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2012年2月12日 (日)

橋下氏の主張に関する考察(2)

 (前回からの続き)橋下氏は、いま日本中が陥っている状態が、人々の「努力不足」に起因しているとでも言いたいのだろうか?いまあらゆる職場で働いている人たちは、むしろ20-30年前に比べてはるかに過酷な労働にされされていることをご存知なのだろうか?

 もし、本当に橋下氏が言う様に、東アジアや東南アジアの若者が日本の若者と同じベレルの教育と労働力を持つ様になっているのであれば、そもそもなぜ労働集約型製造業の生産拠点がアジアに置かれる様になるのか?それは完全な事実認識の不足である。アジア諸国の労働者の大半は大学はおろか高校レベルの教育も受けることができなかった人々である。いま急速に「経済成長」している国々の中にはいわゆる富裕層や中間層が育ちつつある。かれらは確かにかつての日本人が味わったであろうような「豊かな」生活を謳歌しているかもしれない。しかしそれはその国の労働人口全体から見れば少数派の人々である。それにも拘らず例えば中国やタイ国の様な国では、少しづつ労働者の平均賃金水準が上がってきているので、日本や欧米の産業資本家は生産拠点をそれらの国々からさらに労働力の安い東南アジア諸国(ミャンマーなど)やアフリカなどに移しつつあるのだ。

 その一方で日本国内では労働者階級の格差が拡大し、非正規雇用者を中心とした下層労働者は職場も収入もきわめて不安定で、結婚や家庭生活など夢のまた夢で人生計画も立てられない状態になっている。上層部に入る労働者階級はエリート大学出身者や支配的階級にコネクションのある人々が多く、そこではいわゆる「付加価値」の高い産業に従事する人が多い。

 この状態で橋下氏が言う様に「海外で稼いだお金を日本に戻す仕組みを考え、国内でサービス業などの付加価値を高める環境をつくり、民間でお金が回る税制にする。円高で生まれた輸入業のもうけを輸出業に回す「デリバティブ」のような仕組みを考え」たとしてもそこで捻出されたお金は相変わらず富裕層のもとに集まり、決してもっとも過酷な労働を強いられている大多数の人々の手には届かないだろう。

 個人の能力をトコトン発揮されることができる様な教育をタダで受けさせる、といっても、それには莫大な予算が必要でありしかももし実現できたとしてもどんな教育内容にするか、誰が教育するのか、卒業者全体の受け皿はあるのか、など問題だらけである。しかもそれによって格差ができることをあらかじめ許容しているのだからおそらくはエリート振り分け型教育になるだろう。卒業生はある能力に関してグレード付けをされてしまう。教育とは果たしてそのようなものであるべきなのだろうか。断じて否である。

 多様な価値観の中で、最終的な決断を行えることが政治家であるとすれば、それをどのような方法で行うのかが問題であり、これは単なる決断だけの問題ではない。すべてを政治家の決断に任せるのが民主主義ならばヒトラーもスターリンもすばらしい政治家だったと言わざるを得なくなる。彼らが一応「民主主義的」に選出されたにも拘らずなぜあのような独裁者になってしまったのかを考えるべきだ。いまこそカリスマ的リーダーの登場なくしてボトムアップ的意見をくみ上げてそれらを全体のバランスの中で「決定」に結びつけて行く民主的な方法を考えだすべきなのではないか?

 最後に地方自治について、これは私も将来は本来の意味で持続可能な経済体制を生み出すためには、現状の様な「グローバル市場経済」ではなく、ローカルな地域社会がそこだけで自立できる経済システムを維持し、そこで生産できないもののみを他の経済圏から輸入する方式が現実的であるように思う。しかし橋下氏のいう道州制はちょっと私の考えているローカル社会のイメージとは異なるようだ。これについては後日もう少し検討を加えてみよう。

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(2月23日に追記:橋下氏はなんと自分の配下にある大阪市職員のメール内容の調査や思想のチェックを強制するという行為に出た。なんという男だろう!これは絶対に許すべきではない。若い人たちに圧倒的な人気があると言われている橋下氏だが、若い人たちはこんな現代のヒットラーのような人間を決して支持してはいけない。後で必ず後悔することになるだろう。)

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