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2013年7月21日 - 2013年7月27日

2013年7月25日 (木)

そろそろ始まった安倍独裁政権の歴史逆行のあゆみ

 mizzさんから前々回のブログ「自民党は本当に圧勝したのか?」に関するコメントをいただいた。まさに安倍政権は歴史の逆行という暗渠に入り込み「戻れない」状態になりつつある。

 TPP参加国交渉での100人を超える官僚たちの動員は、その背後に「アベノミクス第3の矢」である「成長戦略」の果実をもぎ取ろうとする大資本の圧力があり、同時にアメリカからは日本市場を奪い尽くそうとする農産畜産資本や保険会社などの大資本の圧力があり、しかも自動車産業に関しては日本に拠点を置くグローバル資本とアメリカに拠点を置くグローバル資本の利害が衝突している。

 ここでは、参加国の資本家たちが「自由貿易」の名の下で互いに利害のしのぎを削り合い、日本の中小企業や小規模農業生産者たちが営々と築き上げてきた努力の結晶は「経済成長のための避けられない痛み」として切り捨てられようとしている。
 一方、反原発運動は、経済成長の邪魔になるヒステリックな振る舞いという烙印を押され、福島の傷跡などおかまいなしに原発再稼働や原発輸出に拍車がかかる。
 そして、尖閣諸島を巡って、エスカレートする中国との軍事的対決姿勢では、自衛隊の海兵隊化や無人爆撃機の導入などにゴーサインを出そうとしている。
 たしかにいまやグローバル資本と手を組んで中国人民の労働搾取を押し進め、抑圧的に支配している中国共産党官僚たちの独裁政権は、いまや人民抑圧軍になりつつある「人民解放軍」を配下に置き、これも経済成長のため必死になって埋蔵資源の確保や領土の拡張に血道を上げている。
 しかし、こうした中国の軍事的拡張政策に対して日本の安倍政権はただただナショナリズムを煽って軍事的エスカレートを画策するだけで、このまま行けばいつかは両国間に軍事的衝突が起きるだろうし、安倍政権はすでにそうした事態を想定しているかのようだ。こうした無意味な衝突を避けるために、いたずらにナショナリズムを煽ることなく世論を抑制し、政治的な解決の道を探るのが本来の政府のありかたではなかったのか?
 だが安倍独裁政権は、逆にこうした状況を煽ることによって、日本国内のナショナリズムを盛り上げ、それを背景に、憲法改定と自衛隊の国軍化をゴリ押しし、軍需産業復活をテコとした「経済成長」を押し進めようという「戻れない道」歩み出したようだ。
 後生の人たちはこの歴史逆行のあやまちを何と評価するだろう?「民意」というのはこうしたあやまちを自ら生みだしたということに気付いたとき、本当の力を発揮するのだ、と評価してくれるだろうか?

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2013年7月23日 (火)

朝日新聞「オピニオン」欄に掲載された内田樹氏の寄稿文を巡って

 今朝の朝日新聞「オピニオン」欄に内田樹氏が参院選に関連した「複雑な解釈」という意見を寄稿している。内田氏は、眼前のできごとに対して、これまで起きたことがまた起きた、とする「簡単な解釈」(ある種の安心感を求める)と前代未聞のことが起きた、という「複雑な解釈」があるとすれば、前者が今回の選挙結果だととらえ、しかし、それによって、いま実は想定外の局面に突入しているという自覚が乏しく、その状況に対処出来ない状態にあると主張している。

 今回の選挙で、自民・公明連合のスローガンは、衆参の「ねじれ」解消だったが、ものごとを決めるときに一直線に決めるのではなく、さまざまな異なる見解間での討議を経て不満足な内容を含みながら「落としどころ」を求めるのが民主主義の本質であるとすれば、参院の存在意義は、一直線にものごとが決まるという危険性を防ぐひとつの防護柵であって、衆参における「ねじれ」はむしろその参院の役割を果たす意味で当然のことである、という意見である。
 そして、さらに最近の日本の政治感覚が、経済優先で、「決められる政治」や「スピード感」を求めるようになったのは、政治の世界に経済のグローバル化における経営者の感覚が持ち込まれた結果であろうと述べている。平たく言えば「未来の豊かさよりも今の金」というセンスであると。
 そして内田氏は、今回の選挙で、自民・公明と同時に共産党が伸びたのは、有権者が「綱領的・組織的に統一性の高い政党」(自民・公明連合が綱領的に統一性が高いとは思えないが)に投票したのであって、そういう「一枚岩」的なものを求めているからだと述べている。
 衆参の「ねじれ」に関する意見や、政治にグローバル資本家の経営感覚が持ち込まれているという意見には、私も同意できる。しかし、ここで、もう少し突っ込んで状況を見る必要があるだろうと思う。
 それは、政治にグローバル資本家の経営感覚が持ち込まれているにもかかわらず、有権者の大部分が含まれている労働者階級の政治感覚までもがそれに追従させられているという事態である。いわばグローバル総資本の立場を代表するいまの政治的支配層の支配的イデオロギー、つまりグローバル資本家同士の無政府的で無際限な市場競争の原理にもとづく世界観・社会観にほとんど完全にインクルードされてしまっていてものごとの真実が見えなくさせられていることだ。
 自民・公明ではなく、共産党に投票した有権者のほとんどは、それが一枚岩だからではなく、グローバル資本間の留めを知らぬ馬鹿げた競争に、自らの存在と人生すべてを捧げさせられていながら、何ら報われない労働者の立場を代弁してくれそうだからという淡い期待を持って投票したのだと思う。
 この期待に対して共産党がどれだけ応えうるかはいまのところ不明だが、少なくとも、自民・公明連合に代表される支配的イデオロギーに対抗しうる真実性の高いイデオロギーを対置できなければ、それは自民・公明の支配的イデオロギーの単なる補完物でしかなくなるであろう。
 安倍独裁政権が成立したいま、「前代未聞のこと」が、これから起きようとしているが、これを危機としてとらえ、突破しうる力は、社会全体を個々の労働の場で支えている絶対多数の労働者階級の結束でしかなく、その力をまとめ上げていくためには、まず共産党自体が党内民主制を実現し、かつてのスターリン主義時代の残滓を脱ぎ捨て、あるべき民主主義の萌芽をその内部に生みだしていく必要があると同時に、マルクスが150年前に分析し明らかにしえた資本主義経済体制の根本的矛盾が、いまのグローバル資本主義体制への分析と批判にどのように適用できるのかを真剣に考える必要があるのではないだろうか?

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2013年7月22日 (月)

自民党は本当に「圧勝」したのか?

 参院選では、おおかたの予想通り、自民・公明連合が「圧勝」した。だが、人々は本当に自民党の政策を支持したのであろうか?NHKや朝日新聞が選挙前から行ってきたアンケートの結果を見ると、憲法の改定に対しては、賛成と反対が拮抗している。原発再稼働を急ぐ政策に疑問を感じる人々は多い。そして、TPP問題やぎくしゃくしている中国・韓国との関係に危惧を持つ人々も多い。ただ一点、経済状態の回復に対する期待感のみが自民党の得票を増やしたと言えるだろう。現に自民党は「アベノミクス」を前面に掲げて選挙に臨んだ。憲法問題や外交、TPP問題はあまり表に出さなかった。そしてアベノミクスに対抗できる経済政策を打ち出せなかった野党には選挙民もしらけきっていた。だから投票率は非常に低かった。

 G20などにおいても、「アベノミクス」は先進資本主義諸国政府から肯定されているようだ。しかしいま、これまでのアメリカ・日本・EU、そして中国、ロシア、ブラジル、インド、など新興資本主義諸国による世界経済の牽引という図式が崩れつつある。EUで財政破綻国が続出し、ドイツの経済がやっとそれを支えている状態であるし、中国も成長が鈍化し、新興富裕層と労働者との格差増大やリスクの大きい金融システム、そして官僚の汚職などが火種になりつつある。アメリカも一時的に景気が持ち直したと言っているが、世界資本主義におけるアメリカの支配力は凋落の一途を辿りつつある。いまやアメリカ資本主義経済は中国なしには成り立たない。そんな中で、アベノミクスが何となく刺激剤になりそうだという認識なのであろう。末期患者に与えられる麻薬のようなものかもしれない。
 アベノミクスでは「大胆な金融政策」や「機動的な財政」で株価を引き上げ、円安を招き、輸出企業の利益増大を生みだしつつある。しかし、膨大な借金を抱えた日本国政府の「成長戦略」は始めから怪しい状態である。そもそも輸出企業の利益増大は、法人税の減税などのため、結局政府の手に環流することはないだろう。
 なぜならば、輸出企業は世界市場でのグローバル資本家同士の馬鹿げた競争に勝ち抜くために、その減税をフル活用しようとしているし、雇用されている労働者の賃金も、競争に勝ち抜くためには上げられない。増大した利益はほとんどすべて競争に勝つための資金繰りや投資に回される。
 そしてわれわれの生活必需品の多くを占める輸入商品は値上がりするばかりである。生活必需品企業では、国内市場での厳しい競争に勝つため、労働賃金を抑え、雇用を差し控えて「合理化」に邁進せざるをえなくなっている。
 ただでさえ値上がりする生活必需品に消費税の増額が加わり、労働者は生活を切り詰めざるを得なくなるだろう。そしておそらくは社会保障は「消費税増額」によっても支えきれなくなるだろう。
 安い労働賃金を求めて海外に進出する企業が雇用するのは日本の労働者ではない。日本の国内では、せいぜい富裕層相手の第3次産業やサービス業という非生産部門での雇用がなんとか維持され、TPPによる「攻めの農業」の結果、自立小農家は壊滅し、農業は大資本の支配下に置かれることになるだろう。都市部で失業している労働者のある部分は、労働力が激減している地方で農業労働者として雇用されることになるかもしれないが、ここでも世界市場での競争に追いまくられることになる。
 安倍政権が原発再稼働を急ぐ背景にも大企業が「世界市場で勝ち抜く」という図式がある。そして今回の選挙では、多くの選挙民が、経済の復活のために原発再稼働は避けて通れないという、安倍資本家代表政府のイデオロギーに足をすくわれたのだろう。
 だが、世界資本主義経済体制全体が揺らぎはじめているいま、日本政府は膨大な負債が払い戻せなくなりアベノミクスがその崩壊を加速させる可能性が強い。
 いま必要なことは、世界中で自然破壊を押し進めながら繰り広げられている資本家同士の馬鹿げた競争を止めさせ、そこに投入される膨大な資本を、それを生みだした労働者階級のための社会共通財としてとりもどすための、国境を越えた労働者階級の連帯であり、その上に立って、新たな世界経済のシステムを目指すグローバル政党の出現なのではないだろうか?

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