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2016年5月 8日 (日)

タックスヘイブンの意味するもの

 先日NHKの「深読み」でも放映していたが、パナマ文書漏洩問題により、再び脚光を浴びている「タックスヘイブン」問題について考えてみよう。

 いまの世の中お金持ちの企業や個人は税金をいかに逃れるかに腐心しているようだ。税制は建前上、個人、法人に拘わらず収益の額に応じて多くなり、多くの場合、累進課税となっている。
世の中の絶対多数である賃金労働者は「源泉徴収」として強制的に給与から税金を差っ引かれる。賃金だけを生活の糧にしている労働者にとっては逃れようがない法律である。しかし企業の経営者や蓄財した富裕層にとっては、いくらでも「節税」の手があるようだ。申告逃れで「脱税」することは法律違反となっているがやろうと思えばいくらでも奥の手があるらしい。また一応「合法」であるが、特に最近のグローバル化した資本主義経済(もともと金融資本にはその本質上国境がないのだが)の中では、国境を越えてお金を税金の安い国に移動して置くことが簡単にできる。というのも資本はいとも簡単に国境を越えるが、税制に関しては国によってまったく異なるからだ。だからお金持ちは当然これを活用する。
 今回のパナマ文書漏洩問題では中国やロシアを含む世界各国の首脳や支配層がタックスヘイブンを利用していた事実が明るみに出てしまった。賃金労働者には法律で厳しく課税しながら支配層である富裕層にはこうした奥の手を黙認していたのでは示しがつかない。この事件は、世の中を「法律」 で支配して何とか秩序を保とうとしている支配層にとっては、絶対多数の労働者階級から「不平等」の声が上がり治まりが突かなくなることにつながる。だから何とかこれを取り繕うことに懸命になる。 そこで彼らは国際的に通用する共通の税制をつくろうなどと言い出した。
 しかしよく考えてみよう。もともと労働者の給与から差っ引かれる税金は、労働者に与えられるその労働力の再生産費である給与からさらに引かれるものである。それだけ労働者は生活費を節約しなければならなくなる。一方、労働者を雇用する企業経営者は、労働者の労働が生みだした価値のうち、労働者の労働力を再生産するのに必要な価値部分を越えた労働によって生みだされた価値部分(つまり剰余価値)のすべてを不当に私的に取得しているのである。そしてそれを含む商品を市場価格で販売することにより莫大な利益を得ているのであって、これを彼らの企業の経営に要する分(いわゆる必要経費)と個人的消費に当てる分に「適当に」分けて獲得するのである。
  資本主義経済のもとでは企業の経営は私的利益の追求として行われることが法的に認められている。だからそれに必要な経費に関しては税制は大目に見る。しかし、もともとこの剰余価値部分はそれを生みだした労働者たちが社会生活を営む上で共通に必要とする「社会的共有ファンド」とすべき部分なのである。つまりいま「税金」として差っ引かれる分はすべてここに含まれているのである。
 それがただでさえ不当に剰余価値部分を取得している連中が、その代表政府を仲介として、ただでさえ乏しい労働者の賃金からさらに税金を搾り取ることによって、社会的共通経費を賄うということをしているのである。源泉徴収で差っ引かれる税金だけでは足りず、さらに消費税等によって社会保障制度を維持するための資金を得る必要があるという主張だ。さらに「経済の好循環」(資本家層が儲かれば労働者の雇用も増え、労働賃金も上がり税収も増えるというまやかしの論理)を生みだすために法人税を下げて企業活動の活性化を図るということもやってのけるのである。「タックスヘイブンをなくすためにわが国の法人税をさらに引き下げるべきだ」という支配層の意見がそれを後押しする。
何ということだ! この事実は、いかに表向きは「中立公平」を謳っていようともいまの社会の法律が支配階級のためにできており、「社会的共有ファンド」を私有化している彼らの立場を正当化するためのものでしかないことを明らかにさせる。
何が格差是正だ。怒れ、賃金労働者!!

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