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2016年12月28日 (水)

不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その3)

 そして日本である。

 いま週刊誌などでは、日本経済の強さを世界に示すときが来たとか、株価はやがて2万5千円を超え空前の好景気がやってくる、などと根拠のない無責任なことを言い立てている。しかし一方で未だ累積1000兆円を超える赤字国債などによる借金で国の財政が賄われており、他方で「デフレ脱却のための消費拡大をもたらす」と称して「異次元の金融緩和」をさせて貨幣を大増刷しても消費者物価はずっと下がり続け、安倍首相の産業界への「賃上げ要請」にも拘わらず、円高・株安で儲けた大企業や不動産を買い、それを転売するなどしてボロ儲けしたり、「金融工学」を駆使して株や投機などでボロ儲けをした連中、そして観光やレジャーなどの「富裕層おこぼれ頂戴産業」以外は賃金がほとんど増えていない。ダブついたオカネはそういう「不生産的高所得者」のところにどんどん落ちていき、まじめに働く生産的労働者階級には少しも落ちてこない。つまり「経済の好循環」は生まれなかった。

 そもそもインフレで貨幣価値が下がることで物価が上昇して賃金も上がるように見せかけ、そのことで生産と消費の循環を刺激して、資本の回転を速めることによって資本家企業の利潤を増やすことが「経済成長」であると考えるのだから、そういう「経済学」は根本的に間違っているとしかいえない。これは、如何に少ない資源で社会の成長をもたらすかを考える本来の意味での経済学ではなく、労働者の生活(生活資料の消費)を資本家の利益を増やすための手段としてしか考えない転倒した「経済学」であり、無駄な消費をもたらすための過剰な生産とそれによる資源の無駄使いの回転率を早める「経済学」でしかない。

 そのくせ安倍首相は「働く女性の輝く社会」とか「働き方改革と長時間労働の抑制」とか「同一労働同一賃金」などと「リベラル派」労働組合のおはこを横取りするようなスローガンを掲げて見せる。連合などはそれに完全に足をすくわれてしまい、安倍と正面対決できなくなっている。

 しかし、その内実はうそっぱちであって、結婚して子供を育てる経済的余裕もない人たちの増加がもたらす少子化による労働者不足と、それに反比例するような資本家同士の市場競争の激化にともなって企業が必要とする労働量の増大という現実がある。その中で企業の収益を上げるために女性の労働力が必要であり、残業を廃しても労働量全体は少しも減らず、自宅に仕事を持ち帰ってこなさねばばならず、「同一労働」の解釈は経営者側の思惑如何に掛かっており、どうにでもなるので、利益優先のため結局実質的な格差は解消されない、などなどである。

 日本は一方でこういう危機的経済政策の中であやうい橋を渡りながら、他方でアメリカとの軍事的結びつきを維持し、憲法を改定して自国に軍隊を持つことを目指している。それは北朝鮮のような「仮想敵国」へのアメリカの核の傘のもとでの軍事的対抗措置や、表面的には経済的に結びついている中国などとの経済覇権をめぐっての軍事的能力によるその優位性の確保などが要請されているからである。

 国軍を持ち、中国などとの軍事的対抗関係を維持していくということはそれに必要な軍需産業が育たねばならない。実は軍需産業は過剰資本が常態となった末期資本主義経済体制にとっては救世主的存在なのである。それはアメリカにその典型が見られたように、完璧な不生産的消費である軍需品の生産は、一方で資本にとっては過剰資本の理想的処理方法であり、他方ではそれに投じられる莫大な国家予算(こういう形で過剰資本が用いられる)による先端技術の進歩がもたらす資本家企業への「イノベーション」のチャンスをもたらすのである。

 さらに国軍を持つことで、対外的に「国を護る愛国心」と自国支配者への「忠誠心」を醸成し、内部的矛盾を外部に転化させることが容易になるのである。

 しかし安倍政権は「アメリカ株式会社」のトランプCEOの場当たり的外交政策に翻弄され続けることになるだろう。 そのためアメリカとは対外的には「強固な同盟関係」を誇示しながら、内実は経済的・軍事的にもやや距離を置き、インド、ミャンマー、そしてアフリカなどへの新市場獲得に動き出すだろうし、資源の乏しい日本のエネルギー源を確保するためにロシアにも一歩譲らざるを得ないことになるかもしれない。

そしてやがて憲法が改定されれば沖縄の基地も米軍から日本国の軍隊に置き換えられていくだろう。このままでは沖縄はいつになっても基地から解放されないだろう。

 中国とは一定の経済的結びつきは維持して行かざるを得ないだろうが、アジアやアフリカなどでの新市場獲得をめぐっての熾烈な経済戦争が繰り広げられるだろう。そしてそこに「軍事的バックアップ」が必要となっていくだろう。

 どちらにせよ、こうした安倍政権の政策下では日本の労働者階級は決して主導権を握ることはできないだろうし、「明るい未来」もやってこないだろうということは確実である。

 いま主要な資本主義国の政権を突き動かし、回転を速めているグローバル資本のもとでその「成長」のために人生を奉仕させられている世界中の労働者階級は、互いに殺し合うようなことは決してあってはならないし、何が本当に対決すべき相手なのかを見定め、そこから何を取り戻すべきなのか、そして何を目指すべきなのかを真剣に考えねばならないときが来ているのではないだろうか?

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