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2016年12月27日 (火)

不確かだけどかなり確率の高い2017年予測(その2)

 ロシア、ヨーロッパではどうなるのだろうか?ロシアは1917年の革命直後の一時期は農民に比べて少数派だった労働者階級がレーニンの指導で労働者評議会(ソヴィエト)を組織して実権を握ろうとした。しかしその後スターリンに乗っ取られた党の官僚による独裁強権政治に抑圧され「ソヴィエトなきソヴィエト連邦」となり果ててしまった。

そして第2次世界大戦ではヒトラーのドイツ軍を敵に回して、2千万以上もの労働者や農民の命の犠牲を払ってソ連という「国家」を守り抜いた。しかしスターリンの死後、フルシチョフなどによるスターリン批判もあったがその本質は変わらず、アメリカおよび西欧諸国との確執による「東西冷戦」の長い時代を経て、硬直した独裁政権の運営により徐々に経済が衰退、やがて「ソ連」は消滅し、共産党独裁政権も崩壊した。

  ところが一見「自由な国」になったように見えるロシアが、実はいまだにプーチンが皇帝のように政治も情報も牛耳っており、政権に反対する意見は公にすることができない。ソ連崩壊直後エリツィンの「自由化」によって一時崩壊しかけた経済を救ったプーチン政権により強大な利権を得た石油・天然ガスなどのエネルギー産業資本家が経済を支配し、その中で社会の格差化はどんどん進んでいるようだ。そのため最近は、かつてのソ連時代の方が格差が少なくて良かったと言う人も結構多くなっているらしい。

 そしてなによりもかつて「一国社会主義」を標榜したスターリン政権以来の国家主義的国民意識がいまだに大きな影を落としている。復権したロシア正教とともに「偉大なるロシア」という感情はロシア社会全体を大きく支配し、それが格差増大にも拘わらずプーチン「皇帝」を支えているようだ。

 そしてウクライナ紛争でロシアと対立するEU諸国とアメリカは経済制裁によってロシアに圧力を掛けているが、その一方でEUもいまや風前の灯火である。中東からの大量の移民の到来で、もともとヨーロッパ全体の経済共同体を目指していたEUはその構成国の一部で独自の判断で国境の壁を高め、高邁な理想ばかり掲げているEU指導部の方針に反旗を翻して自国の雇用や利害を護れと主張するようになった。

 EU中軸国であるフランスやドイツでは「リベラル」な中道・左翼勢力が主導権を握ってから、徐々にその理想と現実の間のギャップが顕著になってきており、ずっとくすぶり続けていた内部矛盾が国家主義・民族主義者たちの単純で「分かりやすい」(つまり底の浅い)主張である「ポピュリズム」と結びついて火がつき、一気に燃え広がりはじめた。いま彼らはその波に乗ってEU指導部が目指すのとは異なる方向を目指し出した。

しかし同じように底の浅い「リベラリズム」(社会民主主義などの中道・左翼に典型的な思想)はこれに対抗できない。歴史的に観ても第一次世界大戦も第二次世界大戦でもリベラリストはポピュリストたちが扇動した戦争を食い止められなかった。

 現に、フランス社会党出身のオランド大統領は、一方で労働者の味方のような振りをしながら経済成長を優先されるために労働時間の規制緩和を行い、また「反戦」のはずなのに中東諸国にフランス製の戦闘機を売り込んでいる。そしてフランスの農民達は安い酪農製品が外国からどんどん入って来るのでやっていけなくなると大ストライキを打った。今年になってからフランスは次々とテロの標的になった。オランド政権は一方で戒厳令を敷きながら、他方では社民党分裂の危機に瀕している。

 EUは域内の経済統合を謳い関税撤廃や人の自由な行き来を推進するが、構成各国の労働賃金や生活水準の差は如何ともすることができず、その矛盾が上記の様に矛盾した「経済成長優先」政策を採らせることになったと考えられる。そこに中東から大量の難民が押し寄せたのである。

 そして冷戦以後もアメリカと手を組んでNATO体制を維持し、東欧への進出を図ったためプーチン皇帝の腹の虫を刺激した。ウクライナ問題はソ連時代の指導部のまずい行政がソ連崩壊後に浮き彫りになったこともあってプーチンによるクリミア半島「無血占領」を成功させることになり、ウクライナ東部での小競り合いを誘発したともいえる。

 そうした状況でおそらくはEUは域内問題に手一杯でロシアとの対決には手が回らないだろう。そこにトルコのエルドアン大統領というやっかいな人物が登場しEUとロシアを相手にトルコの存在を誇示し始めた。プーチンは中東の紛争と難民問題にからめてトルコを通じてEUからの圧力をはねのけようとするかもしれない。

 こうなってくると、やがてユーラシア大陸の中央部でプーチンが経済制裁もなんのその「偉大なロシア」を謳いヨーロッパとアメリカを天秤に掛けて中国と覇権を競うようになるかもしれない。

(続く)

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