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2012年11月 2日 (金)

世界不況は結局労働者の犠牲によって「回復」を目指す

 今朝のNHK国際ニュースでスペインの経済状況を伝えていた。周知のようにスペインでは失業率が40%にもなるという不況(この不況の原因は労働者側にあるのではなく全面的に資本家とその代表政府の側にある)の中で、EUからの支援を受けて経済の立ち直りを図っているが、その中で、日産自動車などの自動車メーカーでは、労働者が低賃金や労働時間での不利な条件を呑んで就業することになり、「労働コスト」が格段に安くなったので、国際競争力がつき、そこに資本が投資されるようになり、活況を取り戻しつつあるというニュースであった。

 日本でもやがてそうなる日が来るだろう。大手電機メーカーが軒並み大赤字(この原因も全面的に資本家側にある)を出し、おそらく、人員整理も行われるであろうし、労働賃金のカットも当たり前ということになるであろう。つまり結局労働者階級が雇用を確保してもらうために賃金や労働条件が不利であっても受け入れざるを得なくなり、それによって資本家側は競争力を回復させることを目指すのである。
 実際に価値を生みだすのは労働者であって、資本家ではない。結局資本家たちは価値の源泉である労働力をいかに安く獲得するかによって延命を図り、それによって資本の側は息を吹き返すのであり、「資本の血液」である金融資本もそうした状況が出てくれば資本家によろこんで融資をするようになるのである。
 一方「世界経済の牽引車」(正確には死にかかった資本主義経済の救世主)としての中国と日本の間で起きている尖閣諸島問題で、日中間の貿易が冷え込みこの影響も日本の資本家に打撃を与えている。そして第18回共産党大会を控えて中国の支配者たちは、労働者の不満を押さえつけることに躍起になっている。鄧小平の「豊かになれる者から豊かになればよい」という考え方は、まさに資本家的発想であり、当然の結果としていまの格差社会があることに彼らは気づいていないらしい。
 中国は「安くて優秀な労働力」を最大の武器として、国際的な商品市場で圧倒的に有利に戦ってきたが、ここにきて、労働者階級の両極化が進み、リッチなグループと貧困グループの格差がどんどん拡大してきたため、貧困グループに属する労働者や農民たちの不満が沸騰している。中国に投資された海外資本のもとで働いている労働者たちは、当然のことながら賃上げを要求し、ストライキなどで戦っている。しかし中国の支配階級は、労働者の賃金が国際競争力を維持できなくなるほどに高騰することをもっとも恐れているのである。中国共産党は本来は労働者農民の党ではなかったのか?
 つまり、「世界経済」(正確にはグローバル資本市場)の「回復」は、世界的レベルでの労働者の低賃金化と労働の強化によってなされようとしている。世界の労働者階級は「生活水準」の違い(つまり労働賃金の違い)を維持するためにナショナリズムを吹き込まれ、国境内に閉じ込められ、資本の側は国境を越えたグローバルな資本の回転によってその「生活水準」の差を最大限に利用して肥え太ってきた。しかし、それがいま行き詰まっているのである。
 だから確実に言えることは、世界経済が「回復」に向かい、雇用が増えても労働者階級の生活は決してよくならないだろうということだ。「世界経済の回復」とは、グローバル資本の蓄積が回復されることであって、労働者の生活が回復することでは決してないからである。
 世界中の労働者階級は、ともに同じグローバル資本のくびきのもとで、その労働を搾取されていることを決して忘れてはいけないと思う。そしていまこそ誰のための景気回復なのかを考えなければならないときだと思う。
 

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