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2013年12月27日 (金)

躓いた安倍首相

 安倍首相が在任1年を記念して靖国神社に参拝し、中国や韓国から非難され、アメリカは安全保障の立場から「失望」の意を表明した。おそらく「産業界」と呼ばれている日本の資本家グループも「失望」したに違いない。なぜかといえば、いまや日本やアメリカの資本家たちは中国や韓国の労働力や市場を無視してはやっていけなくなっているからだ。これを機会に中国や韓国の支配階級は、彼らのバックにいる官僚や資本家グループたちの意を代表して、市場からの日本商品の締め出し策や日本の孤立化政策を打ち出すだろう。そしてますますナショナリズムのぶつかり合いがひどくなるかもしれない。ひょっとすると軍事的衝突もありうるかもしれない。

 安倍さんに言わせれば、相手が領土問題などで居丈高になるなら、こちらも「毅然」として立ち向かうべきだ、というのだろうが、いまや世界はグローバル資本のもとに置かれている。自ら、経済成長最優先で資本家の意志を代表してきたつもりが、これで大きな躓きの石に突き当たった。これで自信過剰にストップがかかったのであればよいが。
 政府が戦犯が合祀されており宗教色の強い靖国神社での参拝になぜこれほどこだわるのか? 戦没者の慰霊は千鳥ヶ淵で行えばよいではないか。
 政府は「英霊に尊崇の念を表明」するまえに、むしろあの戦争で亡くなった多くの日本人、韓国人、中国人に「謝罪」しなければならないはずだ。当時の日本の国家を支配していた政府が労働者・農民たちを「お国のため」と戦争に駆り出し、相手国の何のうらみもない労働者や農民たちとの殺戮を行わせたのだから。
 すべてはそこから再出発すべきなのだ。それを抜きに、「古きよき日本への回帰」を妄想していても事態は悪化するばかりだ。そして結局いつも、もっとも割を食うのは労働者階級や農民なのだから。

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コメント

 もう一人躓いた人がいましたので、それを指摘しておきます。これが資本論を読もうというタイトルなのですから、初笑いにはいいかなと。

 食の偽装 対抗策は 佐藤 優 作家・元外務省主任分析官 (朝日新聞12/29(日) 読むぞ ホップ ステップ ジャンプのコーナー)から。

 一流ホテルのレストランなどでの食の偽装が問題になりました。マルクスの「資本論」(岩波文庫)を読むとその理由が分かります。「資本論」によると、どの商品にも価値と使用価値があります。価値は、ジュース120円、ボールペン70円のように価格で表すことができます。使用価値は、ジュースなら飲む、ボールペンならば書くというような商品の有用性です。マルクスは、商品生産では、「他の人々にたいする使用価値」を作り出すと云います。商品として売られる食事は、他の人々であるお客さんが食べるために作られます。資本主義経済では、価値を増やすこと、すなわちお金もうけは肯定されますが、そこで倫理観が欠如し、他の人々のことを考えず、売り上げだけに目を向けていると食の偽装のようなことが起きます。他方、お金もうけとは別の原理で食を提供している例もあります。 (以下末尾までの中間部分は省略) 本当に美味しいものを見分ける舌を育てていくことが食の偽装に対する有効な対策と思います。(佐藤氏の論旨)

 マルクスの「資本論」を読んだとはとても思えませんが、官僚出身作家が読むとこの程度の理解にしかたどり着けないことを明確に示している点で出色です。資本主義経済では倫理観を保持することが必要だと云うことと舌の育成が有効とおっしゃっていますが、いくら資本論を読んでも、この程度の結論ではマルクスも愕然とするでしょうね。仮に偽装料理が1万円としましょう。この使用価値は偽装料理を食べると云う商品の有用性にあります。これはお金もうけという正当な行為ですがなにか問題がありますか。様々な経費の上、倫理観を多少減らすという管理労働も伴っており、コストが1万1千円掛かっていて実はもうけはないのです。お金儲けとは別の原理で提供しております。美味しいものを見分ける舌を育てると云う目的価値もそこに存在していることも忘れないでね。

 さて、どこに「資本論読み」の欠陥があるのでしょう。資本主義経済では、倫理観には全く関係なく、資本家が労働者の剰余労働を無償で奪い取るという原理がまかり通っていることに大きな問題があります。資本家の指揮権があらゆる商品、剰余労働に、そのために、自由に発揮されることが許される社会だということにあります。佐藤 優 氏の論説には全くその認識が欠けていると云う自意識の片鱗すらもありません。ホテルとかレストラン資本がなぜこうした食の偽装を企てるかの理由はとてもこれでは明らかになりませんね。これら資本に倫理観を植えつける方法は見当もつかないでしょうね。岩波文庫の資本論の訳には問題もありますが、それが原因ではなく、本人の勝手読み、正確に読めないことに原因があります。これではなんの役にもたたないし、資本論をまともに読んではいないことを証明するばかりです。


投稿: mizz | 2013年12月30日 (月) 20時16分

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