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2011年4月 8日 (金)

今後の日本社会を考える(その12 ラフスケッチa)

 では今後の日本社会をどうすべきなのか?まず確実に言えることは以下の通りである。

 まず、世界的なスケールでの資源や自然環境の保全という枠組みにおいて無駄な消費や無益な競争を促すことで成り立つ経済体制を改め、それに代わって世界的な規模での持続的な生産〜消費サイクルを可能にする計画的な経済システムの構築が必要であること。

 そのためにもっとも必要なことは、世界中の国々でそれぞれの社会的に必要な労働を行い社会全体を支えている労働者階級(農業労働者も水産労働者も含む)がその本来の歴史的な使命を自覚し、資本の成長のためにグローバルな市場競争に勝つことを目的に日々働くのではなく、われわれ自身のための社会をわれわれの手で作り上げるために働くのだという自覚を持つことであろう。

 過去のすべての社会的労働の成果を私的な所有という形でしか蓄積しえない資本やその人格化された資本家がいなくなれば、社会的な生産はわれわれ自身の手でより合理的で豊かな内容を持ったもの(無駄な消費や無益な競争をせずに限られた資源や自然環境をできるだけ節約し合理的に用いた本来の意味での経済的システム)にすることができるのだということを。言い換えれば、われわれは資本家的企業が「売るための」商品を生産するために日々働くのではなく、われわれ自身がそれを消費し使用するために生産するのである。だから、必要なものを必要なだけ生産すればよいのである。

 使用(消費)する者自身が分担協働してそれに必要なモノを共同で生産する。そのシンプルな構造の社会こそ、真の意味で合理的で豊かな内容を持った社会に成長し得るのである。

 ついでながら言えば、このような社会では現在のような「売れる商品」をデザインするために登場した職能的デザイナーではなく、すべての労働部門で働く労働者が生産物の使用価値を高めるため本来の意味での「デザイン能力」を持つことが必要なのである。

 日本社会の今後を考えるためにはそうした大きな目標の中での次世代社会の構想を立てるべきであろう。

 そのためにまず第一歩として、少なくともグローバル市場での資本家的な採算を度外視しても必要最小限の生活資料やエネルギー源を確実に自給できる社会体制が必要であろう。いま日本では農地が放置されたり農業従事者が減ったりしている地域には、農業再生のためそこで働く人たちを募ることが必要であるが、それを阻害しているのは、農業資本や貿易を支配する商業資本や投機筋による国際市場での競争とそれによる農作物の価格競争である。必要最小限の農作物自給体制をこうした国際的な資本による破壊から護るためには、この分野が自立的な地産地消という形である程度の「鎖国状態」になっても仕方がないであろう。農業の資本家的支配を促進するTPPなどはもってのほかである。しかし言うまでもなく、そこでもこれまでに蓄積した技術を駆使して農業生産性を高める努力は必要だろう。それは本来の意味での省エネルギー、省労働力という視点からである。

 エネルギー供給は、なるべく自立分散的な形で供給するシステムを採用し、水力などの比較的大規模な施設が必要なものは自治体が管理運営し、太陽発電や小型風力発電装置を各自の管理で住宅に設置しそれぞれ電力を自給できるようなシステムが必要だろう。そこで初めて資本家的企業の中で開発されてきた「スマートグリッド」技術もわれわれ自身のために生きてくるというわけである。

 重要なことは、これら農水産物やエネルギーの供給といった基本的産業の育成と維持発展は、そこに再び資本の支配が及ばないようにするために、そこで働く労働者たちとその代表である(資本家的企業の代表政府ではなく)自立分散型社会の自治政府(地方自治体)が協力して行わなければならないということである。

 その上で、海外の国々とは、われわれの生活に必要なものに絞って交易を行い、われわれが得意とする生産部門(国内的に剰余生産物が生じるようなもの)での生産物は輸出し、国内で獲得が困難なものを輸入する必要があるだろう。しかし、ここにも何らかの形で資本の支配を封じておく手立てが必要であろう。

 さらには、社会全体として必要な生産手段は各自治共同体間での討議と合意のもとでそれらを共同管理する体制が必要であろう。労働者自らが生産手段の管理運営を行うことができるシステムを生み出すことが必要である。

 こうした枠組みの中で資本の産業構造もおおきく舵を切らねばならないときが来ていると思う。

(続く)

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