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2012年10月29日 (月)

置かれた場所で咲きなさい??

 これはいま売れている本のタイトルである。「置かれた場所で咲きなさい」は確かに美しい言葉ではある。生きにくい世の中を人のせいにすることではなく、自らの立場をわきまえ、そこで十分に与えられた役割を果たすことこそが生きる意味なのだということであろう。
 しかし、世の中では、「置かれた場所」でどうしても「咲く」ことができずに苦闘している人々や、その「場所」に疑問を持つことに疲れ果て、あきらめたり、その「場所」から脱出できずに絶望の中で死んでいく人々が圧倒的に多いのではないか?こうした人々にとって、この言葉はある種の慰めにはなるだろうが、客観的な事実を知って自分の実存を変革しようとするポジティブな意思を捨てさせることにもなる。

 ここでよく考えなければならないことは、世の中では「置く」人と「置かれる」人がいるということである。この本の著者は聖職者のようだ。つまりここでの「置く」人は神である。そして神のみこころによって「置かれた」人は、そこで咲くことこそが生きる意味であり神の意図なのだというのであろう。
 しかし現実の社会においては「置く人」は神ではない。生身の人間である。そしてこれらの「置く人」は人間が生きるために必要な社会的営為を支配する手段や方法を手にしている。「置かれる人」は彼らの意のままに生きざるを得ないのである。これを「置かれた場所で咲きなさい」と言えるのは、「置く人」からの目線である。
 人間にとって与えられた肉体的・生理的条件は変えることができない。そしてこの世界に生まれてきたことも自分の意思ではない。しかし、いったんそうした変えることのできない条件のもとに生まれてきた自分が、それを「置かれた」ものとして受け止めざるを得ないことと、それを前提としてこの世界で自らの意思のもとで生きようとすることは別である。
 人は、本来、置かれた条件があるからこそ、その制約をむしろ手段として、あらたな自分の場所を自らの意思で決めることができる存在なのではないか?しかし、いまの世の中はそうなっていない。そして、そのようなことができる世の中にすることこそが、必要なのではないだろうか?
 なぜ、そのような場所に置かれているのか、なぜそうなったのか、そこにある、ごまかすことのできない事実を知り、それと戦うことこそ、神によって与えられたものではなく、歴史が自らに与えた使命といえるのではないだろうか?
 

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コメント

野口さん、今晩は。mizzです。

いや、資本家も必死になって来たようですね。ヨーロッパも中国も、ブラジルもで。
以下、私の書評。

この本は資本家のための本であって、資本家の考え方の基本をしっかりと示しています。
著者は渡辺和子、宗教家。このタイトルは、とある宣教師が手渡してくれた英詩から。

Bloom where God has planted you.(God has をYou have been としたところが、いかにもの、神かくし。)

神は資本家という素晴らしき境遇をあなたに資本と共に偶然に与えています。この資本にいかなる花を咲かせるかがあなたの役割です。花が咲かせられない場合もありますが、その時はしっかりと根を伸ばすことです。そうすれば花はさらに大きくより美しいものとなります。

信頼98% 後の2%は相手が間違えた時の許しのために取って置く。

資本家がやるべきことは、神より与えられた資本をさらに大きな資本へとすることです。花は資本の造花(増加)です。根は水分(労働力)の搾取です。現実の問題はどうであれ、心の持ち方で、この生活様式を単純拡大することができます。神は偉大であり、偶然に奴隷を与え、土地を与え、労働者を与えてくれたのですから、それを悩むことはありません。と、とんでも主張丸出し。

仲間と競争する場合も、98%はグローバルに、2%は武力の行使の許しためにとのお教えです。

この資本家たる境遇に試練は付き物です。でも感謝して丁寧に、希望をなんとしても維持し、労働者の生活のことなどで悩むことはありません。一人半票。二大政党三党合意。赤字国債法案可決。選挙は人気で。とやることは多いのですから、今の居場所で頑張りましょう。

革命などあってはならないテロです。私がPHPから出版した他の同様の本もしっかりと読むことですよ。「人」としてたいせつなこと、愛と励ましの言葉366日、忘れかけていた大切なこと、人を育てる 等々。どの本にもちゃんと書いてあります。

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従って、かような内容ですから、労働者は、反面教師としての利用は別ですが、読む必要は全くありません。読まされそうになった場合は、かならず、後でと云い、置いていかれたら、遺失物として、警察に届けることです。資本家の頭の中のことを聞いてやる必要はありません。もう十分分かってます。

投稿: mizz | 2012年10月29日 (月) 15時38分

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