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2016年3月20日 - 2016年3月26日

2016年3月23日 (水)

トランプの外交政策について

 前回のブログで共和党大統領選候補者としてトランプが圧倒的な支持を得ていることの背景にあるアメリカの民衆の思いについて書いたが、その後トランプが自分が大統領になったらどういう外交政策をとるかという質問に応えたニュースがあったので付け加えておこう。

 彼は、いまやアメリカは以前のようにリッチな国ではなく、貧乏な国になりつつあるので、「世界の警察官」などできなくなっている。したがって日本などアジアでの安全保障のためにアメリカが莫大な軍事費を支出するのは間違いで、日本などは全額その金を払うべきだと主張した。こうした言動に日本の政府関係者は注目しているらしい。
 ところで、まず、アメリカの不動産王であって、自己資金だけで選挙運動をしていると称してでっかい自家用機を乗り回して遊説している彼は、誰からぶんどったカネでそんなにリッチになったのだろう。そしてなぜアメリカは貧乏になったのだろう。そのことが一番の問題ではないのか? トランプ自身、上位1%の富を握って、残り99%の人々をプアーにしている資本家の張本人ではないのか?
 つぎに、アメリカはもはや「世界の警察官」などできず、各国は自分の国を自分で護れ、という主張は、結局、グローバル資本家どうしの利害対立が原因で起きる各国の資本家階級間での政治経済的対立による紛争を、それらの国々の労働者階級の税金による軍事費と彼らの兵士たちによって護らせるということではないのか? これではまったく世界情勢の不安化という問題の真の解決からほど遠い考え方である。
 しかし、残念ながら安倍政権は、このトランプの言動の成り行きによって、「国民」の意識が変わって行き、憲法9条の改定賛成に流れて行くことを期待しているらしい。
 沖縄の米軍基地は、米軍から自衛隊へ、そしてやがて「日本国軍」の手に移り、沖縄の人々の置かれる状態は相変わらずほとんど変わらないことになりそうだ。
 

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2016年3月21日 (月)

「ザ・リアル・ボイス」を観て

(これは 2016年3月に放映されたものへのブログです。2017年1月に放映された第2部については 「ザ・リアル・ボイス」続編で観るアメリカの「自由・平等」の実情 をお読み下さい)

 今朝のNHK-BSで放映していた「ザ・リアル・ボイス」というドキュメンタリー番組は面白かった。アメリカ各地の「ダイナー」と呼ばれる朝食レストランの客の声から、いまのアメリカ民衆の「本音」を聞き出そうという趣旨だ。

 人種差別廃止を掲げるアメリカでの黒人達への差別の現実。各地で頻発する銃乱射事件を巡って銃規制に対する反対と賛成の分裂。アメリカンドリームといわれた「シェールガス革命」がアラブ産油国の原油生産維持政策による価格下落により挫折し、多くの関連業種が不況に陥り、労働者達も苦境に陥ったというアメリカ。そういう状況で各地に起きるアラブ系「過激グループ」によるテロとそれらに対する反発からくるアラブ系移民への排斥運動。その中で進む格差の増大。そしてこれまでのアメリカの中東政策の失敗や世界の警察官としての地位からの撤退などという事態をも含めて「アメリカはダメになってしまった」という実感を持った人たちの現政権への不満が、一方で共和党大統領候補として過激な発言を繰り返すトランプの票に集中し、他方で民主党大統領候補者として「社会民主主義」による革命を叫ぶサンダース氏の票に集中するかたちで爆発している。
 問題は複雑で混迷しており、一筋縄では片付かないことは誰しもが感じている。しかし、年配の人たちを中心に、「古きよきアメリカ」の再現を求める人たちは、不満を一手に引き受けてくれるトランプを支持し、それとは対照的にサンダースに夢を託す若い世代は「すぐには実現出来なくとも10年後20年後に実現させるべき目標」を描くことの重要性を感じている。
 考えてみれば上位1%への富の収集を排し、社会的富の公平な分配と教育・社会保障の充実と社会的な機会均等化というサンダースの目標は、アメリカ大統領選では新しい主張かもしれないが、実はちっとも新しいものではないのだ。すでに1930年代の世界恐慌時代にアメリカの労働者や失業者たちが掲げた目標もこれに似ていた。ある意味で数十年の回り道ののち、アメリカは再びこの目標にたどり着いたともいえる。
 もし、トランプが大統領になったとすれば、いずれアメリカは再び大きな悲劇に引きずり込まれることになるだろう。再び軍備の拡張、中国やロシアとの対決、自国中心的な経済政策や内政外交、「自助努力」のかけ声のもとでの労働者の選別と格差のさらなる増大、いまは「紐付き」でないトランプもやがてグローバル資本のバックアップのもとでしか彼の政策を進めていくことができなくなるだろうし、彼のめざすキリスト教保守主義の復権はイスラム教との対立をますます深めていくだろう。そしてやがて起こるかも知れない戦争やテロの犠牲となる人々はいつも若者達である。
 アメリカが目指すべきこと、いや世界中の労働者階級やその予備軍たちが目指すべきことは、一握りの資本家階級が私的所有として獲得した富のうちほんの一部を残り絶対多数の労働者たちに「公平に」分配させることでは決してなく、労働者が働くことで生みだされる社会的富を「資本」という私的所有の「疎外態」を媒介とせずに、直接それを生みだした人々の手にとりもどすことである。社会はそれをスムースに行うために存在すべきなのであって、資本家の利害を護るために存在すべきではない。「資本」という存在(いまはそれがすべての社会的生産や人間の在り方を支配している)は、社会にとってまったく不要である。そのことが見えてくれば、労働者階級の主張や運動は単なる「賃上げ」や「雇用の安定化」というレベルをはるかに超えて、再びその歴史的使命を確信し、何物にも負けない強さをもって新しい歴史を自らの手で生みだして行けるようになるだろう。
 アメリカの若者達、馬鹿げた宗教的対立や人種差別を乗り越えて、世界中の次世代を担う若者達とともに、がんばれ!! 

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