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2015年1月 5日 (月)

アベノミクスのマルクス経済学的分析(その9 カタストローフ)

アベノミクスの矛盾について8回に渡ってマルクス経済学の視点から分析を行ってきたが、今回で一応一区切りとしようと思う。

 これまですでに書いたように、資本の成長である「経済成長」は、いまや「消費拡大」とグローバル化した資本の国際的競争によってしか延命できなくなっており、世界人口の大半を占める労働者階級の生活は、そのための手段にされ犠牲にされてしまっている。そしてさらにそれは「宇宙船地球号」の内部で限られた資源やその自然環境を食いつぶし破壊しながらしか存立し得なくなっている。自分の身体を食いつぶしながら「成長」する経済はいずれ必ず破綻することは誰の目にも明らかである。
  いまアメリカでのシェールガス採掘が安くできるようになったため、世界中で石油価格が下がり、石油や天然ガス資源を売って儲けていた国々では不況に陥っている。 石油消費国では増え続けるエネルギー代が節約でき経済に好影響を与えていると思われているが、しかしこれを喜んでなど居られないはずだ。なぜなら、それによってかえって「消費拡大」が助長され、地球環境はさらに確実に悪化していくからだ。
科学的予測に依れば、30年後には地球の温暖化が深刻な状態となり、気候の激変で世界中の農産物収穫量は激減し、海水温の変化で海産物は激減し、一方でまだ増え続ける人口に対して深刻な食糧難がやってくる。第1次産品の価格は高騰し、これを巡って金儲けをしようとする資本家たちが動き回るだろう。富裕な人々だけが食料にありつけ、大半の人々は食料品の高騰で生活が持たなくなるだろう。自然災害が激増し、世界的な金融恐慌で世界経済は大混乱し、株価は暴落しお金の価値は激減し、企業の倒産が相次ぐだろう。そして社会不安が激増する。それでも石油や原発などでエネルギーを供給を増やして 「消費拡大」を目指すならば、やがて互いの利害をぶつける資本はそれが支配する国々の間で「国益を護るため」と称して戦争を引き起こさせることになるだろう。こうしてやがて人類の大半は生存不可能になるだろう。
 おそらくそうなる前にそれに何らかのブレーキを掛けねばならなくなるだろうが、そのブレーキは資本主義経済の存立を不可能にし、あらたな、世界経済体制を築かねばならなくなるだろう。そのときこそ150年前にすでに資本主義社会の矛盾の本質を見抜いていたマルクスの残した経済学理論研究の成果が大きな力になるに違いない。それはそう遠くない将来に必ずやってくる。
 だが、残念ながらいまそのことに気付いている経済学者は実に少ない。だから私のような経済学の素人が苦労してこのような分析を行わねばならなくなるのだ。
 いまの幻想の「豊かさ」やまやかしの「成長」時代に生きている若い人たちには、ぜひこのことに気付いてほしい。そして、こうした視野のもとで新しい社会をどう築いていけるのかを考え、実行していくことこそ、あなた方の生きる意味なのではないかと思う。違いますか?
(完)

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