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2011年11月27日 - 2011年12月3日

2011年11月30日 (水)

資本主義的労働形態(分業種)のさまざまな姿とそれらが生み出した「富」の現在

 絶えず世界中の株式市場の値動きを見て、売った買ったとクリックだけで何十億何百億という金を動かすトレーダーなどはもちろんのこと、会社の財務管理や経営政策、そして販売計画などを考えるホワイトカラー、そして生産部門でも設計技術者やデザイナー、生産管理などに携わる人々などを、総称して「頭脳労働者」と呼んでおこう。この人たちは自分たちが「労働者」であるなどとほとんど考えたこともないだろう。彼らの多くは「労働者」とは非正規雇用で生産現場のラインに貼り付けられている、肉体労働者や、運輸、流通などの現場で過酷な運転業務や倉庫で配送仕分け業務などに携わるアルバイトたちや、社会インフラのメンテのために下水道の中や高圧線の上で働く人たちなど、ダートで危険な仕事に就いている人たち(実はこの人たちの労働こそ社会にとってもっとも必要な労働なのであるが)のことであって、知的な仕事をしている自分たちは労働者ではなく「中間層」だと思っているだろう。そして資本家の意図を代行する分業種であるこれら頭脳労働者の労働内容が肉体労働者の労働内容を支配する構造になっているのである。

 しかし、これらの労働はすべて、資本の回転によるその維持・増殖という一つの経済法則(いわゆる市場経済の法則)のもとに支配され「資本の機能を果たす分業種」として経済的存在意義を与えられた賃労働者なのである。肉体労働者に比べて頭脳労働者は、比較的資本家の分け前を受けやすく、その労働力の価格も恣意的に決められるので一見豊かな「中間層」に見えるだけのことである。もちろん、最近のように世界的に資本主義経済が崩壊し始めると、資本の側も呑気なことは言っておられず、ホワイトカラーあるいは中間層といわれる人たちへの「分け前」は減らされ、労働条件や賃金水準もどんどん悪くなり、頭脳労働者間の労働市場における競争も激化しており、それが失業率の増大という形で現れている。いま一番甘い汁を吸っている金融資本企業の従業員も銀行が潰れれば一気に収入がなくなるであろう。彼らは本当はもっとも社会にとって「不必要な存在」なのである。

 資本家代表政府は世の中でいくら多くの中小企業が潰れても「仕方がない」とか「痛みをともなう改革」などといって平気な顔をしているが、資本の中核を握る金融資本が危機に陥ると必死でそれを支えようとする。だからそこに勤務する従業員たちは「特権階級的頭脳労働者」なのである。彼らの頭脳は資本家の頭脳そのものであると言ってもよいだろう。

 金融資本を「社会的に共通に必要な経済的中枢機能を果たす企業」と考えるのは資本家階級とその代表政府およびそれを支えるイデオローグたちである。しかし、いま世界中で投機家のターゲットになっている巨額の過剰流動資本が、それを生み出した労働者階級に還元され、資本の維持・増殖などのためではなく、本来の意味での社会的共有ファンドとして直接社会のために機能することを阻止しているのは、他ならぬ、他人の生み出した富を私的に収奪し専有する権利を与えられた資本家階級にとっての共通利害機能を果たす金融資本なのである。

 そもそも、資本主義イデオロギーによれば、社会的(実は資本の)生産力が高くなれば高くなるほど、人々の生活は豊かになるはずであった。しかし、大量生産技術(これは資本主義生産様式で相対的剰余価値の生産のために生み出された技術である)などによる生産力が高められると実際には、労働はますます過酷なものになり、社会的格差が増大し、多くの人々が貧困化されていく。過剰資本の処理のためにモノがどんどん作られどんどん消費されればされるほど、それを作り出している人々が貧乏になり生活が貧困化されていく。世の中には「富」があふれているのにである。

 こうした、資本主義社会の矛盾そのもを労働形態において体現している資本主義的「分業種」が、本来の社会的必要労働の分担形態へと変化し変質するには長い時間が必要であろう。しかし、どのように変わるべきか、その確実な未来を見据えることなしには、いまそこにある矛盾さえも「矛盾」として見えてこないであろう。われわれを支配し、苦しめている「資本」の正体は実はわれわれの先輩たちの過去のさまざまな労働の血と汗の結晶なのであり、それをわれわれの手に再び取り戻すことこそ社会的正義であるといえるだろう。

 そしていまやその労働者階級の過去の労働の集積である巨額の富(マルクスのいう「死んだ労働」の集積)を奪い合う投機的市場筋自体が自らの存在基盤である世界資本主義経済体制を自ら崩壊させつつあるのだ。自己否定によって滅びる者は滅び、自己否定によって本来の自己に還ろうとする者はやがて歴史を変えることになるだろう。

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