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2014年3月25日 (火)

「安倍イデオロギー」に騙されるな(4)

 すでに報じられているように、昨年度の貿易収支はこれまでにないほどの大幅な赤字である。

 円安をドライビングフォースとして輸出を増加させ、資本家企業の利益を増やし、そのおこぼれで労働者の賃金も上げ、雇用も増やすことで労働者の消費拡大を促す、というアベノミクスの構図である。当初エネルギー資源の輸入額が高騰するので赤字が一時的に出てもやがてそれを取り戻すような利益が期待され、経済が潤うとして楽観視されているようであるが、それはあまりにも都合の良い解釈である。

 かつての高度成長時代では輸出で得た利益を設備投資や労働者の雇用拡大に投じ、労働者の賃金に上積みし、それによって消費も拡大させるという図式が成り立っていたであろうが、現在では背景がまったく異なっている。大企業はこぞって労働賃金が安い海外に生産拠点を移し、そこに設備投資をするので、国内の生産企業では雇用も設備投資もほとんど増えない。増えるのは海外での低賃金による労働搾取の結果である巨額の収益であり、これらは国内では「競争力のある付加価値製品」の生産に関わるほんの一握りの高度頭脳労働者の雇用などに当てられる他、海外の生産拠点への設備投資や企業買収などに回される。増税による巨額の税収や、国債を発行して捻出した国の資金は、ばらまきインフラ事業へのゼネコン系に吸収される(この分野では土木労働者が不足となっているがそこには多くの外国人労働者が投入されていくことになるだろう)。
 このようなコンテクストの中で、利益を増やした一部の企業での労働者のベアや賃上げが行われ、そうした「労働貴族」たちによる消費意欲の増加、それに対応して増加する奢侈品的産業の増収、サービス産業という分野での増収などがあるかもしれない。
 しかし大半の生活者は、4月の消費税増加の前に買えるものは買っておこうとするので一時的に消費が拡大するが、4月以降はこうは行かないだろう。問題はその時点から始まる「アベノミクス効果」の結果である。
 貿易収支も赤字が続き、国の借金もどんどん増えて行く。そこに TPPなどという「自由貿易」条約がもたらす安い海外製品が雪崩をうって流入し、国内の農業も壊滅的な打撃を受けるだろう。やがて「モノづくり産業」同様、国内の農業もグローバル資本が支配し、競争力のない農産物は切り捨てられるだろう。次第にグローバル資本の流れの中での差益で稼ぐ金融資本だけが頼りとなる経済体制が生みだされ、安倍「社長」指揮下の「ニッポン株式会社」は、「ニッポン・ホールディング」化するだろう。
 世界中を流通するグローバル資本がその必然として破綻する時期が来ると、「国民」の税金や労働力を担保にした国債は、信用を失墜した場合には、ツケはすべてわれわれに回ってくるのだ。おそろしいほどの貨幣価値の下落によるハイパーインフレの到来、銀行預金の凍結、有価証券の「紙くず化」。そして年金の破綻、などなどという事態がいま迫っているかもしれないのだ。

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