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2011年4月 4日 (月)

今後の日本社会を考える(その7 人口問題)

 追記:この項は「ラフスケッチc」というサブタイトルであったが、内容的にはラフスケッチのために必要な問題把握の一環であるため、サブタイトルをこの項の内容に即したものに改め、後半の税制に関する部分を次項に持って行き、その代わりにこの項の最後に一文節を付加した。

 世界レベルでの問題としては、人口爆発の問題もある。科学技術や医学が資本主義体制の競争社会によって急速に進歩してきた。これは医療技術や薬品などが資本家的利益を前提にしながらそれを原動力として開発されてきた結果であり、基本的にお金のある人たちのためのものなのだが、一方で過酷な生活状態にある人々の生命を救っていることも事実である。そしてその結果として幼児の死亡率が著しく減少し、平均余命も少しずつ伸びている。しかし、一方で人口増加が急速に進み、救済が必要な人々の数は増え続けている。この貧しい人々の増加は、資本にとっては低賃金労働者予備軍の増加であり、資本側の本音はこの状態を維持したいのである。一方貧しい生活を強いられている人々にとっては働き手が多くないと家計を支えられないので、子供の数が自ずと増えていく。そのため世界的な食糧危機などが懸念されながらも人口爆発へのブレーキは一向にかからないのである。

 中国のようなトップダウン政治体制の国では一時「一人っ子政策」を採ることができ(いまではそれが怪しくなっているが)たし、多くの中産階級的労働者を擁する「先進資本主義国」では、「開発途上国」の低賃金労働に依存して労働者階級がある程度潤っているので家族全員が働かなくとも生活が成り立っており、子育てに多大な経費(一人前の労働者として育てあげるのに必要な教育費など)がかかるので子供を増やすことへの抑制がかかっている。

 しかし、世界的な人口増加にもっとも寄与している貧しい国々では現状でそれを抑制することは困難であろう。結局はこのような状態で、地球資源の合理的で持続可能な経済システムが許容できる範囲に人口を維持することは難しいであろう。これも資本主義経済システムの基本的な矛盾の一つである。宇野弘蔵も指摘するように、人口問題は、労働生産物ではない人間の労働力までをも商品とすることで初めて成り立つ資本主義経済体制のアキレス腱なのである。

 上記の視点からすれば日本の人口が減少していくことは決して危惧すべきことではない。それを危惧する立場は、いまの年金制度や社会保障制度が崩壊することへ危惧であり、労働力減少による「国力の弱体化」という視点であろう。しかし、いまの年金制度や社会保障制度そのものが不合理であることは誰も口にしない。

 日本社会の人口はむしろその労働生産力にふさわしいレベルまで縮小しても良いのである。しかし、その場合、過渡期の状態を考慮しなければならないだろう。ここでいう「過渡期」とは現状の資本主義社会の末期から本格的「脱」資本主義社会へ向かうための過渡期である。これに関しては項を改めて別に述べることにしよう。

 (続く)

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