« 原発労働者の賃金とカルロス・ゴーン氏の報酬から考えること | トップページ | 菅さんの「脱原発」発言に賛成する »

2011年7月11日 (月)

創造的思考についてのメモ

 このところ眩暈や耳鳴りがして、耳鼻科に薬をもらっても一向によくならないので、健康診断の際、かかりつけの医師に相談したら、脳の検査をした方がよいと言われ、MRIで脳内の検査をしてもらった。検査の結果を聞きながら、担当医にMRIの原理について質問したところ、忙しいのに丁寧に説明してくれた。

 説明を聞いた私の理解によれば、まず脳内の細胞の分子に含まれている電子を一定の方向に向けるために磁界をかけ、それをもとに戻すときに分子の種類の違いによって電子の方向がもとに戻る時間がそれぞれ異なることを利用して、その差を弁別することで、それを画像化して見えるようにするのだそうだ。

 自分の脳の画像を見ながら、私は、そのアイデアのすごさに驚嘆していた。それは多分さまざまな基礎的知見を総合して得られたアイデアに違いないが、このような形で現実にそれをこれまで不可能であったある目的に使えるようにするということはすごいことだ。

 次に感じたことをひとつ。震災による福島の原発事故以来、電力会社のあまりの専横さに腹を立て、自家発電装置を自前で作ってやろうと思い立ち、太陽光発電に挑戦しているが、初めてのことでいろいろと分からないことがある、そこで、趣味の友達で放送局の技術部門の仕事をしている友人にいろいろ教えてもらって、装置を試作している。まず中古で安く手に入れたソーラーパネル(これもその友人から買った)に充電コントローラをつないでバッテリーに充電し、そこからDC-ACインバーターでAC100Vに変換した電力を使って扇風機などを使おうというものだ。ところが24V使用のソーラーパネルの起電力が弱っていてバッテリーにうまく充電しない。そこでその友人に相談したところ、パネルを直列につないで48Vやってみたら?ということだった。たしかに理屈では充電コントローラを通せば24Vになるので行けそうだし、一銭の金もかからないし、良いアイデアだと思った。ところが充電コントローラの上限電圧が34Vであることが後から分かり、またまたその友人に相談した。彼は「う〜ん」と言って考えていたが「じゃあ、秋葉辺りで安く売っている整流用のブリッジダイオードをたくさん買ってきて、そのDC出力部分を直列につないで、ダイオードの順方向電圧降下分(1個について約0.6-1V)を加算して充電コントローラの上限まで電圧を下げてやればいいんじゃない?」と教えてくれた。なるほどこれなら大型の抵抗を使うより発熱対策も取りやすいしおそらく千円と少しの出費でなんとかなりそうだ。

 私がここで感じたことは、先のMRIのアイデアの様な場合とは違い、小さな身近な問題で専門的技術者が日頃持っているさまざまな経験的あるいは実践的知見をうまく利用して問題を解決していく能力のすごさである。

 そのような思考のもつ実践的問題解決力に対して、職能的デザイナーのアイデアなどはなんと矮小な「創造力」であろう。まして、最近しきりに称揚されている「提案型デザイン」の発想のようなものの多くは、結局、資本の力による「売らんかな」の動因にもとづく「新製品」開発のために要求される能力であり、結果としてたいして必要もない商品を開発し、すぐに捨てられてしまうガジェットの山を生み出すことで資源やエネルギーの無駄遣いに奉仕しているのだ。

 真の創造的思考は、やはり本質的に「問題解決型」であるし、小さな経験的知識の膨大な集積からしか生まれないものであると確信している。

|

« 原発労働者の賃金とカルロス・ゴーン氏の報酬から考えること | トップページ | 菅さんの「脱原発」発言に賛成する »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/210651/52176608

この記事へのトラックバック一覧です: 創造的思考についてのメモ:

« 原発労働者の賃金とカルロス・ゴーン氏の報酬から考えること | トップページ | 菅さんの「脱原発」発言に賛成する »