« mizzさんのメルマガより | トップページ | アベノミクスにおける雇用法「改正」をめぐって »

2013年4月 9日 (火)

地中海周辺諸国の金融不安とアベノミクス

 ギリシャ、イタリア、スペイン、キプロス、ポルトガルと連鎖的に地中海周辺諸国が財政破綻に陥っている。これらの国々はそれぞれその国特有の問題を孕んでいるのだが、重要な共通点がある。一つは、すべてEUという経済圏で起きていること、二つ目は、すべて政府が金融資本を頼みにした国家財政を築いてきた結果財政破綻を生じているということだ。

 もともとEUはそれぞれの国の通貨による商品経済が成り立っていたが、これをユーロという共通通貨にして、ひろくヨーロッパ圏全体の経済を一体化しドル圏に対抗しようという意図でいまのような形になった。それによって世界経済はドル圏の一角がユーロ圏という形で分かれたわけであるが、円はもちろんその流通範囲からいっても、これらに対抗しうる経済圏は確立できていない。
 これらの動きはいわゆる「資本のグローバル化」の一環であるが、さらに踏み込んで見れば、過剰流動資本の奪い合いという様相を激化させているグローバル資本の投機的動きがこれらの経済圏に大きな影響力を持ち、十把一絡げに言ってしまうのは危険かもしれないが、敢えていえば、生産的労働が生みだす価値ではなく、観光産業や奢侈品産業など過剰資本処理型の産業への依存率が高い地中海周辺諸国の政府が、金融資本への依存度を増して行った結果、今日の財政破綻をもたらしたといえるのではないだろうか。そしてそれが、生活形態や社会経済の成り立ちが異なる国々が共通通貨を用いるようになったことがその傾向に拍車をかけたともいえるだろう。
 根無し草的過剰流動資本の奪い合いというグローバル資本のふるまいが、その資本の根無し草的本質ゆえに必然的に経済破綻がもたらされるにも拘わらず、それを見通せず(資本の本質が何であるか理解していないため)、結局EUの「親元」であるドイツなどの国々から財政援助を受ける代償として、自国民の生活や社会保障制度を犠牲にせざるを得なくなっているというのが真実ではないだろうか。
 もっとも不当な扱いを受けているのは、財政破綻した国々の労働者であろう。政府が勝手に金融資本から借金したカネが返せなくなったために、もともと社会的富を生みだす源泉である労働を行っている人々が、当然享受すべきその富の社会的還元を受けられず、賃金のカットと増税そして社会保障の後退という局面に立たされるのであるから。
 そしてアベノミクスはこうしたEU圏での経済破綻の原因を突き止めることなく、同じ轍を踏みつつあるように見える。
 1980年代のサッチャーやレーガンが行ったことの結果(そのもっとも顕著なものはバブル経済とその破綻である)を批判的に受け止めることなく、小泉政権がそれを踏襲し、その惨憺たる結果を批判的に受け止めることなく、いままた安倍さんがそれを「次元の違う」スケールで行おうとしている。しかもそれが破綻すれば、今度はEUにおけるドイツのような支援をしてくれる「親元」はない。あるとすればアメリカか中国しかないのである。両国ともその背後には日本の「資産価値」を狙うグローバル資本の虎視眈々たるまなざしが見え隠れしている。まったくもって恐ろしい話ではないか。

|

« mizzさんのメルマガより | トップページ | アベノミクスにおける雇用法「改正」をめぐって »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/210651/57137367

この記事へのトラックバック一覧です: 地中海周辺諸国の金融不安とアベノミクス:

« mizzさんのメルマガより | トップページ | アベノミクスにおける雇用法「改正」をめぐって »