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2013年11月29日 (金)

自ら墓穴を掘る中国政府の「富国強兵」政策

労働者・農民の代表政府であったはずの中国共産党政権は、いまや労働者・農民を抑圧支配する官僚や資本家のための政府になりさがってしかったようだ。彼らにとっては、経済成長で「富国」を目指すために、地下に眠る資源やエネルギーはもちろん、それを確保するために領土の拡張も必要らしい。そのためには「強兵」が必要であり、途方もない国家予算をかけて「人民解放軍」(実は人民抑圧軍)の増強をおこなっている。なりふり構わず、勝手に防空識別圏の拡大をおこない、小さな島の取り合いで軍事衝突になることも辞さないようだ。そして、歴史認識などをめぐって最近とみに「嫌日化」してきた韓国にむかって、「日本は中韓共通の敵」とまで言っているようだ。

 そしてそのような国際情勢は、安倍政権にとって、実質的憲法改正に向かうまたとないチャンスを与えているようだ。戦前の治安維持法の現代版ともいえる特定秘密保護法があっというまに衆議院で可決され、 「大本営」的機能をもつ日本版NSCも成立してしまった。朝日新聞などは大きく取り上げているが、中国や韓国などとの国際情勢の悪化の中にあって、世論はこれに強い反感を示さなくなっており、有力な反対運動は起きていない。つまり中国や韓国で反日感情を煽れば煽るほど、日本の国民と政権はどんどん右傾化していくのである。
 戦後、あの戦争での中国人や韓国人にたいする侵略的行為への反省のもとで、日本人の多くは、中国人や韓国人との友好的交流を深めてきたが、その半世紀近いわれわれの努力は一瞬にして崩れてしまったようで、残念でならない。
 かつて周恩来が首相であった頃、中国はどんな場合でも「覇権主義」は取らないと断言していた。それが毛沢東らによる文化大革命への反省から、鄧小平による「改革開放政策」で、資本主義的経済体制を取り入れて、「豊かになれる者からなればよい」と主張するようになった。つまり資本主義的な階級社会を容認し、共産党政府が資本家と手を結んだのである。いまの中国における驚異的経済成長が同時に「格差社会化」をも生みだしているのはその当然の帰結といえるだろう。
 いま中国の国内では農民や労働者の政府への不信や不満が渦巻いている。これを押さえ込むために、共産党官僚政府は、報道の自由を抑圧し、ナショナリズムを煽り、労働者・農民の目を「内」ではなく「外」に向けさせようと必死になっているようだ。
 しかし、この「外に敵をつくる」政策は、自ら墓穴を掘るようなもであって、日本はますます右傾化し、アメリカとの安全保障を緊密にし、いまや昔と逆に経済軍事大国となった中国を侵略者とまで感じるようになってきているようだ。
 このままでは、中国の経済成長も止まり「富国」政策も行き詰まるだろうし、そうなれば中国国内の政府への不満や不信もいっそう強まるだろう。さしあたりは、グローバル資本の「インターナショナル市場主義」が軍事ナショナリズムを抑えることができるか、各国がふたたび経済をブロック化し、軍国的ナショナリズムのぶつかり合いになっていくのか、いまは予測がつかない。
 しかし、本当にわれわれが目指すべきなのは、こうした危機をうみだす根源にある「グローバル資本主義」の矛盾を踏み越えて初めて得られる、働く人々による真のインターナショナリズムであり、それを可能にさせる、本来の意味での共産主義運動なのだと思う。

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