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2012年5月24日 (木)

格差と地球環境破壊を生み出す「無駄な競争」

 最近TVで国際ニュースを見ていると、ギリシャでの政府財政破綻後の混乱や、それに対するEU側の困惑、ドイツのメルケル政権と二人三脚でEUを牽引してきたフランスのサルコジが大統領選挙で敗北しオランド左翼政権が誕生し、スペインでさっぱり下がらない失業率、カナダケベック州での公立大学学費大幅値上げに対する学生の反対運動の激化など、資本主義経済体制の国々の矛盾が噴出しているのがよくわかる。

 それらに共通していることは、それらの国々がいわゆる産業界(つまり資本家階級)主導型政府のもとにあって、政府が押し進めなければならない公共的事業を国債などによる収入で支えてきた国家財政が行き詰まり、その負担を減らすために「緊縮財政」という形で公共予算を削減したり、消費税など国民全員が負担する税を増額してそれを補おうとしていることである。

 こうした政策は必然的に、労働者階級にしわ寄せが集中し、経済不況で失業した労働者や経済的に苦しい状況に置かれた人々を直撃している。

 しかし、一方で数百兆ドルにものぼる「過剰流動資本」が世界中で投機のターゲットとなり、金融資本家のリスキーな投機や投資に拍車をかけている。投機や投資に成功したり金融資本の甘い汁のおこぼれを獲得した一握りの連中は信じられないほど高額な収益を得ているのである。

 一方で貧困化する労働者階級、他方で金融資本家とそのおこぼれにあづかる連中が肥え太る、これが資本主義的「自由市場」のもたらす必然的結果である。

 しかし、この天文学的数値となった大量の「過剰流動資本」はいったいどこから生まれてきたのか?それは資本主義経済体制下で雇用され働く労働者の剰余労働が生み出し資本家階級によってさまざまな形で収奪された剰余価値によってもたらされたものである。つまり、本来は、社会のために働く労働者たちが、自ら生み出し、その社会的共通基金として公共的事業や社会保障のために蓄積すべき剰余労働の成果が、一握りの富裕層によって私有化されているのである。

 「グローバル資本」間の競争のもとで働く労働者たちは、その雇用主である資本家が国際市場での競争力をつけるために必死になって働かされ、「国際競争に勝ち日本の産業を護るためだ」と言い聞かされ、長時間労働や非正規雇用など労働条件の悪い状態に文句も言えず日夜働いているのである。そして資本家たちは競争力をつけるために、労働賃金のより低い国々へと、生産拠点を移しながら、自国の労働者を失業に追い込んでいるのである。

 だが、この国際競争が何を生み出しているかを見れば矛盾は明白である。それは一方で、一握りの金融資本家や投機家、投資家などに莫大な所得を獲得させながら、他方で、そのために資本家たちは、作らなくてもよいモノを次々と生産させ、売り込み(デザイン労働者の労働はこれに奉仕させられている)、大量に消費させ、それによって資本家階級の利益を維持させながら、同時に大量の資源や労働力の無駄使いを行うことで地球の自然環境をどんどん破壊しつつあるのである。

 つまり、このまったくもって無駄な資本家どうしの国際競争によって資本主義国での社会的格差は拡大し、地球環境が急速に破壊されているのである。

 こうした事実はいまの資本主義国の政府には理解できないのである。彼らはただただ「緊縮財政」かさもなくば「経済成長促進」を叫ぶばかりで、他に選択肢が見つからないのである。

 誰が「緊縮」しなければいけないのか?誰が「経済成長」するのか?それは世の支配的地位にあって自らその無駄な競争をコントロールできない資本家階級である。資本主義経済の法則に縛られ、この地球規模での無駄な競争に歯止めがかけられない資本家たちは、これを「自由経済」と称している。しかし、それによって生活や生存の危機を深めている労働者階級はその資本家どうしの無駄な競争によってますます疲弊化し、希望を失わされていく。

 いまは、「世界資本主義市場の牽引車」と言われ、一党独裁資本主義国である中国の労働者たちもやがてはこうした運命が待っていると言えるだろう。

 いまこそ世界中の労働者が連携して、この矛盾に充ちたグローバル資本主義経済体制による無駄で破壊的な競争に、グローバルな労働者的視点と国際的結束によってストップをかけるべきなのだと思う。日本の左翼政党にこの視点があるのだろうか???

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