« 12月19日夜NHK-TV「クローズアップ現代」を観て | トップページ | 不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その2) »

2016年12月27日 (火)

不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その1)

 来年早々アメリカではトランプが「アメリカ株式会社」のカリスマCEOになる。EUではハプニング的に始まったイギリスのEU離脱化が現実化され、ヨーロッパ大陸では、アフガン・イラク戦争や中東「アラブの春」の混乱からもたらされたシリアやイラクでの内戦から逃れてくる大量の移民に職を奪われるという危機感から、「メルケルおばさん」の努力にも拘わらず、国家主義・民族主義的右派が実権を握りつつある。

  そして世界経済はアメリカの退潮と中国の進出が顕著となるが、それをロシアのプーチン皇帝が「偉大なるロシア」の威力を誇示するために巧みに利用するだろうし、狭間にあってアメリカ一辺倒だった日本の安倍政権もいまや危機的となった「アベノミクス」の救い手としてロシアに色目を使ったりするが、結局頼るはアメリカということのようだ。
  沖縄では北部地域の米軍用地の一部が返還されたことを誇大に宣伝しつつ、実は米軍の基地を普天間から辺野古に移し北部地域の基地もオスプレイなどによってより強化していこうとしている。あの戦争での悲惨な状況と戦後70年米軍の基地下にあった沖縄の人々の苦難などまったく眼中にないらしい。
  オリバー・ストーンら知識人たちの安倍首相への公開質問状にあるように、パールハーバー慰霊訪問はまったくのパフォーマンスでしかなく、安倍首相の本音は、あの「大東亜戦争」はアジアの共栄を目指すものであったし、あの中国やアジア諸国での数百万におよぶ人々の殺戮や破壊に対して謝罪や反省をする必要などまったくない」というものであろう。今はアメリカと「かつての敵国がかくも強固な同盟を結ぶ関係になった」ことを強調したいばかりにこういうパフォーマンスが必要だったのだろう。
 さて、2017年はこういう、国際級の「騙し合い」政治に翻弄される年になりそうだ。まずアメリカだが、トランプは「アメリカに製造業を取り戻す」と息巻いているが「アメリカ株式会社」CEOとなったならそんなことができるわけがないことにすぐ気付くだろう。少なくとも「made in USA」が国際市場で勝てるようになるためには、価格競争力がなければならず、そのためにはアメリカで製造業に従事する労働者の賃金はこれまでより遙かに安くなければ成り立たない。これが不可能だからアメリカの製造業は賃金の安い国々へと生産拠点を移したのだから。これが資本主義経済の「法則」なのである。
  東西冷戦が終わって四半世紀が経ち、莫大な国家予算(つまり税金)で成り立っていた軍需産業や宇宙開発産業は、いまでは苦しい立場になっており、これらの国家的事業を支えとして成り立っていたアメリカの製造業の土台は大きく崩れている。
 だからアメリカはいまや莫大な設備投資や労働力が必要なハードウエアではなくソフトウエア的産業に利益獲得の軸足を移しており、「知財」を武器にしている。そうした企業で成功し富を獲得できるのはオカネもあり頭脳も明晰な人間でなければならず、そうでない大多数の「フツーの人々」は労働市場から落ちこぼれ、失業するか下層労働者に落とされていく。
 トランプはそれでもパフォーマンスで一時しのぎをするだろうが、だんだんそのインチキ性と中身の無さに皆が気付き出す。そして場当たり的な政策で国際的にも一気に信用を失っていくだろう。そこからアメリカの本当の危機が始まる。
 いま「トランプ景気」で不動産などでバブル現象を見せている経済は一気に破綻し、世界的な不況がやってくるだろう。そしてからくも「トランプ景気」による株高と円安に支えられているボロボロのアベノミクスはここで完全に崩壊するだろう。
 そうなると「ここぞ」とばかりに中国やロシアが「世界覇権」をめぐって暗躍するだろうが、中国はアメリカ企業が販売するハードウエアの一大生産拠点でもあり、そこに投資されたアメリカ資本が引き上げてしまったり、そこから生産技術のノウハウを獲得した中国企業が作る自国の製品を輸出して稼ごうとしても、その主要な販売先でもあるアメリカの「消費者」の販売力が落ちれば、打撃は大きい。経済的にはアメリカと中国は「持ちつ持たれつ」の関係にあるのだから。
 この場合、中国が1960年代の日本のようないわゆる「内需拡大」で自国の製品の市場を国内に求めることができれば、アメリカの資本や市場に影響されることが少なくなるのだが、如何せんいまの状勢ではそのようなことは不可能であり、国内の富裕層と下層労働者たちの格差が増大しつつあるため、不満が爆発寸前になっている状況であって、ことは簡単には行くはずもない。
 また中国はAIIBなどを通じて東南アジア諸国への開発援助と称して、それらの国々への経済的支配権(市場も含めて)を確立しようとしており、それを確実なものにするために南シナ海などでの軍事的勢力圏を拡大しようとしている。そしてこれに対するアメリカの警戒感(日本もこれに追従しているが)はつのるばかりだ。
 こうした「矛盾的自己同一」をアメリカと中国はどのように克服しようというのだろうか?
 おそらく両国はまずは実質を取ろうと、互いに経済的に不利な関係にならないような政策を採ろうとするだろう。しかしこのとき国内の政権に対する支持が危うくなると、その内部的危機を外部的危機に転化しようとする方向に向かうかも知れず、これがさらなる軍拡につながり、まかり間違えば戦争の危険も生じるだろう。
  トランプCEO率いるアメリカ株式会社の従業員が「一丸」となって「強いアメリカ」を叫び、習近平皇帝が中国臣民に「大中華圏を護れ!」などと鼓舞することになるとそれこそ世界は平和でいられなくなるだろう。
(続く)

|

« 12月19日夜NHK-TV「クローズアップ現代」を観て | トップページ | 不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その2) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/210651/64681998

この記事へのトラックバック一覧です: 不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その1):

« 12月19日夜NHK-TV「クローズアップ現代」を観て | トップページ | 不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その2) »