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2013年5月26日 - 2013年6月1日

2013年5月29日 (水)

コメントに関連して

 前回のブログに、mizzさんからコメントを頂いたので、これに関連して一言。

mizzさんが引用された、資本論第2章でのマルクスの言葉「商品は、自分自身で市場に行くことができず、また自分自身で交換されることもできない。したがって、われわれはその番人を、すなわち、商品所有者をさがさなければならない。商品は物であって、従って人間に対しては無抵抗である。もし商品が従順でないようなばあいには、人間は暴力を用いることができる。言葉を換えていえば、これを持って歩くことができる。」(向坂訳)これは人間が労働力商品として「モノ」である商品と同じに扱われている資本主義社会の「商品所有者」つまり資本家の本質を見事に言い表している言葉だと思う。
 そして、mizzさんが言われるように、資本(それは、あるときは「モノ」としての商品であり、あるときは「労働力商品」としての労働者の能力であり、あるときは生産設備であり、あるときは株のような有価証券であり、あるときは銀行口座の残高である)はそれがどんな形態を取ろうとも、その価値量は数値で表される。そしてその数値が収入と支出の対照表として表される、
 しかしそこにはそれらの価値がどこから生まれてくるのかは決して表示されない。彼らはその価値が彼ら自身による「安く買って高く売る」商売の才能によるものであるとしか解釈されない。彼らの言葉で言えば「経営努力」の成果であり、労働者は彼らの経営努力のおかげで食っていけるのだというのが彼らの主張である。
 その資本家の経営努力が何を目的として何をその手段としているのかが問題であろう。それがいかに「国益のため」、「社会のため」と銘打たれていようとも、それは労働者階級がその労働力によって生みだした成果である生産手段を、労働力が維持されるために必要な生活資料の価値と同額な価格(労働賃金)で購入した「価値を生む商品」としての労働者に使用させることで、作り出された生産物に所有権を主張し、これを商品として市場でうまく売りさばいて貨幣としての価値の形態で利益を得ることが資本家たちの目的であって、競争の中でその利益を最大限にするために、「手段」である労働力をできるだけ安く獲得し、無駄な労働力を「整理」し、少ない労働力で効率よく商品を生産することで「生産費用」を削減することが彼らの「経営努力」なのだ。
 この矛盾に充ちた価値の生産過程が不当にも「合法化」されているからこそ、タックスヘイブンも違法でなくなるのだ。タックスヘイブンで匿名化される資本は世界中の労働者たちが日々の労働での血と汗の結晶として生みだした労働の成果なのだ。

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2013年5月28日 (火)

グローバル資本の「合法的」脱税

 昨日のNHK-TVでも放映されていたが、有名グローバル企業の大半がケイマン諸島などの「タックスヘイブン」に大量の資本を移し、税金逃れをしている。その額は半端ではない、数十兆円にもおよぶ額である。資本家側に言わせれば、これは当然のことであり、むしろ国際的競争の中で消費者に安くて良い商品を提供するための必要なことだ、とのこと。しかしこれは明らかに脱税である。これを取り締まる国際的機関が存在しない現在、それは違法とすることができないだけである。

 いまや先進資本主義諸国を含め世界中の国々の財政を左右できる力を持ったグローバル資本が、その利益を獲得している国々への税を支払わず、タックスヘイブンを通じて巨額の自己資金を蓄積していく中で、それらの国々で働く労働者たちは、政府の社会的経費を維持するために高い税金を払わなければならなくなっている。EU諸国で起きている政府の財政難ではこうしたグローバル資本の振る舞いに振り回され、ただでさえ仕事を奪われている労働者たちが増税や緊縮財政の犠牲になっているのだ。
 TVでも指摘されていたが、国境を越えて、むしろ国による違いを最大限に利用して、利益追求に奔走するグローバル資本にたいして、国境の中に閉じ込められた労働者階級はどうすることもできないのである。
 もしこのグローバル資本が脱税した巨額の資本をすべて、それらの価値を生みだした労働者たちの生活する国々に正当に還元することができたならば、貧困に追い詰められた彼らへの増税などまったく必要なくなるはずだ。
 そして問題はそれだけではない。グローバル資本は、世界中で繰り広げられている資源と安い労働力の獲得競争のために国家を最大限に利用している。いまアフリカがそうしたグローバル資本たちによる、ぶんどり合戦の最前線になっている。
 そこではグローバル資本拠点国の「国益」のためと称して、アフリカでの利権獲得競争が、そこに暮らす何億もの人々の労働力や生活を価値の源泉として囲い込もうとしている。これまで独自の文化をもって生活してきたアフリカの人々が、強引に、商品経済に引き込まれ、あらゆる生活必需品を商品として買わなければ生きてゆけなくなり、そのために労働力を資本家に提供しなければならなくさせている。その中で首尾良くグローバル資本の「おこぼれ」を頂戴するようになれた人々は「富裕層」や「中間層」として社会の中心に位置づけられ、西欧型消費社会を目指してグローバル資本をサポートしているが、他方では圧倒的多数の人々が新たな貧困層になって行き、アフリカでも格差社会化が進行している。
 こうした流れに抵抗する新貧困層の一部は支配層からは「危険なグループ」とみなされ、グローバル資本はそうした軋轢を通じて間接的にアフリカ人同士の戦いを煽っている。その背後で国際的に暗躍するグローバルな武器商人たちとそれに大量の武器を提供する軍需産業も利益を画策しているのだ。
 これらのおそろしい現実によって収奪された、何カ国もの国家予算に匹敵する莫大なグローバル資本がタックスヘイブンに流れ込んでいるのだ。
 

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