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2013年3月28日 (木)

アベノミクス下での「賃上げ」の意味するところ

 私がこのブログで、アベノミクスでは労働者の賃上げなどどうでもよいと書いた直後に安倍首相は産業界の面々を前に、春闘での賃上げを要請した。その結果、トヨタなどの一部の大企業では労働組合の賃上げ要求を満額で認める回答が出たり、一部の流通系などの企業でもベースアップ、ボーナスアップなどの回答が出たようである。そして最近になってごく一部の中小企業などにもほんのわずかであるが賃上げの傾向が見られ、非正規雇用労働者の時間賃金もたった10円かそこらであるが上がったそうである。

 私の予想が違ったことはひとまず「喜ばしい」こであるが、それにしても安倍さんの一言で産業界がこうも簡単に反応するとはおどろきである。なんだ賃上げできるんじゃない!という思いである。しかし、いうまでもなく、2%インフレ下においては2%賃上げしても実質賃金は変わらないのである。
 アベノミクスの「3本の矢」の中に「労働者の生活向上」がないことは周知の事実である。安倍さんは、「3本の矢」は手段であって、その目標は「庶民の生活向上だ」と言うだろう。そして「大胆な金融政策」ではインフレ率2%を数値目標に掲げ、日銀がおカネを増刷することになった。このおカネは本来の価値とは無縁のおカネである。結果、世の中に流通するおカネの量が増え、金融機関は資本の回転率を上げやすくなった。「機動的な財政」で予算配分をうまく資本家間に行き渡らせることを行い、「民間投資を喚起する成長戦略」によって本来カネ儲けだけが生き甲斐の投資家は積極的に投資にカネをつぎ込む。そして企業の業績が上がることを見越して株価が上がる。それをマスコミが大々的に報道して雰囲気づくりをする。その結果庶民は「世の中が明るくなってきた」と思わされるが、一方で自分たちの収入は増えず、円安の影響で生活資料も値上がりし来年には消費税も上がるので、生活は良くならないことに不満を感じている。安倍さんはこのままでは次期選挙で現政権与党が不利になると考え、産業界に強力に働きかけて賃上げを促したということだろう。
 要するに労働者の賃上げは本当の「目的」ではなく、資本増殖安定化のための「手段」に過ぎないのだ。これが資本家代表政府としての安倍政権の本質である。そしてこの方法で世の中の「景気」が上向いたとしても、「根無し草的貨幣」の増加はバブル経済という仮幻的な「活性化」しかもたらさず、労働者の賃上げ分はたちまち資本側に吸収されてしまい、不動産や金融業という本来価値を生み出さない資本は思惑だけで巨額のカネを動かすようになって、やがて当然の結果としてその崩壊とさらに深刻な破局が待ち受けていることを忘れてはならない。歴史は繰り返す。しかし同じ形では繰り返さない。ただそこにはつねに資本の法則が貫かれていることだけは確かである。

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