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2013年5月15日 (水)

次にやってくる危機(その4:資本の絶対的過剰)

 3Dプリンターに見られるような、ものづくりの技術的変革は、つねに資本の相対的剰余価値の増大というモチベーションによってアクティベートされてきたのであるが、今はそれがひとつの大きな壁にぶつかっている。

 それは、いま地球全体に存在する(まだ発見されていないものも含めて)資源量は、一定であり、時々刻々太陽から送られてくるエネルギー量もほぼ一定であり増加はしないという自然的事実である。この地球全体のもつ資源量(エネルギー量も含めて)を E と置き、これに対して地球全体で人類が消費する資源量(エネルギー量も含めて)を C と置くならば、つねに C < E でなければならない。これは誰でも分かることであり、ひとつの公理であると言っても良いであろう。
 資本主義的生産様式は、相対的剰余価値を拡大させるために、歴史上もっとも急速に生産力を向上させてきたが、それはまず資本主義的生産と消費が一体となった経済圏(資本主義的国家)で、過剰資本(投入された資本に見合うだけの利潤を生み出せなくなる状態)の形成をもたらし、19世紀後半から経済恐慌を繰り返すようになった。しかし、20世紀初頭、それを植民地戦争や資本主義国間の戦争などを通じて市場の国際化を成し遂げることでひとまず乗り越えたが、次にその矛盾は1930年代に、世界的な金融恐慌という形でやってきた。そしてそれを今度は、過剰資本の不生産的処理という形で乗り切ってきたのが20世紀後半の資本主義社会であるといえるだろう。
 そこでは、いわゆる消費主導型経済を基本に、労働者たちの生活資料の購買欲や軍需生産の需要を引き金として、市場を活性化させることによって生産資本だけでなく流通、金融、第3次産業などが潤うシステムであったといえるだろう。
 しかし、いまやその無際限の消費拡大や無政府的国際市場競争は地球資源の消尽やそれにともなう地球環境の悪化を急速に推し進めていることは明白な事実となった。ここにおいて C < E という公理が資本の拡大に対する絶対的壁となって立ちはだかりつつある。 資本の絶対的過剰である。
 そのため、グローバル化した資本は、一つのパイである地球を少しでも自分たちに多く獲得しようとして激しい市場競争を繰り返している。その背後にはグローバル資本の政治経済機構となった資本主義国家間のあらたな地球資源争奪戦が展開されつつある。いわゆる領土・領海問題やそれを支援する軍拡競争はその一環と見てよいであろう。すでに、経済戦争という形で第3次世界大戦がはじまっているとも言える。
 そうした中で、われわれの目指すべき社会は、資本主義的イデオロギーのような「売れるモノはいくらでも作る」や「売るためにニーズを生みだす」のではなくて、「本当に必要なモノを必要な量だけつくる」生産様式であるといえるだろう。それは、 C < E の枠内で、いかに無駄なく世界中の生産と消費を回転させるかを考える立場であり、特定の資本家や資本家的国家が地球資源を勝手に奪い合ったり所有したりする経済体制ではなく、世界のさまざまな場所でさまざまな形でそれぞれ必要労働を担っている人々が同等な立場で地球資源を共有できるような社会経済システムなのではないだろうか。
 追記:誤解のないよう書いておくが、資本の絶対的過剰と言っても、世界中に富が有り余っているわけではない。世界中の富が、利益の手段として労働力を買い入れて生産活動を行わせているほんの一握りの「働かざる者」によって独占されているがためにそれは過剰なのであって、それらの富が「資本」としてではなく、生産物としてそれらを生みだしてきた絶対的多数の労働者たちに取り戻されることによってその「過剰」は解消されるべきなのである。

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