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2011年9月 6日 (火)

リビア石油利権のために民衆を犠牲にしたイギリス政府

 TVの国債ニュースによれば、リビアのカダフィ政権はもはやほとんど崩壊状態である。アメリカやイギリスなどの「先進新資本主義国」政府の指導者達は、「リビアの民主化への前進」としてリビア革命を起こした民衆をたたえているが、実は彼らはほんの半年前まで、カダフィ政権と緊密な関係にあったのだ。イギリスでは007で名をはせたMI6という諜報機関がイギリスのメジャー石油資本であるBPとの緊密な連携のもと、カダフィ政権に擦り寄り、リビア石油利権を獲得することに腐心していたのだ。今年の春、突然降ってわいたように起きたリビア民衆の独裁政権への抗議の波に、手のひらを返すように態度を変えて、大使館を閉鎖したイギリスに対して、元カダフィ政権の中枢にいた高官が、「本当に驚いた」と言っていたのを見ても、当時の状況が察せられる。

 つまりイギリスやアメリカの政府は、「民主主義の大本山」のような顔をしているが、その実、石油資本のためにリビアの民衆へのカダフィの独裁的圧政に目をつむり、黙殺していたのである。その間、リビアの民衆は一言でもカダフィの批判をすれば、拷問を受け、それを「民主主義の大本山」に訴えようとしても完全に無視されていたのである。これがいまの「民主主義」の実態であり、本質である。

 おそらくリビアの民衆は、今後いくらイギリスやアメリカの「民主主義」がエールを送っても、心の底からそれを信頼することはないだろうし、石油資源の利権を目当てに擦り寄ってくるその他の国々にも、外交上それらの国々とうまくつきあうことはあっても、決して気を許さないだろう。

 ひとくちに「中東の民主化革命」などと言っても、その内実は決して単純ではないだろう。チュニジアとエジプトでは状況が違うし、まして産油国リビアでは状況がまったく異なる。そしてシリアやイエメンはもっともっと悲惨な状況が繰り広げられているに違いない。しかし「民主主義の大本山」は、自国の産業界(つまり資本)擁護の立場から、もし資本の維持蓄積に不利になるような結果が予測されるなら、決してそれらの国々で圧政に喘ぐ人々に支援の手を差し伸べないだろう。

 そして残念ながらそれら「民主主義の大本山」の国々で暮らしている労働者階級も、自国の資本家が倒産するようなことがあっては、自分たちのクビも危なくなるという意識が強いので、その悲しむべき状況に反対はしないであろう。真実は「資本家企業あっての労働賃金の確保」なのでは決してなく、国境を越えて、ともに資本のくびきのもとで賃金奴隷化されている労働者であり、ともに資本に収奪された労働の成果を取り戻し、分かち合うべき同士なのだが。

 民主主義はまだそうした本来のインターナショナルな姿からはるか遠くにあって、「国家」や「国益」という見えない壁に囲まれた怪しげな資本家的「民主主義」と「自由」の姿しか見えてこないのである。

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