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2013年1月 5日 (土)

雇用創出の実態

 スペインでは失業率が20%を超えている。EUではその他の国々でも失業率が高まり、解雇や賃金カットに抗議する労働者のストライキが起きているろころも多い。そして日本でもパナソニックやシャープなどの大企業でも実質的解雇が進んでおり、学校を出た若い人たちも就職できないことが多い。そこで政府が言うことは、インフレ政策を中軸とした大規模財政投融資による景気浮揚と、それによる雇用の創出を目指す、云々だ。

 しかし、よく考えてみよう。肝心なのは、雇用創出の中身である。よく例に出されることを一つ。
 失業者が増えたので、政府が雇用を創出するために、道路の真ん中に大きな穴をあけ、それを埋め戻すという仕事を創出し、そこに失業者を吸収すればよい。まったくお笑いなのだが、実はこれに近いことを今の資本主義社会はやっているのだ。
 社会にとって本来必要もないことを「必要化」させ、そこに労働力を吸収させて、雇用を創出する。このような「無駄な労働」の創出をさせて、生みだされた雇用のもとで働く労働者の生みだす価値の大半(剰余価値部分)を雇用者が取得し、それによってその企業が収益を得て成り立つということになる。
 だがそこで生みだされた「価値」とは何だろう?必要もない労働を「必要化」させることから生みだされる「価値」はまさに無駄な労働の産物であり、「根無し草的価値」でしかない。そしてこの「根無し草的価値」によって形成された資本(過剰資本が生みだす擬制的価値というべきかもしれない)がグローバルな流動資本に加算されて世界経済が動くというわけである。だからこの「根無し草的資本」は思惑だけであちこち動き回って見かけだけの「バブル」を生みだし、挙げ句の果てには必然的にはじけて無くなってしまうのである。そして前よりもさらに大規模な企業倒産や失業が大量創出されるというわけだ。いま世界を走り回ってあちこちで株価を上下させている膨大な過剰資本の実体はこのような「根無し草的資本」である。
 その一方で、本当に社会に必要な労働は、ほとんどが、労働賃金の最も安い国々で行われ、そこでの労働の産物がわれわれの生活に必要な資料となっている。この低賃金国での「必要労働」から搾取される莫大な剰余価値部分は、生活水準の差(つまり生活資料の価格の差)を、一方で、つねに為替レートの上下によって国際的価値基準が調整されるグローバル通貨(これによって初めて「生活水準の違い」が「差」として数値化される)をもとに付けられた市場価格で、相対的に労働賃金の高い国の労働者階級が必要とする生活資料としてそれらを売ることで生じる莫大な差額利益としてそれをグローバル資本が回収・獲得している。
 しかし、「先進資本主義国」においては、その蓄積される資本の量はとっくに、社会的に必要なモノを必要な量だけ生みだすに必要な資本の量を超えている。そのため、そこでは、さきほど例に挙げたような「無駄な労働」を創出し、そこに得た利益を投資して、新たな利潤を生みだしながら失業を防ぎ資本を蓄積できるようにしなければならなくなるのだ。
 また「先進資本主義国」の内部においても、安い労働賃金や過酷な労働条件に甘んじて働いてくれる、海外からの労働者によって社会的必要労働の大きな部分が賄われている。そしてもとからその国にいる労働者たちは、彼らに仕事を奪われると見て、それに抗議する。一方ではこれが「ネオナショナリズム」という方向に流れるかもしれないが、しかし、やがて抗議を諦めて、安い労働賃金で不安定な第3次産業的雇用に吸収されていくことになるだろう。
 こうして、われわれの国では、食料・衣料・家具・家電製品・子供の遊具などの生活必需品がほとんどすべて輸入品となり、生産的産業は衰退し、そこから放出された労働者は、レジャー、娯楽、外食産業、サービス産業、趣味・奢侈品的商品の販売、音楽産業、健康食品や健康産業、金融関係企業、などなどの不生産的労働に雇用を見いださざるを得なくなっていく。これを「資本主義経済の腐朽的段階」と言ってもよいだろう。外観は華やかできらびやかな社会の様に見えても、いまや世界中がこの資本主義経済の腐朽的段階というべき資本主義社会の崩壊期にに深く入っているのだ。そしてデザインもこうした状況のまっただ中にいることを忘れるべきではない。

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