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2015年8月26日 (水)

グローバル資本主義経済体制の崩壊が始まった(その2)

 中国発世界同時株安に対処するため、また中国人民銀行が利下げを行った。ヨーロッパでは株価が上がったようだがアメリカでは一旦上がってまた下がった。さて日本ではどうなるか?と投資家や企業経営者は気を揉んでいるようだ。

 なぜ株価の上下がこんなに大きなニュースになるのかといえば、直接株で大儲けをしようという投資家や、資金調達が不調になり、会社の経営に対する信用が問題になる経営者はもちろんのこと、企業の業績が悪化すれば雇用されている労働者の賃金が厳しくなり、場合によっては解雇という事態にもなり得る。さらにいまの日本のような超高齢社会で年金を頼りに生活している多くの高齢者にとっては、年金の原資が投資などの運用によって賄われているため、株価が下がれば原資が目減りし、それが続けば、年金の減額に繋がる。つまり株価の上下が株とは無縁なはずのわれわれの生活を脅かすことにもなるのである。
 しかも現代資本主義経済では、いわゆる「実体経済」を遙かに超えた流動過剰資本としてのマネーが世界中をもうれつなスピードで回転し、過剰な消費によってその見かけ上の価値が維持されているために、消費の低迷や単なる思惑などで株価が上下し、この莫大な量のマネーが一瞬にして価値を失うことにもなるのだ(もちろんここでいうマネーは貨幣だけではなく株券や信用といわれる形がほとんどである)。
 この膨大な「根無し草」的なマネーが世界の経済を支配し、そのもとで、実際に社会のために労働し、価値を生み出している労働者たちが、その生み出した価値の大半(剰余価値部分)を「合法的」に持って行かれた上に、そのマネーを動かす連中の思惑で膨れあがったり縮んだりする価値によって生活を振り回され、 もっともその被害を被っていることになる。
 さらにいえば、この「根無し草」的なマネーをどんどん生み出すことで経済を活性化させようというアベノミクスがいかに危ういものであるか、もうそろそろみんな気がつき始めたのではないだろうか?
 アベノミクス(これは決して安倍政権が考え出した政策ではない)に代表される現代資本主義経済の経済政策では、景気が低迷し、労働賃金が下がり、消費が縮小し、物価が下がりいわゆるデフレ状態になると企業の利益が減り、税収も減って政府の財政もうまく行かなくなるので、景気浮揚策として金利を下げてマネーの回り方をよくしたり、それでもだめなら貨幣を増刷し、国債発行などにより国家が莫大な借金を負いながら銀行にこれを買わせ、その信用を一定程度維持させて市場に流通するマネーの量を増やすことで、それを動かすことにより得られる利益を増加させ、企業の利潤増大による労働賃金の一定程度の高騰を図り、その高騰した分をすべて労働者の生活資料購入に振り向けさせ、それらの商品を製造販売する企業が利益を増大させることにより資本家全体で獲得する利益のパイが大きくなるという「好循環」を目論む。こうして労働者たちは実際には生産的労働者でありながら「消費者」としておだてられ、ガラクタや無駄な消費で溢れた「豊かな生活」を築くことで資本家のために賃金のほとんどすべてを捧げつくすことになる。
 しかし、この「根無し草」的マネーの増大による見かけだけの「好循環」は、当然かならずどこかでその矛盾を噴出させ、例えば経済状態が悪化し国債の償還が不可能になったりすればたちまちその国の財政は破綻する。仮にもし比較的長期にそれが維持されたとしても、その結果は必ず一部の資本家が莫大な利益を得、絶対多数の労働者たちの生活は貧困化する。これはあのピケティーも証明している通りだ。
 250年以上続いた資本主義経済体制はもはや末期的状態なのである。EU内(ギリシャなど)で度重なる経済危機や財政破綻、いまやグローバル資本の立役者となった中国経済の崩壊を予兆させるきしみ、それによって右往左往するアメリカや日本そしてヨーロッパ諸国、さらにブラジル、インド、ロシアなどの「新興」資本主義諸国の混乱を見てもそれは明らかだろう。

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