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2015年7月15日 (水)

歴史は繰り返すのか?

いよいよまもなく衆議院で「安保法制」法案が強行突破されようとしている。思えば1960年にもこれとよく似た状況があった。安倍現首相の祖父である岸信介首相が、安保条約改定を、人々の反安保を叫ぶ大デモや運動を無視して強行採決したときだ。私は当時大学に入学したばかりだったが、デモに共感しながらも参加しなかった。同級生がデモに参加し、警察に捕まったことを覚えている。そして今回も私はデモに共感しながらも参加していない。なぜか?

 あの60年安保反対の大デモンストレーションの中で、人々は大勢の仲間と一緒にいるという繋がり感や意識の共有感を持てたのだと思う。そして今回もだ。これは非常に大切なことであり、必要なことだと思う。しかし、60年安保の強行突破の後に訪れた反対運動の担い手の虚脱感、虚無感を忘れることができない。そして今回もまたそれを繰り返すことが目に見えている。
  岸政権もそうであったように安倍政権も「のど元過ぎれば熱さ忘れる」という事実を見据えている。決まってしまえば、あとは反対運動などやっている連中はいずれおとなしくなり、国民はその法律があることを当然の既成事実として認めて行くことになる、と読んでいるのだ。そして岸政権の場合は事実そうなった。日本は当然のごとくアメリカの軍事力の「庇護」のもとに置かれ、沖縄は東西冷戦の基地と化した。
 そして時代は変わり、東西冷戦状態がなくなり、アメリカの経済力・軍事力が相対的に低下してきた中で、欧米の資本主義文明に反抗するイスラム過激派が巻き起こすテロや戦争に資本主義化したロシアや中国が、 経済・軍事両面の入り組んだ関係をもって絡んでくるという複雑な様相を呈する現実が訪れた。
 その中で、日本が東アジアでアメリカの国際警察的役割の一部を担わねばならなくなってきたというとらえ方をしているのが安倍政権であるし、これはアメリカの要求でもある。そしてやがては憲法を改定して自衛隊を「国軍」として確立させ、米軍に代わって日本国軍を反欧米・反日陣営の攻撃への備えにしなければならないというミッションを自分に課している。
 この安倍式の図式に嵌まる以上、これが当然の方策となり、いくら「安保法制は憲法違反だ!」と叫んでみても、「じゃ憲法を改定しましょう」という返事が待っているだけである。だからいまの反対運動の状況では勝ち目はないし、民衆デモも結局は安倍政権には何の痛手にもならないだろう。
 問題は、いまの日本が憲法9条を改定して、自衛隊を国軍にしなければならない必要がどこにあるのかである。確かに中国や北朝鮮は軍事的脅威と見えるが、彼らが憲法で軍隊を持たない日本を本当に攻撃し、侵略してくるかという問いには「ありえない」としかいえないだろうし、もし仮に日本が憲法を改定して国軍を持ち、軍事大国になったとすれば攻撃や侵略への「抑止力」になるかといえば、それはむしろ逆に攻撃や侵略の正当化の口実を与えることになるだろう。
 戦争とはつねにすべての戦争当事国がその戦争を他国から自国を護るために始めた「防衛戦」であるとして正当化するものであり、その背景に相手国の軍事力が脅威になってきたという把握がある。
いまやかつて第二次世界大戦当時のような世界ブロック経済体制はなく、経済体制はグローバルな資本によって支配されている。このグローバル資本にとってはどんな理由があっても経済的に損になる関係は長続きしないのである。だからかつてヒトラーがゲルマン系住民が多いという理由でチェコのズデーデン地方を軍事的抵抗なく侵略したようなことは現代ではありえないといえる。ウクライナ問題にしてもロシア側が行おうとしているウクライナの東部併合はロシアにとって致命的な経済制裁を受けることは明白であり、実現出来ないであろう。
 本当は、こうした世界経済を支配しているグローバル資本と戦うためには、「国家の壁」を超えて各国の労働者階級同士が互いに手を結び、団結することこそが重要なのである。
 国軍の強化による戦争抑止という発想やナショナリズムの宣揚は、古い世界観をいまだに引きずる政権の発想であり、しかもその発想自体がグローバル資本主義にとっても本当はリアリティーが薄れているのである。だからこそ、あの強大な軍事力をもっていたアメリカでさえその図式から手を引きつつあるではないか。そしてアメリカはむしろそうした安倍政権の古い体質とそれを支持する国民のバカさ加減を利用しようとしているのである。
 こうした現実を踏まえたうえで安倍政権をとらえていくことがなければ、反対運動は60年安保闘争と「同じ穴のムジナ」とならざるえを得ないであろう。

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