すべき「目標」であり、いわば、数千年の文明社会形成の歴史を通じて人類が支配階級に多大な犠牲を払った結果、その「最後の階級社会」である資本主義社会に表れた矛盾への「否定」を通じて初めて獲得し得た目標なのである。あたかも今回の大災害で、多大な犠牲を払って、ようやく分かった自然の猛威とそれへの備えのあるべき姿のようなものである。そこに支払われた膨大な犠牲と底知れぬ悲しみの積み重ねの後にはじめてこうした「あるべき姿」が「目標」として獲得し得たのであって、その意味では、多大な犠牲は決して「無駄な死」などではなかったのである。

 そして本当の課題は、こうした目標をどのようにして現状に即して実現させてゆくか、なのである。次にそれを考えて見よう。(続く)

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