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2014年9月11日 (木)

9日朝日朝刊の富山和彦氏インタビュー記事を巡って(その3)

(前回からの続き)

(2)については、以下の様にいえるだろう。

 「いま地方では人手不足で困っている」というのは、一つには上記の様な理由で若者たちが地方から流出しているからであり、賃金を上げて若者たちを都市から呼び戻せることができるような状態ではない。第一、グローバル市場での競争に巻き込まれつつある第1次産業は、合理化のため労働者を減らし、労働コストを下げようとするだろうから、賃上げなどやっていられないし、雇用も増やせないだろう。そして高齢者が増加して介護サービスや公共サービスが必要になっても税収の減った地方自治体がそれに多額の予算を割く余裕もない。

 だからこそ人手不足が深刻な問題になるのだ。

(3)については以下の様にいえるだろう。

 地方の市場がクローズドだというのは間違いで、地方で生活する人たちの生活に必要なものの生産、その運搬、流通、そして販売などの多くの企業が都会に本拠地を置く大手企業の資本系列下にあるといってもよいだろう。過当な競争をしなくてもすんでいるのは、むしろそうした資本系列にまだ呑み込まれていない「隙間産業」的領域であって、昔からあった老舗や、その土地特有の特産品の商売や温泉などの観光資源をもとに営む企業などであろう。もちろん地方によってはそこにグローバル企業の生産拠点があったりすることもあるが、それも決して多くはないだろう。

 こうした状況で、「賢い規制」を行い、賃上げを促すことで、生産性の悪い企業を経営不能に陥らせ、「退出してもらう」ことで全体としての生産性を上げる。そしてはじき出された労働者には「ジョブ型の仕事」(つまり潰しのきく単純労働)の職業訓練をさせ、労働の流動化を図る、という富山氏の考え方はまったく生活者の立場にたっていないと言わざるを得ない。それらの労働者は、賃上げを促された「生産性のよい企業」の労働者に比べますます賃金の低い企業にしか雇用されないことはあきらかではないか。格差の助長である。

 もちろんだからといって「規制緩和」を地方にも適用し、労働市場を「自由化」させれば、人手不足にも拘わらず、どんどん失業者が増えるだろう。

(続く)

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