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2013年4月20日 (土)

アベノミクスが必要とする女性パワーとは?

 安倍首相は、先日の記者会見でアベノミクスの3本の矢のひとつ「成長戦略」を押し進めるには女性の力が重要であって、女性が社会進出できるように保育園の待機児童問題を解決する必要があると言っていた。これに反対する人はあまりいないだろうが、少し踏み込んで考えてみる必要がありそうだ。

 私の家庭も共稼ぎが前提で結婚したこともあって、子育てには保育園のお世話になった。その頃は、夫が子供の送り迎えをすること自体が珍しく、職場でも保育園でも奇異の目で見られたが、いまではそれは半ば当たり前のことになった。男女が人間として同じ条件で働くことは憲法も保障する基本的人権の問題であり、当然のことであるという理解が昔よりは浸透してきたようにも見える。
 しかし、昔は一家の「大黒柱」である夫が働きに出て、妻は家庭の切り回しや子育てに専念していた。つまり夫の賃金だけで何とか一家を支えることができたと言えるだろう。それと比べていまの子育て家庭では、夫の稼ぎだけでは子供の教育費やかさむ家計費を賄うことが難しくなっている。
 教育費は子供を一人前の働き手として就職させるために必要な学費や受験戦争に勝ち抜くための塾の費用であり、かさむ家計費は、支出の大半を占める家賃など高額な住居費、買い物につかうクルマの代金や維持費、「必需品化」された携帯やスマホの通信費、「オール電化」された家電機器に必要で増え続ける電気料金などなどである。これらの負担を補うために妻が働きにでなければやっていけなくなっているのが現実であろう。
 このおカネのかかる生活を「便利で豊かな生活」としてイメージづけ、こういう社会で「女性の社会進出へのチャンスを与えるのが当然である」とするのがいまの支配階級のイデオロギーなのであって、それがマスコミなどを通じて「社会通念」として流布されているのである。
 もっと言えば、夫が受け取った労働賃金を、「便利で豊かな生活」のために生活資料商品関連企業やインフラ供給企業のために支払う生活費、子供を頭脳労働者として資本家の労働力市場に送り込むために支払う教育費などとして、資本家たちの手に環流させるためには、夫の労働賃金だけでは足りず、妻も労働者として賃金を得ないとやっていけなくなっているのである。
 もちろん女性の社会進出は推進すべきであるが、「社会進出」の中身が問題なのである。資本の回転をスムースに行わせるためにお金を増刷し、資本家の利潤を増加させ、それによって労働者の賃金を見かけ上高騰させ、そこから税金をたくさん取って、政府の財政運用を可能にさせようというのがアベノミクスであって、そのためには、女性の労働力も剰余価値の取得対象として必要になってきているのである。
 わすれてはならないことは、支配的イデオロギーの宣伝する「便利で豊かな生活」は決してわれわれの生活を本来の意味で豊かにすることはなく、それはただ労働力の再生産に必要な費用を「賃金」として前貸しされた労働者が、それを生活資料の購入や子供を一人前の労働者として育てるために必要な経費というかたちでそれぞれ企業を経営する資本家たちに支払い環流させることで、生活を維持する(言い換えれば資本の支配のもとで賃金奴隷であり続ける)という資本主義社会の労働者の一般的生活形態が、現代のような資本の過剰化のもとでは過剰資本の処理の一環である「消費主導型社会」として定式化された結果であるということだろう。

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