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2013年12月17日 (火)

「景気上向き」の内実

 TVのニュースでは、この歳末商戦は数年なかったような活気を取り戻しており、企業の景況観も上向きだと伝えている。

 しかし、われわれにはその実感はない。ボーナスが増えた、といって喜んでいるのは自動車関連企業や贅沢品業界、観光などの第三次産業界などのようだ。中でも「異次元の金融緩和」で潤った金融資本や株式投資関係の企業、あるいはカネ儲けの上手な投資家は人のカネを右から左に動かすだけで差益がどんどん入ってくるのでウハウハらしい。一個100万円以上もする腕時計や、高級スポーツカー、宝石類などがよく売れているそうだが、その買い手はそうした人々であろう。
 金融緩和によってジャブジャブお金を市場に流し込む日銀=政府の政策によって、実際に市場に出回っている商品の生産や流通に必要な価値量をはるかに超えた貨幣が出回るので、当然実質的貨幣価値は下がる。したがって市場に出回る商品価格が徐々に値上がりする。われわれが生活に必要な食料、衣料、住居費、電気・ガス・水道・電話料金などのインフラ経費も徐々に上がる。したがって運良く賃金が上がったとしても、賃上げ分の貨幣はその値上がり分を補填するために用いられる。だからわれわれの生活は変わらない。
 しかし、余分に流通する貨幣は、どこに行くかといえば、金融機関や投資家のふところに貯まっていき、そこから利益をあげそうな企業に投資される。その利益を上げそうな企業とは、いわゆる「成長産業」と見なされた企業(たとえばiPS細胞の技術を用いた医療製薬関連企業や先端軍需技術を保持する企業など)、増大する富裕層の奢侈品産業や娯楽観光産業などであり、大企業が他の企業(外国企業も含む)を買収するためにも投資される。
 だからそういう「利益を上げそうな企業」に雇用されている労働者はいわゆるトリックルダウン効果(おこぼれ頂戴)で潤うのだが、世の中に必要であってもあまり儲からない企業は青息吐息の状態が続くか、やがて競争に負けて消えて行く。そしてそこに雇用されていた労働者たちは失業するか、賃金がはるかに安く、非正規雇用で不本意な仕事しかない企業に就くしかない。
 こうして政府のインフレ政策で、一方で「経済成長」する企業の資本家や投資家はますますお金持ちになり、いわゆる「富裕層」として「成長」し、そのおこぼれを頂戴できるする人々は「プチ富裕層」になっていくが、他方で、それに反比例して、働きたくても働けず、やっと職にありついても非正規雇用であって、いつ解雇されても文句もいえないかたちで働き、ボーナスもなく、生活費を賄うにはほど遠い賃金なので結婚もできず、劣悪な労働環境を我慢しなくてはならず、苦しい生活を補うために別の仕事を平行してやらねばならず、長時間労働しながら希望のない生活を強いられている人たちがどんどん増え、貧困層を形成していく。世の中の格差は増大する一方である。
 これが資本主義社会の「成長」の現実の姿である。

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