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2016年7月17日 - 2016年7月23日

2016年7月22日 (金)

トランプがアメリカ大統領になったなら

 トランプがアメリカ共和党大統領候補に指名され、受諾演説を行った。テロからアメリカを護るため国境に壁を作り、自由貿易主義を否定してアメリカの産業を護り、「偉大なアメリカを取り戻す!」。何かどこかで聞いたようなキャッチフレーズである。

しかし「偉大なアメリカを取り戻す」という主張は、自国の「国益」を第一と考え、アメリカが世界資本主義のリーダーシップであり続け、「国際社会」の主役として負わなければならない犠牲を返上するということに他ならないだろう。日本には「核の傘」に対する相応な負担金を強い、ひいては日本は日本自身で護るべきだと言いたいようだ。
 しかしこれには安倍首相も内心「その通り」と頷くものがあるだろう。アメリカの「核の傘」に頼れなくなれば、自国で周辺国からの核の脅威に対応し「抑止力」を持たねばならなくなるというのが彼の本心なのだろうから。これで日本独自の軍隊を持ち、ひいては核武装も展望する必要があり、そのために改憲が必然となる、と安倍首相は考えているだろう。そして「(強い)ニッポンを取り戻す!」と。これに「護憲派」は勝てるのか?私はいまのままでは勝てないと思う。
 ヨーロッパではイギリスがEUから撤退することになった。イギリス国民の過半数が、EUの束縛から離れ「偉大な大英帝国を取り戻すそう!」と考えているのかも知れない。しかしそうした中で中国、ロシアなど、欧米のWestern Capitalistsと一線を画しているEastern Capitalistsの国々がこの機に乗じて世界での彼らの勢力を強めようとするだろう。
 こうした「自国主義」はつねに戦争への危機を孕む近代国民国家特有のイデオロギーであるが、それに対して資本主義経済は国境を越えてグローバル化しないとやっていけなくなっている。この矛盾がいよいよ隠しきれなくなってきた。資本主義世界もいよいよ末期的段階に入ったと見てよいだろう。
 資本のグローバル化とは実は国境を越えた労働の搾取形態に他ならず、資本はあくまで資本家による富の私有化を前提としているため、資本家の共同体が「国民国家」という形で表現されざるを得ないのに対して、その資本を生みだしている労働者の労働の搾取は日々国境を越えて行われており、国際的には本質的に同じ立場に立たされている労働者階級は、それぞれの国の支配階級から「国民」と呼ばれナショナリズムで洗脳されているにも拘わらず、本質的に国境を越えたインターナショナルな連帯関係を内包しているのである。
 グローバル資本も戦争による大量破壊と大量殺人は結局自分たちにも不利となるだろうことを⒉回の世界大戦を通じて知ったいま、これから突入するであろう「戦争」はこれまでより一層陰湿で分かりにくいものなりそうだ。トランプ大統領やメイ首相、そして分裂の危機にあるEU主要国やロシア、中国、はこれをどう闘おうとしているのか、そして安倍首相はどう「ニッポンを取り戻そう」とするのか?
世界中の労働者階級は予断を許せない。そしてどんな場合でも、同じ立場に置かれた隣国の労働者たちと国境を挟んで互いに殺し合いをするようなことがあっては決してならないだろう。

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2016年7月19日 (火)

混迷する労働者階級(海外ニュースから)

 今朝のNHK-BS海外ニュースによると、アメリカ大統領選挙に向けた共和党候補者決定の最終段階であるオハイオ州の共和党大会では、トランプは共和党幹部や地元首長の支持を得られず、家族親戚を総動員して応援演説をさせているようだ。

 しかしこんな状況でも選挙民からの支持は多く、民主党支持者だった地元のある労働者も今回はトランプに投票すると言っていた。その理由を彼は、長年勤めてきた鉄鋼関係の企業が軒並み工場を閉鎖し、従業員の多くが解雇され、このままではモノづくり企業はアメリカからなくなってしまうかもしれない。しかしそれに対して民主党政権は何もしてくれなかった。しかしいくつもの会社経営を成功させてきたトランプならきっとうまくこの状況を乗り越えてくれるだろうと思うと述べた。
 また別の韓国KBSニュースでは、現代重工の労働組合が、会社側が経営合理化の方針を出したことに対して反対の意思表明をしてきたが折り合わず、ストライキを打つことになったというニュースを伝えていた。アナウンスでは、労働組合は団結権を行使するしかないと判断した様だが、それによって企業側は厳しい経営状況に立たされ、ひいては雇用の確保もできなくなるのではないかという不安もある、と述べていた。
 こうした状況は日本においても同様なのではないだろうか? 労働者は長い闘争の末、団結権を持つことができたが、それを発揮することで企業側が経営難に陥ることを恐れ、自分たちの雇用が維持される範囲で労使の交渉がまとめられる。当然と言えば当然なのであるが、こうした状況に留まる限り、労働者は雇用主である会社が市場での競争に勝ち、多くの利益を確保してくれることにより、自分たちの雇用条件が良くなり生活が良くなる、という理屈がそこに成り立つことになる。
 しかし、自分たちの企業がより多くの利益を得ることができるためには競争に負けた企業の労働者はより過酷な状況に置かれることになり、失業する労働者もでるだろう。そうした他の企業の労働者の犠牲のもとに自分たちの雇用条件の向上を得るということになるのだ。これは企業(資本)の論理そのものを肯定することになり、ひいては自分たちの企業が競争に勝つために合理化を行うと宣告してきてきても、これに基本的に立ち向かうことができなくなり、「働きの悪い労働者は解雇されても仕方がない」という考えが労働者自身の中に芽生えることにもなる。そして労働者間での陰湿な対立や組合の分裂が起こり、やがて会社の経営方針に忠実な労働者たちが労働組合の主流をなすようになる。
 こうしていわゆる労働者階級の右傾化が浸透するのである。そうした中では「強いニッポンを取り戻す」と叫び、資本家階級たちの先頭に立って世界中をトップセールスし兵器でも原発でもお構いなしに売りまくる首相が支持されることになる。
 言い換えれば、おこぼれ頂戴、つまりトリックルダウンという形に甘んじて資本家側の利益増大、つまり世界中の労働者の搾取と犠牲を前提とする利益増大のおこぼれによって自分たちの「少し豊かな生活」を維持しようとする労働者が多数を占めることになるのだ。そしてさらには、こうした右傾化した労働者階級の利己的な意識が、国際間の資本家同士の競争や争いを国家間の競争や争いとして見立てさせられ、国を護るために軍隊は必要だという論理にそのまま結びついていく。安倍政権の支持が多いのはこうした労働者階級側のなさけない状況の反映でもあるだろう。

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