« 2012年9月16日 - 2012年9月22日 | トップページ | 2012年9月30日 - 2012年10月6日 »

2012年9月23日 - 2012年9月29日

2012年9月25日 (火)

iPhone 5と尖閣諸島問題

 iPhone 5が爆発的な売れ行きでAppleはそのおかげで莫大な利益をあげており、世界中の投資家たちがApple株に殺到している。彼らはAppleの株を手に入れ、高い配当を獲得し、株の売買における差益で巨額の利益を得ようとしているのだ。
 その一方で、iPhone 5 の部品を生産している中国のある企業で、労働者たちの暴動が起きた。この企業では以前から過酷な労働による労働者たちの不満が続いていた。ただでさえ生産が追いつかないAppleは焦っているだろう。
 これと同時進行しているのが、尖閣諸島問題である。中国国内での反日暴動やデモは中国政府の規制強化で収まりつつあるが、多数の台湾の漁船が台湾の巡視艇護衛のもとに尖閣諸島周辺に集結している。
 この二つの一見無関係にも見える「事件」で考えさせられることは、資本がグローバルに国境を越えて世界経済を支配している一方で、資本のために働いている労働者や漁民たちは、国境という壁の中でナショナリズム扇動の渦中に置かれているということだ。
 尖閣諸島周辺での海底油田やガス田の利権を占有し、軍事的な支配を目指している中国政府や、それに乗じて漁民たちにナショナリズムを扇動して、漁業権を獲得しようとしている台湾政府の思惑に、そして日本政府の「国有化」宣言に、「土地所有」の究極的姿が表現されているように思える。
 中国、台湾、日本の若者たちは、民族や国境に関わりなくiPhone5を使っているだろう。アメリカンドリームの象徴であるAppleの製品は、実は中国や台湾や日本で作られている。それらの国々の労働者たちの生み出した労働の成果なのである。それらの国々の生産拠点で働く労働力から生み出される莫大な価値の大半を収奪しているのがAppleなのであり、その巨額の利益に群がっているのがハイエナの様なグローバル投資家たちである。
 もともと誰の所有物でもなかった(多分、周辺地域の漁民たちが暗黙の了解でなかば共有してきたと思われる)小さな島の所有権を巡る紛争は、その占有化が結局はグローバル資本の利益に結びついているのであって、各国政府がそれを「国家」という隠れ蓑で覆い隠し、労働者たちにナショナリズムを扇動しているのだろう。その一方で、それらの国々で「国際分業」によって生み出されている製品は国境のない市場に出され、国境を越えて使われている。
 国家とは何なのか?それによって分断され、支配者たちからナショナリズムをつぎ込まれ、互いにいがみ合わされている労働者たちは、本来、インターナショナルな存在であり、いがみ合う理由など何一つないし、むしろ互いに手を結び合ってともに自分たちが分担して生み出した生産物を享受して生きる存在なのではないか?
 国境のない市場で日夜激しいシェア奪取競争をしているのは資本家たちであって、労働者たちは資本家たちの過激なつぶし合いのために、過酷な労働や低賃金のもとでその労働力や生命力を消耗させられているだけではないのか?
 馬鹿化た領土紛争で失われるものは計り知れない。いまこそ労働者たちはグローバル資本やその代理政府によるナショナリズム扇動に乗せられることなく、本来のインターナショナリズムの立場で、冷静に真実をとらえることが必要なのではないか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年9月16日 - 2012年9月22日 | トップページ | 2012年9月30日 - 2012年10月6日 »