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2015年8月 6日 (木)

安保法制が「戦争法案」ですって?という桜井氏の意見広告を巡って

 今日の朝刊に「公益財団法人 国家基本問題研究所」の名前で桜井よし子氏が意見広告を出している。例の「毅然とした」ポーズでカッコイイ写真つきである。氏はこう主張する。

「戦争しないための法案を「戦争法案」と言い換え、「次は徴兵制だ!」とありえないことを煽る一部マスコミ・野党・学者の主張は無責任ではないでしょうか。彼らは世論を安保法制反対へ誘導しようとするデマゴーグです。」
 以下、南・東シナ海での「力による現状変更」を強行する中国の脅威を「キューバ危機の再来ともなりかねません」と訴え、「一部野党や市民団体を名乗る安保法制反対勢力は、国民のリスク軽減を語らず、憲法違反とのレッテルさえ貼っています。国会における党利党略は日本の国力を削ぎ、悪辣な国を喜ばせるだけです。」と主張している。
 要するに氏は、”悪の強国”である中国の進出に「安保法制」で備えることなしには「国家の安全」は保障できないと言いたいのである。屋台の傾きかかった安倍政権への「バックアップ」であろう。 だが何とマア、安倍さんと同様、単純な頭脳構造のお方である。
 はっきり言おう、私たちは中国の人民を決して敵とは思わはないし、彼らも本音では私たちをきっとそう思っているに違いない。あの前大戦での苦い経験から、私たちはこれまで中国の人々にその償いをしようと様々な努力もしてきた。私自身も大学在職時代に中国からの留学生や研究者を大勢受け入れ、育てて送り出してきた。いまさらその日本を「敵」と思わせたいのは、彼らを強圧的に支配し、国内で噴出する矛盾から人民の目をそらそうとしている習近平主導の中国共産党政権である。
 ところがそれにそのまま乗せられて、アメリカとの軍事的同盟を強化して対抗しようというのが安倍政権である。マンマと習近平政権の狙いに嵌まっているではないか。
 アメリカはといえば、傾き始めた国庫の屋台を支えるため国家予算の大半を要する軍事費を削減したいし、イラクやアフガンなどの戦場に引っ張り出されたアメリカの若者達の犠牲が大きくなって国内での厭戦気分が高まっているので、極東の軍事的緊張への負担の半分を日本に肩代わりさせたいのが本音だろう。
 しかし、他方ではアメリカや日本の資本家たちは、中国を巨大な成長市場として大きな利益を得てきたので、中国との経済的関係を崩したくない。中国の新興資本家たちも同様である。このことは中国経済が怪しくなってきたことに対する日本やアメリカでの株価の大幅下落に現れている。すでに資本はグローバル化し、とっくの昔に「国家」などというものを事実上無きに等しい存在にしているのである。
 支配的政権の立場からの「国益」とグローバル化した資本による経済体制とのジレンマの中で、声を上げつつあるのが日本と中国の人民である(私は「国民」という言葉と区別するために敢えて「人民」という言葉を使う)。中国の人民は強圧的な政権の支配下でろくに声も上げられない厳しい状態であるが、日本では若者を中心にして現政権の危険な動きに反対しようとする声が日に日に大きくなっていく。中国でも日本でもグローバル化した資本と、国家という壁を前提とした「国益」との間で右顧左眄する政権のもとで、もっともその人権や生活を無視され未来を閉ざされ続けてきたのが社会のために働く人々=人民である。
 そう、中国と武力で対抗することほど間違った選択はない。中国の人民は中国の強権的支配者たちが醸成するナショナリズムと軍事的緊張の欺瞞をあばき、それに対する抗議の運動を起こすべきであり、私たち日本の人民はそれに連帯して、中国政府による恣意的な軍事的緊張醸成と、それへの直対応である「安保法制」という形での安倍政権による軍事的対抗措置に反対すべきなのだと思う。
 これはデマゴーグでも何でもなく、リアルな現状認識にもとづく私たち(特に若い世代)の未来を賭けた闘いでもあるのだ。それが読めないで「安保法制が国民のリスクを減らす」などというのはとんでもない時代錯誤である。

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コメント

国会答弁の安倍総理と仲間達は誰の利益代表ですか? どう見ても彼等自身とアメリカです 支持したい方はどうぞ!

投稿: Hamada youji | 2015年8月29日 (土) 02時12分

 https://jinf.jp/wp-content/uploads/2015/08/15.08.061.pdf
 なぜ、戦争にしないための法案なのでしょう。戦争放棄と云う憲法があるのですから、戦争をしない法はあるのですから、なぜ、戦争にしないための法案が必要となるのでしょうか。
 その理由として周辺状況についてこう書いています。①アジア太平洋で米軍が軍事費を大幅に削減した。②中国が巨大な軍事力で周辺を脅している。東シナ海と南シナ海の大半を自国領だと主張している。海洋プラットホームを拡大している。③与党はこの②の脅威を遠慮して語っていない。(③は違うでしょう。遠慮どころかそればっかり、それが理由とは。桜井さん、それなら与党にそういえばいいだけで、意見広告 不必要でしょう。)
 戦争にしないために、これらの脅威に対応して安保法制が必要だと云うことの様です。安保法制があれば、アメリカが軍事費を増大して、中国が自国領だとの主張を引っ込め、海洋プラットホームの日中共同開発を進めることになるのでしょうか。そうは桜井さんとても思っていないでしょう。ならなんで、安保法制が必要になるのでしょう。


 もし、安保法制を制定すれば、アメリカは軍事費の肩代わりを云うでしょう。中国はますます海洋自国領とかに基地を置き、軍事拡大し、海洋プラットホーム周辺埋め立てすらやらないとは限りません。対立を大きくあおることになるのは目に見えています。キューバ危機の再来をあおっているとしか思えません。さらなる強安保法制が必要になり、強制的ボランティア方式での兵員確保を実施することになり、軍事費は突出、人民の生活はかってような軍事一色・安倍天皇代理・君が代・日の丸・日本国軍の統制経済に進むことになりかねません。だから私は安倍式安保法制反対なのです。

 戦争放棄を再確認し、戦争にしないための政治を考えることがなぜできないのでしょう。安倍談話はその絶好の機会になっていると思うのですが、桜井さんそうは思いませんか。多分頭が働かないでしょうね。対立をあおることで、政権を維持すること、対立をあおることで、軍事費を拡大し、政商たちに儲けさせること、対立をあおることで人民を抑圧すること しか考えることができないからです。万国の労働者よ団結せよ。これも分からないでしょうね。桜井さん。つまらんですね。

投稿: mizz | 2015年8月 7日 (金) 11時36分

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