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2012年6月12日 (火)

またまた資本論を読み直す

 このところ、世界で起きているさまざまな出来事をニュースなどで見るとともに、現在われわれが置かれている状況をどのように判断してようにかをいろいろ考え続けている。そのときの判断の基礎には私が若い頃学生運動に加担したかどで10年以上も干されていた大学の研究室で読んだマルクスの「賃労働と資本」、「経済学哲学手稿」、「ドイツイデオロギー」などと、資本論を理解する手助けに読んだ宇野弘蔵の「経済原論」、「価値論」、「恐慌論」、「経済学の方法」、など、そしてそれらを手がかりに苦労しながら読み始めた「資本論」(例の向坂逸郎訳の岩波版)、といった文献から吸収した知識や思想が土台となっている。

 しかし、「資本論」は、結局第2巻まで読んだものの、第3巻はほとんど拾い読み程度しかしていない。宇野の「経済原論」でだいたいその内容が推測できたのでそれでよしとしてしまったような状態だった。正直言って途中で疲れてしまったのだ。そしてその頃から再びデザイン論研究に復帰することになったため、研究の重心がそちらに移ってしまったため、そのままになっていた。

 だが、大学をリタイアして読書と研究の時間が戻ってきたいま、自分のこうしたマルクス経済学の知識への生半可な不十分さが、大問題であると感じ始めた。それは、マルクス以後の資本主義社会の歴史的展開を見据えて、現在の資本主義社会を理解しようとして、これも若い頃に読んだ、レーニンの「帝国主義論」や大内力の「国家独占資本主義」などという本よっている自分の現代資本主義社会への知識や理解が、そろそろもっと先に行かねばならないことを感じ始めたからだ。ひさびさに赤鉛筆で傍線がびっしり入った「経済原論」や「価値論」、「国家独占資本主義」などの文献を再読しながら、そこから当時見過ごしていたことを発見し、学ぶことが多く見つかったと同時に、これらの主として1970年代の文献からだけではもはや歴史的現在を十分理解しきれないような気がしてきたのだ。もはや地球上からいわゆる社会主義経済圏は消滅し、世界は資本主義社会が完全に支配を復権したかのように見える。そしてそこで起きつつある危機がどのような危機であるのかを生き残ったマルクス経済学者たちも含めてだれも正確には理解できておらず、もちろん私の理解もはるかに超えた状況があるからだ。

 そこで私は最新流行の思想書に食いつく代わりに、再びマルクスの原典に向かうことにした。もちろん私はどこかの先生の様に資本論の解説者になるつもりはなく、また教条的なエバンジェリストなどになるつもりなどさらさらない。ただ、マルクスが真実を求めて七転八倒しながら未完のまま残した資本論からどのような現在に通じる真理を汲み取ることができるかを探りたいからである。

 これからときどきこのブログでその成果(?)を記録し続けていくことにしようと思う。

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コメント

野口さん、HIROさん、今晩は。
話は当方の関心事に、突然なるが、ご容赦願いたい。
ギリシャの緊縮廃止再選挙とユーロシステムの崩壊オペラの予測についてである。
勿論このユーロ通貨システムは、欧州各国の労働者の団結が産み出したものであるはずもない。端的に云えば、ドイツ資本群の利潤増大を図った彼等資本群団自身の作詩作曲に他ならない。

ギリシャに車や薬を、いはばユーロ補助金をつけて売ったと考えれば分かりやすい。その補助額はグローバル世界がとりあえず融資の形でギリシャ政府に渡し、その補助金を出させたのである。地上波液晶テレビでお馴染みの手法である。
売上は当然ながら、なんの値引きもせずに、補助金ともどもドイツ資本群の懐に戻った分けだ。

さて、融資を返せというルールでさらにギリシャに迫るのも、グローバル資本主義群団・政府の論理である。グローバル資本も多少は儲けさせて貰った上、融資の利子でさらに稼ぐのだから彼等のやることはユーロ補助金詐欺そのものである。この補助金等を動かしたのは、グローバル金融機関である。彼等はグローバル融資係りであって、実際に資金を出したのは、各国国民、つまり税金なのである。融資係は車や薬の売上を直接的には受け取らないが、間接的には一連託生の仲間であって、実質的には利益のおこぼれに潤った上で、決済のみが成り立たないとルールを持ち出す。金融資本が倒産しても資本群団としては、十分織込み済であるが、利潤追求以外の性質がないため、融資金融機関としては資本主義的一般論を吐く。

一方のギリシャ急進左派連合は、この事態を認識できていない。だから、反緊縮、ユーロ離脱も検討するという論で選挙を戦っているが、自民・民主と大した差がないのである。橋下市長劇に似ている。ただ、資本主義体制として容易に体制を維持し続けることはできないだろう。再々選挙、再々々選挙が、ギリシャ労働者にこの事実を教え続けることになる。世界の国民から巻き上げて儲けを得る資本群団のやり方を根絶する他に道はないのである。かように、ちょっと書かせてもらったが、本当の分析を速くなんとかしてください。というお願い文なのである。

投稿: mizz | 2012年6月14日 (木) 21時41分

「ボトムアップ経済システムを構築しよう」に指摘されていたことが、下記の論文に示唆されていることを発見しました。ソ連に始まる「社会主義経済」の崩壊の原点を知ることは、今後の社会の進展にとって、避けることができない大切な課題だと思います。

http://www12.plala.or.jp/iwabayas/kachiron.pdf

50年以上前に向坂逸郎訳「資本論」を二、三頁で放り投げた者がmizzさんの「英訳版『資本論を読む』」で少しずつ勉強し始めている者です。

上記の論文はグローバルな資本主義の次の経済システムを探る上でヒントに満ちていると思いますが、いかがでしょうか。

投稿: HIRO | 2012年6月13日 (水) 18時15分

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