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2012年11月26日 (月)

12月16日という歴史のターニングポイント

 衆議院解散に伴う選挙と、それに出馬するために都政を投げ出した都知事の後任を決める選挙が同時に行われることになった。

 朝日新聞の調査によれば、比例投票先の予想は、自民23%、民主13%、維新9%だそうだ。議席を伸ばしてほしい政党でも自民25%維新22%だそうだ。この数値をどう受け止めるかは選挙民次第であるが、もし自民党に投票すれば、憲法を「改正」し自衛隊を「国防軍」にするとおっしゃり、日銀に貨幣増刷をせまり、インフレ政策(これには日銀が反対している)によって「景気浮揚」させるという「安部マニフェスト」に賛成することになる。

 選挙対策でかっこいいポーズをとりながら「第3極」をむりやり作ろうする「維新の会」は当然のことながら内部的統一がなく、ひとつの党としてやっていける可能性は少ないが、橋下・石原連合も世の中の右傾化を利用して「強いリーダー」として支配権を持とうとしていることは明らかであり、その意味できわめて危険である。

 自民党は「自衛隊」は事実上すでに軍隊であり、憲法を「改正」して「普通のくに」として国防軍をもつことは当然、としており、また集団安全保障の立場にありながら、自衛隊が同盟国援助のために戦闘参加できないことは矛盾だ、という。
 しかし、よく考えてみよう。「中国の脅威」に危機感をもつ選挙民に、それを口実にして、憲法を「改正」し、事実上すでに「軍隊」である自衛隊を「国防軍」にしようということは、単に名前だけの問題では決してなく、一方で、いままで集団安保でアメリカの軍事力に大きく頼っていた「国防」を自前でやれるようにしたい(したがって沖縄の基地は主人が米軍から「日本国防軍」に代わるだけであって決してなくならないだろう)という願望(これは財政難に陥って軍事費削減を迫られているアメリカの願望でもある)があり、その背景には、「強いリーダー」のもとでインフレ政策によって資本の回転率を上げ、同時に軍事費の増大とそれによる軍需産業を強化し、それらをテコにして「経済成長」を促すという目論見があることは確かである。従来の自民党の立場をそのまま維持し、より右よりに強化したと見るべきであろう。
 おそらく、その結果は、富はますます一部の資本家のもとに集中し、資本家間および労働者間の格差が増大し、対外的には対中国関係をさらに悪化させ、中国市場だのみの日本の産業を切り回す資本家たちをも困らせることになり、おそらく中小企業の打撃がもっとも大きくなるだろう。そして原発は少なくとも馬鹿げた「経済成長願望」が潰えるまではなくならないだろう。
 だまされてはいけない。格差、原発など戦後50年以上にわたって支配し続けてきた自民党政権がやってきたことへの「ツケ」がいまわれわれにのしかかってきているのであって、3年前の「政権交代」への選挙民の願望は、そこからの脱却であったはずだ。しかし民主党はそれに応えられなかった。いまはまず、それが何故だったのかをしっかり考えるべきではないだろうか?ましてそのことを何ら反省していない自民党に鞍替えするなどまったく馬鹿げているではないか。
 いま歴史のターニング・ポイントに立つわれわれは、かつての1930年代のように、いたずらに「強いリーダー」などを求めず、われわれ一人一人が世の中の歴史や動きをよーく観察し、よーく考え、ばらまかれるうさんくさいオピニオンに惑わされることなく真実をつかみとるべきなのではないのか?

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

野口さん、今晩は。少し長くなって申し訳ないのですが、いよいよ選挙。
各党の見解を、どう言う分けか、経済どう言おう会 (ごめんなさい、経済同友会でした。)が、前月22日に各政党に対して公開質問状を発し、同月29日までに回答を求めました。30日にそれをホームページで公開しました。これを取り上げて置きたいと思います。すみませんがお邪魔させて貰います。

この中の1.[経済成長] ♢TPP協定交渉参加の是非および規制改革推進のあり方
と、5.[経済対策] ♢金融政策を含む今後の経済政策のあり方
の2項目について各党の回答を簡単にまとめて見ました。政党順は同友会のもの。
なお原文を見るにはhttp://www.doyukai.or.jp/ 最新情報11月30日公開質問状をクリック。

❶公明党
(1)TPPについては事前の協議内容が公開されず、十分な国民的議論ができておらず、国益に関するコンセンサスもできていない。国会に調査会もしくは特別委員会を設置し十分審議できる環境をつくるべき。規制改革推進: 医療、農林などの分野で、他と合わせて大胆な規制緩和を。
(5)大型補正予算を含む経済対策を実行。金融政策では一定の年次で1-2%程度の物価水準目標の達成を求める。

❷国民新党
(1)中国はアメリカが押しつける条件が厳しく参加しないだろう。多くのアジア諸国は中国を締め出す形でのTPPは意味をなさないと見ている。アメリカの世界戦略を冷静に見極め、国益を損なわぬ対応を探る必要がある。
(5)デフレ対策を講じ、投資拡大を促し、雇用の拡充を図る。社会保障と税の一体改革を実現し、これによって景気を刺激し、購買力を促し、経済を活性化に繋げる。効果的な金融・為替・財政政策を総動員して景気浮揚と雇用確保を実現する。

❸社会民主党
(1)農林水産業に甚大な打撃を与える他、国民皆保険制度が壊れ富裕層しか医療を受けることができなく恐れもある。ISD条項によってグローバル企業が国民主権を侵害する危険性もある。断じて認められない。21分野の規制緩和は国の形を大きく変えることになり、安易に行うべきではない。
(5)日銀はゼロ金利・量的緩和・包括的金融緩和政策を実施して来たが、デフレ脱却も雇用所得上昇もなく、雇用の非正規化が進み、自殺者も年3万人を越える。実体経済はデフレだが、金融市場はインフレ状況。貸し渋り・貸しはがしの防止、中小零細企業への円滑な融資を。

❹自由民主党
(1)安易な妥協は繰り返さぬよう判断基準を示す。1聖域なき関税撤廃を前提にするなら反対。2自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。3国民皆保険制度を守る。4食の安全安心の基準を守る。5主権を損なうようなISD条項には合意しない。6政府調達・金融サービス等は我国の特性を踏まえる。規制改革:各種規制を見直す。発展的経済活動を支援し、競争力強化を。
(5)経済の司令塔機能として内閣に「日本経済再生本部」を創設。50兆円ブロジェクトを展開。名目3%以上の経済成長を達成する。物価目標2%とし、日銀法改正も視野に大胆な金融緩和を行う。世界で一番企業が活動しやすい国とする。

❺新党改革
(1)国益を十分に守る前提で参加を検討すべき。規制改革: 全ての規制について国際比較を行った上で規制改革を断行。
(5)マネー供給を積極的に行う。インフレターゲットを設定し1-2%の物価上昇を図る。

❻日本維新の会
(1)TPPには参加し、自由貿易圏は拡大されるべきである。原則として自由な競争が望ましい。規制は可能な限り撤廃する。
(5)金融政策: 記述なし

❼日本共産党
(1)農産物の輸入は自由化され、食料自給率は13%まで低下する。国民皆保険制度も実質的に解体される。外国企業が投資先の政府や地方自治体を提訴することができるISD条項を盛り込もうとしており、自国のルールを国民が決める主権を侵す。絶対反対。この間、労働分野の規制緩和によって多大な犠牲が押しつけられてきた。これを一層推進する方向には反対。
(5)デフレのおおもとに国民の所得と消費の落ち込みがあります。これに対する対策なしに、日銀が大量の資金を供給しても、銀行に資金がたまるだけで、経済は良くならない。むしろ金融緩和によって余剰資金が投機に回り、原油等の価格高騰へと繋がる。雇用破壊とそれを後押しした政府の労働規制緩和が国民の所得の落ち込みとなっている。大企業の260兆円もの内部留保の一部を国民経済に還流させることが重要。

❽民主党
(1)アジア太平洋自由貿易圏の実現を目指す。TPPはそれらと同時に平行的にすすめ、政府が判断する。国益確保を前提に、農業、食の安全、国民皆保険は必ず守る。すでに504項目の規制・制度改革を閣議決定してきたがさらに進め、経済構造を変革し、需要を創造する。今後も消費者の暮しを快適にするための規制改革を推進する。
(5)デフレ脱却・経済活性化のために大規模補正予算を編成する。名目3%の経済成長を目指す。グリーンエネルギー革命により140万人以上の働く場を提供する。医療・介護で280万人も。農産物の付加価値を高める活動を支援する。観光、地場産業、中小企業支援。医療機器審査体制の規制・制度改革。政府・日銀一体で円高に対処する。規制見直し等で空洞化対策や企業が活動しやすい環境を整備する。多角的・包括的な経済連携を進める。地震対策。新しい公共の理念に沿って非営利セクターなどの育成を図る。

❾みんなの党
(1)TPP交渉には積極的に参加し、規制改革は徹底的に推進する。1外国人労働者や入国管理政策も 2東京をアジアの金融センターとし金融立国。モノづくり信仰から脱却、物流・教育・福祉等の産業の海外進出。アジアの物流環境、インフラを改善するためのサムライボンド(円建て債)を活用。アジア通貨基金構想の推進。円の国際化。
(5)1日銀法改正。2中小企業向けローン債権を政府保証を付加して証券化等。3政府金融資産の2/3を流動化し、金融市場にあらたなビジネスチャンスを創出。4資金の流れの円滑化 5再就職のための技術・技能の取得支援やセーフティネットの整備。

新党大地、新党日本、日本未来の党、みどりの風は現在未回答など。 以上

なぜTPPに規制改革が関連項目として質問となるかは、これにてよく分かる。
また金融政策という貨幣発行の自由を資本が欲しているということも文句なしによく分かる。資本家側政党と労働者側政党の二つの大きなグループの政治的闘いの場となってきた。
投票結果がどうなるかは分からないが、その繰り返しが続く時代に入った。資本の自由が消え去るまで続く闘いである。

投稿: mizz | 2012年12月 1日 (土) 21時28分

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