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2013年5月19日 (日)

次にやってくる危機(その5:自由貿易という名の世界戦争)

 先日NHKの「深読み」で日本のエネルギー政策について放映していたが、エネルギー資源をほとんど輸入に頼っている日本は、中東やアジアからの石油のみに頼らず、もっとその入手源を多様化すべきでと考え、アメリカのシェールガスからのLNGやロシアからの天然ガス輸入も積極的に行うと共に、メタンハイドレートや海洋発電などを含めた国内のエネルギー源開発を積極的に進める方針のようである。そしてこのようなコンテクストの中で原発が再び「必須エネルギー源」にされつつある。

 だがちょっと待って欲しい。先に述べたように地球の化石燃料を掘り尽くすことは一方でCO2などによる環境破壊を急速に押し進めながら、やがてそれが完全に枯渇してしまうことを意味している。そして原発はその中では「効率の良い」エネルギー源と捉えられているようだが、実はそのリスク対策やそれでも起こりうる事故における甚大な被災を考えれば、猛烈に非効率的エネルギー源であることが故意に隠されている。
 いまもっとも必要なことは。世界全体のエネルギー消費量を本当のサステイナブル社会を実現できる水準までに減らすことであって、それが大前提でなければならないはずだ。
 しかし、そのようなことはいまの「自由経済」をむねとする資本主義経済体制では不可能である。アンコントローラブルなグローバル市場での「自由競争」はエネルギー源の売り込みや採掘に歯止めを掛けることは不可能であるとともに、一方でできる限り「消費拡大」(つまりエネルギー消費の拡大)を図らねば、その経済体制が破綻してしまうからである。
 そして、このような資本家同士の無政府的で破壊的な「自由競争」の中で、日々世界中の労働者や農民が自分の雇用者である資本家が競争に勝てるようにするために尻を叩かれて働かされているのである。
 それだけではない。いまや資本家たちはグローバルな市場競争に勝つために、国家をそのための手段として用いている。そのため各国内で働く人々は、愛国心を奮い立たされて、競争相手の国を打ち負かすように励まされつつあるし、同時に「国力」の威圧的シンボルとしての軍備拡充が着々と行われつつある。
 しかし、一方で競争を激化させながら他方では世界市場の中で深く結びつき互いに依存関係にあるこれらの資本家的国家群の戦略は複雑に絡み合って動いているため、事はそう単純ではない。資本家たちは、彼らの代表政府である国家と結託して左手に資本、右手に武器を掲げながら「自由貿易」や「経済成長」を叫んでおり、働く人々はつねに彼らに翻弄されている。
 この複雑な国際情勢を資本家的国家意識の目線(例えば「国益」といったような)でみるのではなく、世界中で資本家たちのために働かされている人々に共通な立場からみる視点が必須である。この労働者階級的視点だけが資本家的イデオロギーの虚偽と矛盾を見破ることができると同時に、資本家的ナショナリズムを超えて互いに手を結び合って本当に獲得すべき未来社会に歩を進めることを可能にしてくれるからだ。

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