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2011年11月 2日 (水)

世界資本主義体制の崩壊が始まった

 私の情報収集力が不十分なので、正確かどうか分からないが、知るところに依ると、ニューヨーク・ウオール街のデモは、世界の1%にしか過ぎない人々にほとんどの富が集中し、大部分のアメリカ人は、生活不安や失業の脅かされている事実に対して、ウオール街の取引に代表される金融企業が、税金による国庫からの支援を受けて倒産を免れ、高い給料に甘んじていることへの抗議でると言えるだろう。しかし彼らの要求があまりに漠然として具体的でないために、「民主的(ガス抜きとして相手の言うことを一応聞いてくれる)」取り締まり当局から文句を言われている。だがその求めるところの本質は社会全体の変革であろう。

 ロンドンではセントポール大聖堂の宗教者たちが金融資本とつるんでいたことへの抗議運動が行われている。アテネではEU首脳会議がようやく決着をみたギリシャへの巨額の資金援助とその見返りの、徹底した緊縮財政からくる生活者への増税と生活圧迫への抗議が爆発し、板挟みとなった首相がEUからの支援を受け入れるか否かを問う国民投票を行うと宣言した。そしてEUを中心としたG20諸国はその宣言に「ショックを受け」世界株式市場は急落した。遅かれ早かれ、国際金融市場は大混乱となるだろう。

 そのほか中東諸国の動きも盛んであり、そこには人々を抑圧しつつ世界資本の絆に結ばれ、「先進諸国」の資本家代表政府連合に容認されてきた独裁体制という政治形態への抗議とともに、未だ宗教的な結束力に頼っているとはいえ、本質的には階級闘争といえるだろう。

 アメリカ、イギリス、ギリシャの運動もそれぞれの形こそ違うが、本質的には階級闘争であるといえるだろう。

 マルクスが資本論を出版して以来、150年の間に資本主義社会はその姿形はさまざまに変化してきたが、資本主義生産様式の経済学的本質は、いまでも何ら変わっていない。そして19世紀前半に巻き起こった、反資本主義への国際的な運動は、大きな圧力になってきたが、20世紀に入って変局を重ね、ついに20年前に完全に崩壊してしまった。第一回戦では資本主義体制側が勝利したのである。そしてそれゆえ今の状況がある。

 EU諸国の首脳たちは、結局、国際金融市場が崩壊することをもっとも恐れ、それを護るためには各国の労働者の生活を犠牲にしようとしているのである。EU首脳のみならず、アメリカ、日本、などの「先進資本主」義国の首脳たちは、結局は、みな同じ立場で考えている。中国は形だけの共産党政権であり、中身は党官僚独裁による国家資本主義であるといえる。そこでは先の「先進資本主義国」での消費を支えるという名目で、国際市場で競争力のある商品を輸出し、外国からの投資を呼び込み、鄧小平の言ったとおり「豊かになれる者から豊かになればよい」仕組みが出来上がっている。その「経済的繁栄」の前提となっているのが、農村から大量に供給される低賃金労働力である。「先進資本主義諸国」の労働者との「格差」が中国商品の国際市場での強みの根源である(いまやタイ、ベトナム、ミャンマーなどの東南アジア諸国の労働者が中国よりはるかに安い労働力の供給源となってきてはいるが)。

 そしてその「先進資本主義諸国」での労働者階級の生活は、世の中の1%に過ぎない資本家たちの保有する資本が過剰となって、その利益を圧迫しないように、過剰資本を再生産に結びつかない「純粋消費」にふり向けるためにを浪費が強要されてきた結果、「消費まみれ」となり、消費こそが経済を活性化させる唯一の方法であるかのように言われてきた。高い労働賃金水準は、こうして築き上げられてきた、生活資料の大量消費のためにそれを吐き出させることが目的で上げられてきた労働賃金政策の結果であろう。

 そしてその結果は資源の枯渇や自然環境の破壊、そして社会全体の人間的絆の崩壊であった。挙げ句の果てが「原発がなければ経済が成り立たない」ような社会を生み出してしまったのである。

 いま世界がそうなるべくしてそうなってきた、国際的資本主義体制の崩壊期にあって、労働者階級の側には、資本主義以後の社会を築き上げるための国際組織が不在なのである。マルクスがこの状況を見たら切歯扼腕したであろう。次世代の社会を担う若い人たちは是非そのことに気づいてほしい。カビの生えたクラシックな「労働運動」でなく、ただやたらと「過激さ」を競う反体制運動でもなく、しっかりと理論的な基礎をもった、大きく深い反資本主義運動が、いま期待されているのだと思う。

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