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2016年11月 5日 (土)

NHK-TV週間ニュース深読み「若者の過労死を巡って」を観て

今朝のNHK-TV「深読み」で若者の過労死をめぐる問題について論議が行われていた。最近マスコミで大きなニュースになっていた広告業界大手「電通」の若い女性社員の過労自殺の問題が取り上げられていた。ここでの議論を逐一ここで再現することはしないが、話題になっていたこと全体を通して私は次のように考えた。

 安倍内閣は、働き過ぎによる過労死を防ぐため「働き方改革」や「残業時間の規制」を掲げて企業と従業員にこれを推進するよう呼びかけている。しかし、問題の真相は次のようである。
 日本全体で人口減が進み、労働人口が減っているにも拘わらず、政府の「経済成長」が叫ばれる中、労働量はどんどん増え続けている。労働者一人当たりの労働量が減らない限り「働き方改革」を叫んでみても事態は変わらないだろう。結局一人当たりの労働時間は減らず、会社が残業を禁じても仕事を自宅に持ち帰ってやらざるを得なくなる。企業の側に立つ政権はこれを「テレワークの推進」と称したりする。結局事態は少しも変わらない。
 国際間のグローバル資本による競争が激化し、その一端を担う国内企業も競争に晒されている以上、いくら「働き方改革の呼びかけ」や「残業規制」をしても企業は一人当たりの労働量を増やさざるを得なくなるだろう。安倍政権が「経済成長こそわがすべて」と叫ぶのは、こうした企業間の競争に勝って、資本家階級がグローバルな資本の主導権を握ることを目指すからであろう。結局資本家企業が成長すればするほど労働者の労働や生活は厳しくなる。労働者は資本家が競争に勝ち抜き利潤を獲得し「成長」するための道具に過ぎないのだから。 ときに資本家階級のおこぼれで労働者の生活が向上したかに見えてもそれは単に、「道具」を長持ちさせるための方法に過ぎず、結局労働者は資本家によって「道具」として完全にそして徹底的に使い切られるのである。
 中間層と言われる階層の若者は就職戦線で勝ち一流企業や公務員などに採用されることができなければ人生をまっとうに送ることができないとされ、必死に大企業で安定した雇用のもとで働くことを求める。小さな時から両親に「お受験」競争で勝ち抜き一流校に入ることが求められてきた人生だったのもこれが目的だったからである。就職戦線(労働市場での労働力商品同士の競争) で敗れた若者は、自らを「負け組」として意識することしかができず、より雇用条件の悪い企業や非正規雇用で不安定な地位に甘んじなければならなくなる。
 そして「下層」と言われる階層の若者はこうした就職戦線に勝つために必要な学歴を得るための大学入学に必要な多額の資金がなく最初からこれをあきらめるしかない場合が非常に多くなっている(日本の若者の半数近くがこうした状況にある) 。大学や予備校などはすでに教育産業として教育資本間の競争下にあり、大学の設備や教育体制を必須の宣伝材料としているためそれに莫大な投資を必要とし、従って入学金が莫大な額になる。教育産業にとっては学生こそが収入源なのだから。若者はここでもその犠牲者になる。
 こうして労働市場での競争が社会的格差を生みだしていく。 しかし、いま大企業も競争に晒されるので、労働量を増やしてそれに勝たねばならなくなっている。だから首尾良く大企業に就職できた若い労働者は過酷な労働に耐えきれなくなっても辞職することもできず、それに耐えなければならなくなる。こうした状況に耐えぬき、資本家的意欲に火をつけることができた「勝ち組」がやがて労働者を雇用する側に立ち、資本家の一機能を果たすようになっていく。しかし耐えることができなかった労働者はより過酷な人生の路を歩まねばならなくなる。人間的にまともな若者ほどこの苦しみは大きくなる。そしてある場合には死を選ぶことになってしまうのだ。
 労働者の労働が過酷で強いられた形になるに従って、雇用者側は彼らに「やる気」を押しつけようとする。しかしもはや労働において自分の存在意義を見いだせなくなった若者は無駄な消費や娯楽に逃げ道を見いだすことでそれを忘れることにしか人生の意味を見いだせなくなっていく。 だからエンタメ産業が繁栄し、ポケモンのようなゲームが人気を博すようになる。そしてそこでもこうした第3次産業に職を求めた労働者は資本の過酷な競争のもとに晒されることになる。
 労働時間が長引くに従って、労働者の生活は不規則で不健康なものになり生活リズムは崩され、24時間営業の店舗がその需要に従って増えていく。そしてそうした24時間サービス業界で働く労働者もまた過酷な労働に晒されることになる。
 つまりはこうだ。
 仕事(社会的労働)は資本家の利潤追求の競争のもとでその手段としてしか行われ得ない。これが資本主義社会の賃労働である。そして資本はこうした賃労働の「疎外態」として生みだされ、労働者自身を支配していく。これが資本主義社会の基本的論理なのである
 もう一度考えよう! 私たちは誰のために働くのか? 何のために働くのか? 誰のための「経済成長」なのか? われらの仕事は資本の成長のためにあるのではない。社会における自分の存在意義を示すものではないのか? 仕事の主導権をわれらの自身の手に取り戻し、仕事を通じて社会も自分も向上して行ける世の中にしよう! そのためには資本などいらないし、邪魔者以外の何物でもない!

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