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2011年4月12日 (火)

今後の日本社会を考える(その13 ラフスケッチb)

 いまグローバル資本市場を構成する資本主義諸国間の競争がアメリカやEUの一部の国々で経済の破綻を来し始めているが、それがどのような形で世界的な破局を迎えていくかは予測が難しく、我が国の社会経済状態がその状況に大きく影響を受けることは間違いないことであるが、とりあえず、我が国の内部でどのような方向で社会経済システムが変化していくか(変化させるべきか)を考えることは可能である。

 最大の課題は、数十億の労働者による過去の労働の成果である国際金融資本の莫大な蓄財をどのように労働者階級に取り戻すかという問題であろう。これに関する卑近な例を挙げれば、例えば、今回の大震災で工場や社員の多くを失った東北の(大企業下請け)部品メーカーが、復興と再起を目指して資金の調達を図っても、金融機関は貸付金の見返りが期待できない企業には「貸し渋り」するのである。

 日銀がその状況を、「東北地方の金融機関における資金不足」と判断し、低金利で多額の資金貸し出しをしたが、そのマネーがどこにいくのかである。それらの中小部品メーカーが長期に渡って利益を回復することが難しいと分かれば地方の金融機関は簡単に復興資金を低金利で貸し出すようなことはしないだろう。より有利な資金運営を図るに違いない。それが資本の使命であり「法則」なのだから。

 放射能汚染で莫大な被害を受けた農業や漁業についても同様であろう。グローバル市場での野菜や魚介類商品の熾烈な競争を考えたとき、長期に渡って利益の上がりそうもない農業や漁業に低金利で多額の資金を貸し出すことは金融資本のリスクが高すぎるからである。こうして、東北地方の産業は衰退を余儀なくされ、その弱みにつけ込んだ海外の資本家企業による市場の奪取が行われることになるだろう。こうして日本の経済は「対外依存型」へのステップを進め、ますます日本の労働者階級はグローバル資本の賃金奴隷にされて行くのである。

 要するに資本の法則に従った経済運営は結局は、弱肉強食の市場の原理で動き、つねにその犠牲になるのは労働者や中小企業(農業・漁業を含む)の経営者なのである。

 それを考えれば、資本家代表政府に代わって働く人たちの代表政府を作り出すことこそ焦眉の課題といえるだろう。自民党や民主党という既成の政党に任せておいてはいつも同じことが繰り返されるのだから。

 その動きは、すでに地方自治というところから始まっているようである。残念ながら、働く人たちの代表となるべき政党や労働組合があまりにも弱体化しており(バブル時代に形成された「中産階級意識」や「小市民意識」に邪魔されて)、これをどうにかしない限りものごとは進まないと思われる。

 そうした課題を進める一方で、もし働く人たちの力が政府に大きな影響力を持ちうるようになれば、そこでは、まず金融資本企業に蓄積された莫大な資本を、働く人たちに還元するための法的な措置を急ぐべきであろう。それはいまの資本家代表政府がいずれも「消費主導による景気浮揚」を前提としながらそれが出来ずに行き詰まり、財政支出と国庫の赤字増大やそれを補うための増税や赤字国債発行という泥沼にはまっている問題に対し、まったく別の視点から明快な正解を与えるであろうから。

 唐突だが、こういう現実の事態を正しく理解するためにも、いまこそマルクスの資本論がきちんと理解されるべきときなのである。

 (続く)

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