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2015年12月 3日 (木)

COP21の表と裏

 パリでは、同時多発テロ事件の直後からCOP21が始まり百数十カ国から要人たちが集まった。トップクラスの会議はたった1日で「大集合写真」を撮って終わったが、そのあとの実務者会議はもめにもめて、延々と続いている。

 最初のトップたちの意見表明では、それぞれ何年までに二酸化炭素排出量をこれこれまで減らす、という目標を掲げて、世界はこぞって地球温暖化への歯止めに協力するべきであると声高にぶち上げた。しかし最もCO2排出量が多い、アメリカと中国は、「開発途上国」によるこれを義務化させようとする法案には賛成しなかった。「開発途上国」の主張は、こうした温暖化をもたらしたのは「先進諸国」であって、いまさらわれわれが経済建設のために必要なエネルギーである石炭や石油の使用を制限されるのは不公平だ、というものである。それに対してアメリカ、EU、中国、日本 など「先進諸国」はかっこうだけは理想を掲げながら、自分たちの「国益」に不利益を招かないよう、義務化を認めないのである。またそれらとは別に、小さな島国の立場からは、1m海水面が上昇すればわが国はなくなってしまう、というきわめて深刻な訴えもあった。
 しかしある日本の学者の分析によれば、この近年CO2増加により地球温暖化が急速に進んでいるという指摘そのものに異を唱える証拠があるらしい。それはここ10年以上、詳しいデータを見ると必ずしも地球は温暖化しているとは言えないということと、太陽活動や地磁気活動の影響の方がCO2の影響より遙かに大きいということも言えるかららしい。彼は、この事実が取り上げられずもっぱらCO2増加による温暖化の危機が声高に叫ばれている現実に疑問を投げかけている。
 ではなぜそうなのか?かって「不都合な真実」とゴア氏が訴えた時には、いまと反対に CO2増加と気候変動は、あまり関連性がないという主張が先進国指導者の間では主流だった。しかしいま、流れはまったく反対になったようにみえ、あたかも世界全体がCO2増加に伴う地球温暖化による気候変動を危機としてとらえているかのような流れが生み出されている。一つには福島の原発事故をきっかけに世界中で高まった反原発運動と再生可能エネルギー指向が高まったことや、世界経済を「牽引」するようになった中国での猛烈な大気汚染が深刻な状態となったこと、世界中で起きている気候変動などによって世の中の流れが大きく変わったことによると思われるが、これによって一方ではCO2発生源である石炭や石油を産出する国々は稼ぎが激減するし、他方では原発をこれから主要なエネルギー源にしようとしている国や、原発技術の輸出で稼ごうとしている国もそれを「ビジネスチャンス」ととらえながらもおおっぴらには言えない立場に立たされることになった。こうしたさまざまな思惑にも関わらず、「世論」に訴えて政権を維持するためにはこの流れを無視することはできずむしろこれに迎合しているのであろう。一方その「世論」の方もマスコミやネット情報などに煽られて思考停止状態に近いのだ。
 その混乱の裏には、もはやこれ以上「経済成長」と称して無駄なモノづくりや無駄なエネルギー消費を増やすことで成り立つ経済体制そのものが限界にきているという事実への無視がある。「経済成長」が誰のための「経済」であり、誰のための「成長」なのか、その真実を直視しようとしない現支配者たちの立ち位置があるからだ。「経済成長」は企業の利益を増大させ、新たな雇用を生み、国家はその税収で潤い、国家的事業を行いやすくなる、という「成長モデル」はもうとっくの昔に崩壊している。「成長」により潤うのは労働者の労働を陰に陽に搾取し、そこから得られる巨額の富を、市場でのつぶし合いを通じてたがいに分配し合うことでその支配権を維持し世界経済を支配している連中なのであって、それは働く人々の手には決して戻って来ない。
 働く人々はこれまで「経済成長」下で「消費者」として祭り上げられ「モノにあふれた豊かな生活」に埋没させられて、気がつけば老後の生活は先細り、そして次世代の生活も不安定でままならないという現実に青ざめる。さらにその上、「経済成長」の落とし子である原発の事故や大気汚染、気候変動による災害にみまわれ、これまで築き上げた生活も根本から崩されてしまう可能性もある。そしてさらに支配階級による「経済の失敗」から来る恐慌や不況で職を失う危険も常にある。
 こうした事実を踏まえて、いまのCOP21での混乱を眺めてみると、そのスローガンがいかに「虚偽の正義」であるかが見えてくる。
 地球と人類を救うためには、何よりもまず、資本による馬鹿げた市場競争と「経済成長」に歯止めを掛けることが必要なのではないか?

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