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2013年5月19日 - 2013年5月25日

2013年5月25日 (土)

現代日本の貧困の実情

 今朝のNHK-TV「週間ニュース深読み」で、日本の子供の貧困問題が取り上げられていた。もちろん子供の貧困の背景には大人の貧困があるのだが、それが子供にとってはより深刻な問題を起こしている。シングルマザーの家で、親が朝早くから夜遅くまで働きに出ているので一日に学校給食しか食事を摂れない子供、家で勉強する場所もなく学校での勉強が追いつけない子供、塾のお金が払えないので大学受験を諦めざるを得なくなった子供、自分がいるからお金がかかり、親に迷惑を掛けていると感じるようになる子供、そしてそのため自死を選ぶ子供、などなどである。

 そしてその背景には、父親が会社を突然リストラされ、収入が激減した家庭、両親が離婚して母子家庭になったため母親が不利な労働条件で過酷な労働をしなければ家計が持たなくなり子育てが出来なくなっている家庭、親が病気で働けなくなった家庭などがある。
 いまの日本でこうした子供たちが6人に一人の割合で存在している。そしていわゆる先進資本主義国の中でも、日本は子供の貧困率がダントツに大きいし、年々その割合が増えている。しかも安定した労働に就くことができない独身者を含めて、働くことでこの貧困が解決されることが少なく、子持ちの労働者では教育費の高騰などのため、親が働いても働いても家計が楽にならない家庭が多い。そして年々この状況が深刻化している。子供たちはこんな状況で未来に希望など持てるはずがないではないか。
 これは、戦後の貧困時代から高度成長期をもたらした世代の高齢者(多くはいわゆる成功者)がよく言うような「貧困こそが自分を強くする」とか「やる気の問題であり自助努力こそが必要なのだ」などと言ってすまされる問題ではないのである。現在の貧困はこの時代の貧困とは質がまったく違い、はるかに深刻なのだ。
 この貧困の拡がりは、これまでの政府がカネと太鼓で進めてきた「経済成長」の必然的結果なのである。いわゆる技術革新によって労働生産性は飛躍的に高くなり、一人当たり単位労働時間に生みだす価値量は飛躍的に大きくなった。しかし、労働時間は短縮されるどころかますます長時間となり、それらのもたらす莫大な富は、決して価値を生みだした労働者たちに環流せず、富裕層を太らせている。本来ならばこの飛躍的に大きくなった富は、社会を支えるために日々自分の持ち場で働いてきた労働者が、突然病気で働けなくなったり、高齢で働けなくなったり、様々なやむを得ない事情で生活が継続しにくくなった場合にそれを支援する資金としてあらかじめ社会的にプールされるべきものであったはずだ。しかし、実際には、この莫大な富の大半は富裕層の私有財産となり、それでも余った莫大な量の過剰流動資本は、あらたな富を求めて投資に回されている。
 資本主義社会での「経済成長」はこういう格差社会を必然的に生みだす構造になっており、その矛盾が子供たちの貧困にもっとも顕著に表れている。
 こういう「経済成長」がもたらす過剰流動資本にたいする資本家たちによる獲得競争がいまや世界中に拡大し、その激化と加速によって自然は破壊され、エネルギーが無駄遣いされ、人類全体に危機がもたらされている。
 このような事態を直視できない資本家代表政府には問題の本質が何も見えていないのだ。彼らはただ資本家的企業の国際競争力を付けさせることにしか思考が働かず、企業での過酷な長時間労働や、非正規雇用の増大などで、労働賃金が子育てを含めた労働力の再生産すらできない状況にまで追い込まれ、つねに雇用が脅かされているという事実は、企業の競争力を付けるためにやむを得ないこととしか見ていないのだ。
 こんな状態が許されてよいはずがないではないか!

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2013年5月21日 (火)

アベノミクス・コメディー

 昨日NHKのニュースで放映されていたが、甘利経済再生相が、アベノミクス経済成長戦略第2弾で、経済成長推進のためには労働賃金が上がって消費が増えることが必要なので、政府・企業・労働側を含めた交渉組織を考えている、と漏らしたところ、たちまち「経済界」から反応があり、米倉経団連会長は、まず成長戦略第2弾に法人税軽減が含まれていないことへの不満を述べ、それとともに、賃上げ問題に関しては政府がこれをとやかく言うのではなく産業界に任せるべきだとクレームをつけた。また長谷川経済同友会代表幹事も成長戦略がうまく進んでいるかどうかを監視する組織が必要だとプレッシャーをかけた。

 巷では、安倍さんが一生懸命庶民の生活のことを考えてくれている、と受け止めたむきもあるかも知れないが、私はこれは安倍内閣と産業界(資本家たち)との間で演じられた茶番劇だと見る。

 安倍さんは、産業界の収益が増えてくれることによりそれが労働者の賃上げにつながり、消費を拡大して、「成長の好循環」を生むと言っているが、ここで産業界の本音が出てきたのだ。資本家たちは賃上げ問題は雇用者と被雇用者の間の問題であると、「資本家的自由」を主張する。その一方で諸外国に比べて日本は法人税が高いからという理由で法人税減税をすべきだと、政府に要求する。勝手な話である。
 そもそも資本家を資本家たらしめている富をいったい誰が稼ぎ出したと思ってるのだろうか?資本家たちは労働者に稼がしてただそれをいかにうまく自分たちの利益として吸い上げるかという視点で「経営」しているに過ぎないのだ。それにもかかわらず、資本家たちは自分の企業が経営難に陥ると、自分たちの富の稼ぎ手である労働者を「合理化」と称して大量に「整理」するのだ。そして「企業の国際競争力」(実はグローバル資本家同士の利益獲得競争である)をつけるために労働賃金は上げられないし、法人税は減税されるべきだと主張する。その結果は、法人税減税による政府の財政難を補うために「消費税増税」というかたちで、実質賃金の上がらない労働者側に跳ね返ってくるのだが、もちろん「経営者」側にとってそんなことはどうでもいいことだろう。
 一方安倍内閣の面々は、7月の参院戦が気になってしょうがない。ここで庶民の人気が落ちないように懸命である。業界への賃上げアピールはそのための「必要条件」であろう。しかし、選挙が終わって自民・公明連合が圧勝したなら、事態は急変すると思う。つまり政府は業界の要求を受け入れ、賃上げ問題は業界に任せ、法人税を減税し、その代わり消費税は予定通り上げる、ということになるだろう。
 こんな茶番にだまされるものか!

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2013年5月19日 (日)

次にやってくる危機(その5:自由貿易という名の世界戦争)

 先日NHKの「深読み」で日本のエネルギー政策について放映していたが、エネルギー資源をほとんど輸入に頼っている日本は、中東やアジアからの石油のみに頼らず、もっとその入手源を多様化すべきでと考え、アメリカのシェールガスからのLNGやロシアからの天然ガス輸入も積極的に行うと共に、メタンハイドレートや海洋発電などを含めた国内のエネルギー源開発を積極的に進める方針のようである。そしてこのようなコンテクストの中で原発が再び「必須エネルギー源」にされつつある。

 だがちょっと待って欲しい。先に述べたように地球の化石燃料を掘り尽くすことは一方でCO2などによる環境破壊を急速に押し進めながら、やがてそれが完全に枯渇してしまうことを意味している。そして原発はその中では「効率の良い」エネルギー源と捉えられているようだが、実はそのリスク対策やそれでも起こりうる事故における甚大な被災を考えれば、猛烈に非効率的エネルギー源であることが故意に隠されている。
 いまもっとも必要なことは。世界全体のエネルギー消費量を本当のサステイナブル社会を実現できる水準までに減らすことであって、それが大前提でなければならないはずだ。
 しかし、そのようなことはいまの「自由経済」をむねとする資本主義経済体制では不可能である。アンコントローラブルなグローバル市場での「自由競争」はエネルギー源の売り込みや採掘に歯止めを掛けることは不可能であるとともに、一方でできる限り「消費拡大」(つまりエネルギー消費の拡大)を図らねば、その経済体制が破綻してしまうからである。
 そして、このような資本家同士の無政府的で破壊的な「自由競争」の中で、日々世界中の労働者や農民が自分の雇用者である資本家が競争に勝てるようにするために尻を叩かれて働かされているのである。
 それだけではない。いまや資本家たちはグローバルな市場競争に勝つために、国家をそのための手段として用いている。そのため各国内で働く人々は、愛国心を奮い立たされて、競争相手の国を打ち負かすように励まされつつあるし、同時に「国力」の威圧的シンボルとしての軍備拡充が着々と行われつつある。
 しかし、一方で競争を激化させながら他方では世界市場の中で深く結びつき互いに依存関係にあるこれらの資本家的国家群の戦略は複雑に絡み合って動いているため、事はそう単純ではない。資本家たちは、彼らの代表政府である国家と結託して左手に資本、右手に武器を掲げながら「自由貿易」や「経済成長」を叫んでおり、働く人々はつねに彼らに翻弄されている。
 この複雑な国際情勢を資本家的国家意識の目線(例えば「国益」といったような)でみるのではなく、世界中で資本家たちのために働かされている人々に共通な立場からみる視点が必須である。この労働者階級的視点だけが資本家的イデオロギーの虚偽と矛盾を見破ることができると同時に、資本家的ナショナリズムを超えて互いに手を結び合って本当に獲得すべき未来社会に歩を進めることを可能にしてくれるからだ。

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