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2014年9月11日 (木)

9日朝日朝刊の富山和彦氏インタビュー記事を巡って(その2)

(前回から続く)

(1) について言えば以下の様にいえるだろう。

 大手製造業が生産拠点を海外に移しているので、法人税軽減をして競争力を付けさせても、国内でのトリックルダウン「おこぼれに与る」は起こらない、というのはその通り。大手製造業の「頭脳」は国内にあるが生産設備や労働力である「手足」は海外にあるということになる。
 そこで忘れてはならないのは、その影響でかつて大手製造業の傘下にあった中小企業はどうなるのか?である。中小企業も海外に進出して競争力をつけるべきだというのかもしれないが、それだけの資金がない企業はつぶれて行かざるを得ない。そこでの有能な技術者や労働力の多くは劣悪な労働条件のサービス産業などに流れ込まざるを得なくなるだろう。
 つまり国内の製造業全体が生産手段も労働力も失い崩壊しつつあるといえるだろう。そして安い労働力を目当てに海外に設備投資した大手のグローバル企業も海外での競争に負ければ、勝った海外の資本に乗っ取られ、企業本拠地自体が税金の安い国外に移ってしまうかもしれないのだ。
 一方、農業や漁業はどうなるかといえば、TPPなどで否応なしにグローバル市場の競争に巻き込まれ、安い海外からの輸入品との競争に晒され、やがては中小規模ローカル産業のままでは居られず、国内、海外からの資本のもとに組み込まれ、再編されていくことになるだろう。
 農業や漁業は、「生産の合理化」によって農地は大規模化し、労働者の数は減らされるだろう。漁業も大規模化する一方で、「生産性の悪い」小規模自営経営の農家や漁業者は消えて行かざるを得なくなる。だから生産力は高まるかもしれないが、国内の農業・漁業労働者の数はますます減少するだろう。
 いま地方では、産業や公共施設などが大都市周辺に集中し、地方に根を下ろして生活することがどんどん困難になっている。しかも地方での労働は上述したように大規模化し労働人口が減っていく第1次産業、中央のゼネコン企業による下請け的建設労働、介護労働などに絞られて行き、しかも賃金が安い。だからこれまで地方で生きてきた老人はそのまま残るが、若者は地方に希望を託せずどんどん都会に出て行ってしまう。そのため労働力不足になるのだ。場合によっては海外から安い賃金でも働いてくれる労働者を導入せざるを得なくなるかも知れない。
 つまりGだけではなくLもグローバル市場の影響を色濃く受けざるを得なくなるのだ。
(続く)

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