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2014年9月 3日 (水)

国家予算101兆円のツケは誰に回ってくるのか?

 安倍政権は経済界では受けが良く、アベノミクスで株価は上がり、企業の業績はよくなったそうだ。そして従業員の給与も上がったそうだ。安倍政権に批判的で「リベラル派」と言われている朝日新聞なども、物価の上昇と消費税増額で給与の上昇分が消えてなくなっているという事実を指摘しながらも、基本的にはこれらの点で現政権を支持しているように見える。

 だがしかし、そう、「だがしかし」なのだ。
国家予算が史上最高値の101兆円を計上した。中でも防衛費の増加は目を見張るものがある。資本家を元気づける「成長戦略」のためにどんどん国家予算をつぎ込み、足りなくなった分を借金で補うために国債をどんどん発行して日銀がそれを買い支え、一方で日銀はどんどんお金を発行して資本の回転を加速させている。つまり貨幣や信用という形の資本を見かけ上どんどん増やし、それを日銀が買い支えることでその虚偽の価値を「保証」させる。
 世界はいまやナショナリズムと戦争の危機をどんどん増大させている。この貨幣や信用という形での資本の価値は、国際情勢如何であっという間に下落することは目に見えている。そもそも初めからそれは見せかけの価値なのだから。
 そしてそうなれば、あっという間にアベノミクスは崩壊するだろう。そのとき、そのツケは誰に回ってくるのか?
 もちろんわれわれ「国民」にである。インドに数兆円もの支援を約束し、中国の囲い込みに懸命になっている現政権は、一方で「ドアはいつでも開いている」と言いながら少しも戦争回避への外交的努力をせず、ナショナリズムを煽り、防衛費と称する戦争経費を増大させ、集団安保体制を推進させ、戦争の危機を増大させているようだ。インドとの経済的結びつきには日本の資本家たちが、巨大な市場と安い労働力の確保が見込まれると大喜びしているが、それが一方で国内の労働者階級を危機に陥れ、対外的には戦争への危機を増大させていることはだれも口にしない。
 国内の状況を見れば、一流企業の業績が上がり、不況時代の採用抑制がたたって、中間管理層が欠落していることへの危機感もあって就職戦線では学生側の売り手市場なのだそうだ。
 しかし、これもよく見ると、売り手市場の大学は超エリート大学といわれる入学生の偏差値が高い大学での話であって、フツーの大学ではそうはいかないようだ。「有能な人材」の獲得競争なのである。そしてフツーの大学にいる学生や、経済的理由で大学にも入れず、浮遊している若者にとっては少しも状況はよくなっていない。製造業を初めとする社会に必要な労働力は労働賃金の安い海外に求められ、流通や建設などの業種での「人手不足」は海外からの労働力で供給されたり、非正規雇用労働者が劣悪な労働環境で労働者が働かされているのが現状である。言い換えれば国内では社会的に必要な部門においてつねに低賃金労働者の存在が維持されているのである。
 いうなれば若者が社会に旅立つ際に、企業にとって「有能」であるか否かによって振り分けられ、そこでエリート層と貧困層は振り分けられる。そしてエリートたちはやがてこの国の支配階級となり、貧困層は被支配階級になっていく。この連鎖はそこまでも続いて行くように見える。
 いま子供の貧困が深刻である。就職できない親たちのもとで生活苦に呵まれ、一日1食〜2食の貧しい食事しか与えられないような子供がどんどん増えている。
 そういう人たちに、この膨大で馬鹿げた国家予算を組み資本家やエリートたちにとってのみの「経済成長」を生み出そうとするアベノミクスのツケが回ってくるのである。
資本家的企業にとって「有能でない」人々も、どうどうと社会を支える労働に就くことができる世の中を作らねば、われわれの未来はないだろう。「リベラル派」的思想では、到底こうした世の中の矛盾は解決できないだろう。

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